そっくり展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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“タヌキとキツネ展” の会場を抜けると・・・




そこは、“そっくり展” の入り口でした。

入り口からして、怪しいニオイがプンプンしています。
入場料は800円。
決して、安い金額ではありません。
入るべきか。それとも、引き返すべきか。
さんざん悩んだ末に、入ることに決めました。
「何もしないで後悔するよりも、やって後悔するほうがいい」 というヤツです。

で、こちらが会場の入り口。




しかし、待てど暮らせど、ドアが開きません。
“なんで??”
そう思って、よくよくドアを見てみると・・・




手動でした。

“なぁんだ。自動と見せかけて、手動だったのか!こいつは一本取られたわい。”

となるのが、正しい反応なのでしょうが。
僕は、ただただイラっとしただけでした。
そんな手動ドアを開けると、まず展示されていたのは、
本物そっくりの食べ物を作る木彫り作家・川崎誠二の作品群。
板から作った板チョコや、




流木から彫り出したポッキーなどが紹介されています。




さらには、本物そっくりのポテトチップスも。
ちなみに、左は本物のポテトチップスです。




巧く作られていますし、ユーモアもあるのですが。
本物そっくりの木彫といえば、前原冬樹さんの超絶的な一木造りの作品で、
すでに何度も驚かされ、免疫ができているため、そこまでのサプライズは感じられませんでした。
決して、川崎さんが悪いわけではないのですが・・・。


今回の参加アーティストの中で、個人的にヒットだったのは、
メカニカルミュータント (機械昆蟲) を制作する宇田川誉仁さん。




全男子が少年の頃に心をときめかせた (?) ゾイドを彷彿とさせる世界観がありました。
ただ、“そっくり” といえば、モデルとなる虫に “そっくり” ではありますが、
機械昆蟲自体は、完全なるオリジナル作品なので、“そっくり” という定義でよいのでしょうか。
ちなみに、食虫植物のウツボカズラをモチーフにした作品もありました。




こちらに関しては、もはやウツボカズラの原型がほとんどありません。
一体、何と “そっくり” なのでしょうか。

それから、もう一つ個人的にヒットだったのが、
日本におけるアンビグラム作家の第一人者、野村一晟さんの作品です。
アンビグラムとは、逆さまにしても読める文字のこと。




例えば、『ほんもの』 という文字を、逆さまにしてみると・・・




『にせもの』 となりました。
言葉の意味も、逆さまになっています。

また例えば、




『努力』 という文字を、逆さまにしてみると・・・




『才能』 となりました。
どんな努力をして、才能を磨いたら、
このような摩訶不思議なアンビグラム作品が作れるのでしょうか。
想像だにできません。

個人的にお気に入りなのは、『もりかけ』。




ひっくり返すと・・・




『かごいけ』 となりました。
若干旬は過ぎていますが、社会派な作品です。

作品としては、大変楽しめたのですが、
冷静になって頭をよぎったことが一つありました。
これって、何が “そっくり” なのでしょう・・・。
“そっくり” って何かね??


展覧会では、アート以外の “そっくり” も紹介されていました。
例えば、メキシコ歌曲 『エル・カスカペル』 をはじめ、




あの有名曲と “そっくり” な (元ネタ?) な曲を紹介するコーナーがあったり、




ブランドものの “そっくり” を本物と併せて紹介するコーナーがあったり、




クオリティが低すぎる 「そっくりさん写真コンテスト」 コーナーがあります。




全体的に漂うB級感。
正直、「僕は何を見させられてるんだろう・・・」 という気持ちは拭えませんでした。
極めつけは、ダメ人間の部屋を “そっくり” に再現したコーナーと、





意識高い系の部屋を “そっくり” に再現したコーナー。




声を大にして言いたいです。
「何じゃそりゃ!」 と。


これは展覧会だったのでしょうか。
いや、展覧会に “そっくり” な何かだった気がします。
ほし (星なし)




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