今回のニューヨーク旅行では Hotel Pennsylvania に宿泊した。

ミッドタウンのど真ん中にある Penn Station の真向いに位置するホテル。客室数が1700を超える、古くて巨大なホテル。

日本からの団体ツアーの宿泊先としても利用されているホテルなので、泊まったことはなくても、名前だけは聞いたことがある、という方もいらっしゃると思う。

実を言うと、自分にとっての Hotel Pennsylvania もそんな認識だった。あ、ここってツアーでよく利用されている比較的手頃な価格帯のホテルだよね、と。



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宿泊先にこのホテルを選んだ理由は、1に価格で、2に価格、3,4がなくて5に価格、だった。

Penn Station の目の前、という立地条件も決して悪くはなかったのだが、個人的に34丁目のヘラルドスクエア周辺は雰囲気がゴミゴミとしていて好きではない。

同じミッドタウン・ウエストでも、できれば45丁目より上、セントラルパーク・ウエストまで歩いて行かれる立地が理想。

が、2年前に宿泊した46丁目のホテルは時期的に一泊300ドルに高騰しており、泣く泣く一泊160ドルの Hotel Pennsylvania で妥協したという次第。

自分の勘違いで「キャンセル不可」の条件下で部屋を予約してしまっていたので、たとえ渡航前に気が変わろうと、もう宿泊先の変更はできない。

なので、良くないことが書かれていたら出発前に気分が沈んでしまうので、いわゆる口コミサイトの類は一切見ないようにしていた。

が、何を血迷ったのか、出発を1週間後に控えた頃に急に気になり、よせばいいのに、アメリカの口コミサイトを覗いてみてしまった。

アメリカ人は良くも悪くも感情表現がストレートなので、良い点を大げさに褒めちぎってくれる反面、悪い点はクソミソに貶す。

ちょっと対応が悪かったお店に対するレビューなんかを読むと、


「・・・そこまでボロクソに言わなくてもいいだろー!」


と、つい何の関係もないそのお店の肩を持ちたくなってしまったりするほど。

なので、非常にドキドキしながら口コミサイトを覗いてみたのだが、覗いてみた瞬間、覗いてしまったことを後悔した。

口コミの最高ランクが星5個なのに対し、Hotel Pennsylvania の星の数の平均は1.5個。

しかも、料理の写真などが山のように投稿されるレストランとは違い、口コミ対象がホテルの場合、一般的に写真が投稿されることはあまり多くない。

が、Hotel Pennsylvania の場合はなんと1,500枚以上の写真が!

1,500枚全部に目を通したわけではないが、ザッと見た限りでも、そのほとんどがネガティブな意味で投稿された写真だった。

たとえば壁のシミとか、バスルームの欠けたタイルとか、ホーンテッドマンションを連想させる廊下とか、汚れたカーペットの写真とか。

それらの写真の1枚、1枚が、


ちょっと見て下さいよ! 私たちは、こーんなに汚いホテルに泊まったんですよ!


と主張していて、決して誇張ではなく、見ているうちに具合が悪くなってきた。

口コミの内容も数ページほど目を通してみたのだが、書かれている内容はほとんどがネガティブなものばかり。


「良いのは立地と価格だけで、それ以外は最悪!」

「とにかく古くて汚くて掃除も行き届いていない!」

「チェックイン、チェックアウトは常に長蛇の列。1時間は待つ覚悟を!」

「部屋には冷蔵庫もコーヒーメーカーもなし!」


異口同音にそんな感じの口コミが並んでいたので、ホテルに関してはもう何も期待するまい、と覚悟を決めた。

最低限の条件として、シーツとタオルが清潔であれば他はもういい! あと、無料Wi-Fiが問題なく使えれば、それ以上はもう何も求めない!

