哲学の科学

science of philosophy

現代を生きる人々(9)

2020-11-14 | yy75現代を生きる人々


現代人はさらにシニカルに、かつニヒルになっています。金銭欲出世欲に駆られた競争生活はむなしい。かといってひたすら安全を求め延命医療にすがって長生きすることの意義も分からない。

快楽に生きることも趣味に生きることも、どこか嘘くさい。セックスもギャンブルもドラッグも、さらに虚しい。結局は逃げようがない退屈だけが残る。
「したがって、人間であることはつらい。人間であるとは退屈に向き合って生きることを意味するから。(二〇一一年 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』)」
こうして、戦うことをやめさせられた人間は死んだ人間になるしかない(一九六九年 アレクサンドル・コジェーヴ「ヘーゲル読解入門Introduction to the Reading of Hegel」)との見解も現代人の心象風景をよく表している、といえます。
「何よりもはっきりしているのは・・・新しい物に目を向けようとしなくなったことだ。人類全体の性向がそうなっている。わしのように古い記録をあさっていると昔の人と現代人の違いにがく然とすることがある。(一九七八年 藤子不二雄『老年期の終わり』)」銀河系の開拓に飽きた人類は辺境の星を捨て、大挙して地球へ戻っていきます。一組の若い男女だけが銀河連邦政府に反抗して逆向きに宇宙へ旅立っていきます。

銀河系の開拓はさておき、当分地球上で暮らすしかない現代人としては、これからどうすればよいでしょうか?

どうするといっても、大雑把に言えば、次の四つくらいでしょうか?
1. 現状を維持(けっこうきつい)
2. 成長(家財を蓄積/収益力を増加)
3. 変身(階層上昇・脱俗・革命・戦争)
4. 終息(がんばらない・引き籠り・隠居・死去)
今までがんばってきた現状維持や成長は結局、退屈に陥ってしまうとすれば、あとは変身か終息しかありませんね。









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