京のかたな 匠のわざと雅のこころ | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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京都国立博物館で開催中の特別展、
"京のかたな 匠のわざと雅のこころ" に行ってきました。




こちらは、京博120年の歴史上初となる大規模な刀剣展で、
刀の名産地の一つ、山城伝=京都で生まれた刀剣の名品の数々を紹介するものです。
120年目にして初めて刀剣展が開催されたということは、
裏を返せば、120年間一度も開催されていなかったいうこと。
今まで開催されていなかったことが、逆に不思議でなりません!

ちなみに、出展数は、なんと約200点 (!)。
平安時代から平成の刀剣まで、各時代を代表する名刀が勢ぞろいしています。
しかも、《刀 金象嵌銘長谷部国重本阿(花押)/黒田筑前守(名物圧切長谷部)》 を筆頭に、

刀剣


山城系鍛冶の刀剣のうち、国宝に指定されているほぼすべてを網羅!
さらには、坂本龍馬が愛用していた 《銘吉行 刀》 をはじめ、

陸奥守吉行


歴史上の有名人にまつわる刀も多く出展されています。
これは、いつになく男性率が高い展覧会だろう・・・と思いきや、
予想に反して、平日午後の会場は女性だらけ、それも、20代30代の女子だらけでした。
パンケーキ屋なのかと錯覚するくらいに、女子が多かったです。
その理由は、間違いなく、『刀剣乱舞-ONLINE-』。




京博は、その人気にガッツリ乗っかっていました。
『刀剣乱舞-ONLINE-』 で擬人化されている刀が、
なんと、今回の展覧会に、23振も出品されているそう。
そりゃ、ファンも来るわけです。

さらに、気が付けば、ほとんどの女子が音声ガイドを借りていました。
今回の音声ガイドを担当しているのは・・・




伊武雅刀さん。
おそらく、’刀’ 繋がりです。
確かに、伊武雅刀さんはイイ声ですが、
“そこまで女子に人気なの??” と、いぶかしく思っていたら、
音声ガイドに 『刀剣乱舞-ONLINE-』 バージョンもあることが判明。




刀剣女子の皆さまは、こちらを借りていたいのですね。
ちなみに、貸出料金は、1000円。
なかなか強気の価格設定ですが、
刀剣女子たちにとっては、支払えなくない金額のようでした。


と、1000円の音声ガイドを当たり前に借りていることにも驚いたのですが。
それ以上にビックリしたのは、
『刀剣乱舞-ONLINE-』 の主役級キャラ 《太刀 銘三条(名物三日月宗近)》 の前に・・・




大行列が発生していたこと。
しかも、皆さま、目がハート。
握手会みたいな感じになっていました。
刀身に三日月形の打除け (刃文の一種) が数多くあることが、
その号の由来ですが、三日月形の打除けをマジマジと確認している余裕はないほどの混雑ぶり。
改めて、刀剣の女子人気を実感させられました。
星星


ちなみに。
刀剣女子同士の会話が気になって仕方がなかったので、会場では終始耳をそばだてていました。
一番多かった感想は、やはり 「カッコイイー!」 だったのですが、
たまに、「カッコイイー!この刀に斬られたい❤」 という声も聞こえてきました。
どういう状況だよ。
さらには、「わー、カワイイ♪」 という声も。
いつの間にやら、武器がカワイイと思える時代に突入していたことに、驚きを隠せませんでした。


と、刀と女子の関係に、終始驚っきぱなしの展覧会でしたが、
個人的には、刀剣繋がりで紹介されていたこの絵画にも驚かされました。




僕が子供の時には、足利尊氏の肖像として、
歴史の教科書に掲載されていた有名な絵画です。
しかし、ここ最近の研究により、描かれている人物が足利尊氏でないことは、ほぼ確定したそう。
なので、展覧会では、《騎馬武者像》 という題で紹介されていました。
有名人から一気に無名の人へ。
シビアにもほどがあります。




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