そう心の中でつぶやきながら、いざニューヨークに到着し、いざチェックイン。

口コミで「チェックイン、チェックアウトは長蛇の列」とさんざん脅されていたのだが、午後11時近く、と遅い時間だったせいか、ほとんど待つことなくチェックインできた。

で、通された7階の部屋はこんな感じ。



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・・・見るからに古く、何かが出そうなヤバい雰囲気がしなくもない。

でもでもでもでも、1人でこの部屋に泊まるんだったらイヤだけど、家族3人で一緒のベッドに眠るからきっときっと大丈夫、と自分に言い聞かせた。

実際、その部屋はもう何年も誰も泊まっていない部屋らしく、あちこちに埃が。テレビが置いてあった棚の後ろなんて、ものすごい量の蜘蛛の巣!

しかし、ルームチェンジをしてもらったところで、次に通される部屋もまた同じような部屋である可能性が高い。

だったらもう、そんな無駄なエネルギーを使うのはやめて、雨露しのげればOK、と割り切って、この部屋で寝泊まりすることにしよう。

そう諦観しかけた時、テレビが映らない、と夫が言い出した。リモコンのボタンを押しても、電源を抜き差ししても、テレビが映らなかったのだ。

すべてに関して諦めモードだった自分は、他の部屋でも映らないんじゃない? と言ったのだが、夫は納得せず、フロントに電話をかけた。

すぐに人を行かせます、と言われたのだが、待てど暮らせど誰もこない。待ちくたびれておかしくなりかけた約1時間後に、やっと作業着姿の人が登場。

テレビの後ろをあれこれいじった挙句、ダメですね、と言い残して去って行った。

一体どうしろってんじゃい! と思っていると、フロントから電話がかかってきて、部屋をチェンジしますので、荷物をまとめてフロントまで来て下さい、ですと。

実を言うと自分はこのあたりのことをあまりはっきりと覚えていないのだが、夫いわく、自分はどうも、その古くてヤバそうな部屋を離れることを頑なに拒否したらしい。

かなりヒステリックな口調で、


「今さらまた荷物をまとめてフロントまで降りるのは面倒くさい! テレビなんて映らなくたって別に死にゃしないじゃないか! もう疲れた、もう疲れた、このままここで寝る、寝る、寝る!」


と、わめいていたらしいのだが、夫と娘に引きずられるようにして部屋の外に出された。

そして、部屋の外に出た瞬間、大人しくなったらしい。部屋の中にいた何かに憑依されていた・・・なんてことはないと思うけどね。

ちなみに上記の部屋は Hotel Pennsylvania の711号室です。行くことがあるかもしれない方のために、一応参考までに書き残しておきます。

さて、そんなこんなで荷物をまとめてフロントに向かったわけだが、その時点で時刻は夜の12時を軽く回っていた。

フロントで順番が回ってきた時に、


「あの、最近リノベーションした部屋とかありませんかね? さっきの部屋はちょっと古すぎて・・・」
  

とダメ元で言ってみたのだが、言ってみるもんですね。なぜなら、次にあてがわれた11階の部屋はこんな感じだった。



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お、意外と小奇麗じゃん!

まあ、細かい点を言い始めたらいろいろとあるけど、最初の部屋に比べたらずっと新しいし、すべてがニートに整っている。

部屋自体は少し狭くなって、スーツケースを広げられるスペースがなかったが、バスルームのタイルも綺麗になっていたし、ミニ冷蔵庫まで付いている。

やっぱり、ダメ元でも何でも、言ってみるもんですね! 最初から諦めてしまってはダメですね!

というわけで、合計9泊したこの Hotel Pennsylvania のメリットとデメリットを。


【メリット】
①立地がいいこと。
②宿泊費が比較的安いこと。
③ロビー、客室内で無料Wi-Fiが使えること。

【デメリット】
①施設が古いこと。
②掃除が行き届いていないこと。
③時間帯によってはフロントの前に長蛇の列ができること。


ま、口コミに書かれていた内容とほぼ同じ結果になりましたね。

立地は本当に最高級に便利で、地下鉄もたくさんの路線が通っているため、どこに行くにもほぼ乗り換えなしでアクセスできて助かった。

しかも目の前の Penn Station から Long Island Rail Road (LIRR) に乗れば、JFK空港まで安く(約15ドル)、早く(約30分)行くことができる(途中で乗り換えあり)。

