The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年2020年の夏、もっとも注目を集めていたといっても過言ではない展覧会、

東京都美術館の “The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション”が、無事開幕いたしました!

 

(注:館内は写真撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。)

 

 

今年開館40周年を迎えた原宿の太田記念美術館。

10万点を超える所蔵数を誇る長野県の日本浮世絵博物館。

そして、重要文化財や重要美術品を多数含むコレクションで知られる平木浮世絵財団。

いわゆる、“日本三大浮世絵コレクション” が初めて一堂に会した歴史的な展覧会です。

 

出展数は前後期合わせて約450点!

墨一色の版や一枚一枚手塗りしていた頃の初期浮世絵から始まって、

 

 

 

多色摺の版画 (=錦絵) が発明された頃の鈴木春信の名品の数々や、

 

 

 

世界的にも人気が高い東洲斎写楽の大首絵の数々、

 

東洲斎写楽 《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》  大判錦絵 寛政6年 (1794) 5月 日本浮世絵博物館
(注:展示は後期8月25日~9月22日まで)

 

 

 

さらには、浮世絵がもっとも花開いた時代の広重や、国芳の名品まで。

 

 

 

北斎の代表作中の代表作 《富嶽三十六景》 にいたっては・・・・

 

 

 

Wで展示されていました。

摺りの違いを見比べられるのは前期のみですが。

こんな贅沢な展示ができるのは、日本三大浮世絵コレクション展ならではです。

浮世絵の歴史を一気見&良いとこ取りできる展覧会。

これまで数多くの浮世絵展が開催されてきましたし、

これからも数多くの浮世絵展が開催されるでしょうが。

今回の展覧会を超える浮世絵展は、そうそう無いのでは?

もし、日本三大浮世絵展なるものがあれば、

間違いなく、この “The UKIYO-E 2020 ” は含まれることでしょう。

星星星

これぞ浮世絵展の決定版です!
 

 

さてさて、展示されている浮世絵の質、量、
展示の構成ももちろん素晴らしかったのですが。

さらに素晴らしかったのが、展示デザイン!

グラフィックデザイナーのおおうちおさむ氏が手掛けています。

スタイリッシュにしてラグジュアリー。

「浮世絵展の会場ってこういう感じ」 と、

なんとなく抱いていたイメージが、いい意味で裏切られました。

 

 

 

上の3点の写真からもどうにか伝わるとは思いますが、

これまでに出会ったことがない、かなり複雑なレイアウトとなっています。

とはいえ、一筆書きで進めるようになっているので、迷子になる心配はありません。

1枚も取りこぼすことなく、展覧会を観終えることができますよ。

 

ちなみに。

展示壁の至るところに穴があけられており・・・・・・・

 

 

 

壁の向こう側を見渡すことが出来るようになっていました。

なんとも粋な演出です。

ただ、ごくまれに反対側の人と目が合ってしまうことが・・・・・。

その際はなかなかの気まずさですので、十分にお気を付けくださいませ (笑)

 

 

最後に、印象に残った浮世絵を数点ご紹介いたしましょう。

まずは、石川豊信の 《花下美人》

こちらは、重要文化財の貴重な作品のため、8月10日までの期間限定展示となっています。

 

重要文化財 石川豊信 《花下美人》  大々判漆絵 延享期 (1744~48)  平木浮世絵財団

(注:展示期間は7月23日~8月10日)

 

女性の顔立ちこそシンプルですが。

パッチワークのように様々な文様が組み合わされた着物や、

どことなくバウハウス感のある帯など、ファッションはかなりの上級者。

そんな彼女が今桜の木の枝に結び付けている短冊には、

「あわはまた うらみもあさき さくら哉」 という好きな人に逢えない恋心の歌が書かれているのだそう。

何でまたそんなプライベートな気持ちを、わざわざ人前に晒すのだろう?

江戸時代の女性の心理はよくわからないわァ・・・・・と、一瞬思いかけたのですが。

よく考えたら、現代の人々のほうが、

SNSでプライベートな気持ちをガンガン晒してますね。

もしかしたら、この江戸の女性にもフォロワーがたくさんいて、

彼女が桜の木の枝に何かを結び付けるたびに、皆がチェックしていたのかも。

 

 

続いて紹介したいのは、勝川春好の 《江戸三幅対》

 

勝川春好 《江戸三幅対》 大判錦絵 天明後期 (1785~89) 頃 太田記念美術館

(注:展示期間は前期7月23日~8月23日)

 

 

歌舞伎界から初代市川鰕蔵、花柳界から扇屋の遊女・花扇。
そして、相撲界からは、勝率9割5分 (!) の谷風が描かれています。

当時の3大スターが夢の競演。

今でいえば、キムタクとガッキーとイチローが競演している感じでしょうか (←?)
谷風と花扇の飲み比べ対決を、行司役の初代市川鰕蔵が見守っています。

・・・・・・いや、鰕蔵も飲めよ。

 

 

最後に紹介したいのは、歌川国芳による激レアな作品。

《蛸の入道五拾三次 日本橋/神奈川》 です。

 

 

 

タコを擬人化するだけでも、かなりのユニークさですが。

よく見ると、擬人化されたタコが乗っている馬もまた、タコでした。

4本の脚で立っていますね。

「では、残りの4本は?」 と思ってよく見てみると、尾っぽが4本のタコ足になっていました。

さすが国芳。

芸が細かいです。

 

 

 会期:2020年7月23日(木・祝)~9月22日(火・祝)

 ※前期7月23日(木・祝)~ 8月23日(日)、後期8月25日(火)~ 9月22日(火・祝)
 ┃会場:東京都美術館

 ┃注:日時指定入場制
 ┃https://ukiyoe2020.exhn.jp

 

 


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“The UKIYO-E 2020展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、8月10日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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