起点としての80年代 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

80年代のディスコ風サウンドを取り入れた、
DA PUMPの 『U.S.A.』 が、ダサかっこいいと話題となったり、




ツッパリ全盛の80年代を舞台にしたドラマ、
『今日から俺は!!』 が、中高生を巻き込んで大ヒットしたり、




今、80年代に熱い注目が集まっています。
そんな絶妙なタイミングで、1月5日より、
静岡市美術館でスタートしたのが、“起点としての80年代” という展覧会。
1980年代の日本美術にスポットライトを当てた展覧会です。




「具体」 や 「もの派」 といった70年代までの日本美術や、
村上隆さんや奈良美智さんが台頭した90年代以降の日本美術を紹介する展覧会は、
これまでにも、たびたび開催されていますが。
実は、意外にも、80年代の日本のアートシーンが取り上げられることはなかったのだそうです。

“・・・・・ん?ということは、80年代は、アート不毛の年代なの?? ”

かと思いきや、むしろその逆でした。
日比野克彦さんに、


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


森村泰昌さんに、




大竹伸朗さんに、




岡﨑乾二郎さん、川俣正さん、藤本由紀夫さん、舟越桂さん、宮島達男さんに…etc
現在も美術界の第一線で活躍するアーティストたちが華々しくデビューを飾ったのが、1980年代。
まさに、現代アートの “起点” の年代だったのです。
ちなみに、『美術』 に変わって、
『アート』 という言葉がよく使われるようになったのも、1980年代とのこと。
今でこそ当たり前に “アートテラー” と名乗っていますが、その起点も1980年代にあったのですね。

余談ですが、お笑い界も1980年代が豊作の年。
ビートたけし、明石家さんま、タモリ、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン…etc
現在もお笑い界の第一線で活躍する彼らが登場したのもまた、1980年代です。

美術界もお笑い界も、1980年代が熱かった。
そして、その時代に誕生した熱が、今なお燃え続けている。
そんなことを実感する展覧会でした。
星
80年代をリアルタイムで知っている人には懐かしく、
80年代を知らない世代には、「一周回って新しい!」 と感じられるはず。
ちなみに、80年代生まれの人は、『80年代割』 が適用されますよ。


さてさて、今回出展されていた作品の中で、
特に印象的だったものをご紹介いたしましょう。
まずは、段ボールアートで鮮烈なデビューを果たした日比野克彦さんの当時の作品から。
《SWEATY JACKET》 です。




段ボールを素材にした作品そのものに関しては、
今見ても新鮮で、時代が経っても、まったく色褪せていなかったですが。
モチーフとなっているジャケットに関しては、さすがに時代を感じました (笑)
マイケル・J・フォックスか、エディ・マーフィーあたりが着てそうです。


続いては、横尾忠則さんの作品。




横尾さんは、60年代後半から70年代にかけては、グラフィックデザイナーとして活躍していましたが。
ピカソの絵に衝撃を受けたことで、80年代に画家へと転向します。
いわゆる “画家宣言” の後の個展で発表されたのが、こちらの 《うまい作り話》 という作品です。
横尾さんと言えば、今年の大河ドラマ 『いだてん』 の題字を担当したことでも話題。
よく見ると、《うまい作り話》 の中にも、走る足元が描かれています。
『いだてん』 の題字の起点ともいうべき作品です。


今回紹介されていた作品の中で、
特に 「一周回って新しい!」 と感じたのが、吉澤美香さんの作品でした。




何の変哲もない日用品を白塗りし、
そこにカップや蚊取り線香といった落書きのようなドローイングが描き加えられています。
なんとも軽やかでポップな印象。
インスタ映えしそうな作品でした。


最後に紹介したいのは、展覧会の冒頭、
美術館に足を踏み入れた瞬間、まずはじめに目に飛び込んでくる中原浩大さんの作品です。




タイトルは、《夢殿》
法隆寺のあの夢殿をモチーフにした作品だそうです。
元ネタの原形をほぼ留めていませんが、インパクトは絶大でした。
まるでハリウッドザコシショウの誇張しすぎたモノマネのよう。




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