自分は今回の旅行で初めてこの LIRR を空港との往復に利用したのだが、タクシーや空港バスに比べて、あまりの快適さとコスパの良さに感動してしまった。

また、ホテルの近くには手頃な価格で食事ができる場所も数多くあり、スーパー(Target)やデパート(Macy's)もすぐ近くにあって買い物にも便利。

ただ、Penn Station と Madison Square Garden がすぐ近くにあることから、常に人が多くてゴミゴミとしており、静かで洗練された環境、とは無縁。

あと、これはあくまでも自分のこれまでの経験からによるものなのだが、ホテルが高級になればなるほど、なぜかWi-Fi環境は悪くなる。

ロビー周辺は無料Wi-Fiが飛んでいることもあるが、客室内は有料Wi-Fiのみで、一日あたり20ドルほどの金額がチャージされる割には接続状況も速度も良くない。

逆に、Hotel Pennsylvania あたりのレベル(中級)ホテルの方が、ロビーでも客室内でも無料Wi-Fiが使い放題で、利用者サイドとしては非常に助かる。

次にデメリットだが、やっぱり掃除が行き届いていない点を挙げたい。

まず、一応カーペットが敷き詰められてはいるけれど、部屋の床が汚すぎる! 仮に食べ物を落としたりしたら、3秒ルールを適用どころか、即廃棄決定!

断言できるが、毎日のルームクリーニングでは絶対に掃除機をかけていない。せめてチェックアウト後、客が入れ替わる際にはかけていると思いたい。

バスルームの掃除もかなーり適当。

試しに髪の毛を1本、壁の目立たない場所にくっつけておいたのだが、チェックアウトする時まで、そのまま同じ場所にあった。

潔癖症の人は、たとえもう少し高いお金を払うことになったとしても、絶対に別のホテルに泊まることを強くおすすめする。

自分は事前に口コミを読んで掃除のいい加減さを知っていたので、履き古したスリッパを持参して部屋で使い、そのまま捨てて帰ってきた。

素足や靴下では絶対に歩けないというか、歩きたくないレベル。

それから、フロントに長蛇の列ができる件に関しては、客室数が1700もあるマンモスホテルなので、ある程度は仕方がないと思う。

が、滞在中に観察した結果わかったのだが、ピークの時間帯を外せば、さほど列は長くならない。

ピークの時間帯は、午後3時から午後6時くらいまでの間(チェックイン)と、午前10時から11時過ぎの間(チェックアウト)。

以上、ニューヨークで比較的安く宿泊できるホテルを探していて、Hotel Pennsylvania の存在を知り、検討中の方はぜひ参考にして下さい。

あと、そうそう、朝食が一応無料だった。



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毎朝、ロビーの片隅にこんな感じのスペースが登場し、ジュース(または水)、パン、コーヒー(または紅茶)が配布される。

上の写真を撮った時間帯は午前6時過ぎだったので人がほとんどいないけど、午前8時過ぎになると、これまた長蛇の列になるので要注意。

持ち帰った朝食は、ロビーの椅子で食べることもできるけど、自分たちは毎回、部屋に持ち帰ってから食べた。



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なにしろ床の上に落としてしまったら一巻の終わりなので、絶対に落とさないように、細心の注意を払いながらデスクの上で食べるのよ。

パンは、べちゃっと甘いドーナツか、これまたべちゃっと甘いデニッシュ系かの二択。ベーグルもあったけど、トースターがないので選んでいる人は皆無だった。

まあそんなこんなで、ホテルライフはお世辞にも快適とは言えなかったけれど、住めば都、とは言ったもので、滞在しているうちに、それなりに愛着も芽生えてきた。

が、もし次回またニューヨークを訪れる機会があったなら、その時は全力で(全力で、かい!)他のホテルを探しまくりたいと思う。

場所は便利なんだけど、床の汚さがやっぱりちょっとね。


部屋によっては、窓からエンパイアステートビルが見えるらしい。自分たちの場合、窓から見えたのは隣の建物の壁ですた。

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