10月25日発売の月刊アクション12月号に『乙女戦争（ディーヴチー・ヴァールカ）』55話が掲載されました！
ドイツ騎士団領への遠征を敢行したフス派軍はついに宿敵・黒騎士ヴィルヘルム率いる騎士団との決戦に臨みます。
実を言うと、今回描いたような会戦は史実では行われていません。
フス派軍がポーランド軍などとともに騎士団領に攻め込んであちこち荒らし回ったのは事実ですが、騎士団側は戦力不足からか都市や拠点に籠もって防衛に徹しており、帝国からの援軍を待つことしかできませんでした。
遠征軍はダンツィヒ（グダニスク）を包囲した後、近郊のオリヴァ修道院を破壊し、バルト海の沿岸に到達。初めて海を見るフス派の兵士たちは海水を瓶に詰めるなどして大いにはしゃいだとか。
その後、帝国からの援軍が接近すると、ポーランドとの和平交渉が行われ、フス派軍はボヘミアに帰国しました。
史実では以上のような展開なのですが、無敵のフス派軍と精強なドイツ騎士団が真っ向から戦うとどうなるのか見てみたい、描いてみたい！と思って、あえて架空の戦闘をでっち上げました。
今回は甲冑を着た騎士と兵士が入り乱れて戦う場面が多くて、いつも以上に作画が大変でしたが、楽しんでもらえたらうれしいです〜
第51話から今回の55話までが単行本11巻収録分になります。
11巻は12月12日発売予定です。
単行本作業のため、次号の月刊アクションは休載させていただきます。
例によって、先月分の54話がニコニコ静画で公開されました。
フス戦争終結まであと8ヶ月。
『乙女戦争』完結まであと5話です。
どうぞ最後までお付き合いください！
ドイツ騎士団領への遠征を敢行したフス派軍はついに宿敵・黒騎士ヴィルヘルム率いる騎士団との決戦に臨みます。
実を言うと、今回描いたような会戦は史実では行われていません。
フス派軍がポーランド軍などとともに騎士団領に攻め込んであちこち荒らし回ったのは事実ですが、騎士団側は戦力不足からか都市や拠点に籠もって防衛に徹しており、帝国からの援軍を待つことしかできませんでした。
遠征軍はダンツィヒ（グダニスク）を包囲した後、近郊のオリヴァ修道院を破壊し、バルト海の沿岸に到達。初めて海を見るフス派の兵士たちは海水を瓶に詰めるなどして大いにはしゃいだとか。
その後、帝国からの援軍が接近すると、ポーランドとの和平交渉が行われ、フス派軍はボヘミアに帰国しました。
史実では以上のような展開なのですが、無敵のフス派軍と精強なドイツ騎士団が真っ向から戦うとどうなるのか見てみたい、描いてみたい！と思って、あえて架空の戦闘をでっち上げました。
今回は甲冑を着た騎士と兵士が入り乱れて戦う場面が多くて、いつも以上に作画が大変でしたが、楽しんでもらえたらうれしいです〜
第51話から今回の55話までが単行本11巻収録分になります。
11巻は12月12日発売予定です。
単行本作業のため、次号の月刊アクションは休載させていただきます。
例によって、先月分の54話がニコニコ静画で公開されました。
フス戦争終結まであと8ヶ月。
『乙女戦争』完結まであと5話です。
どうぞ最後までお付き合いください！
コメント
コメント一覧 (13)
これからも記事及びコメント欄を楽しみにしています。
大西巷一
が
しました
「フス派遠征軍も負けず劣らず激しい略奪を行っただろうと思いますが、」
第５５話では『大量の戦利品をボヘミアに持ち帰った』と書いてあります。ドイツ騎士団領の農民にとっては、フス派遠征軍は何もかも奪い取る悪魔でしかなかったでしょう。
ポーランド・リトアニア連合との戦に敗れ、フス派遠征軍との戦いにも敗北したドイツ騎士団は衰退していったことは史実です。
なお、中世の居酒屋が重要な場所であったことを知って、なるほどと思いました。
グーテンベルクが活版印刷を発明する前、識字率が極めて低かったこの時代は口コミが農民層の情報源でした。その口コミが発生する居酒屋の存在は極めて大きかったとのことです。居酒屋を管理することで農民を管理していたことに納得しました。
教えていただき、ありがとうございます。
大西巷一
が
しました
フス戦争にはいろんな側面があると言えます。
カトリック派とフス派の宗教戦争でもあり、ドイツ人とチェコ人の民族対立でもあり、貧しい人々と豊かな人々の階級闘争でもあり。
チェコ語を話すチェコ人（主にボヘミア人とモラヴィア人）としての民族意識はこの時代からあったようで（現代のチェコ民族主義とイコールではないですが）、チェコ人が多数を占めるフス派が外国人であるドイツ人を目の敵にして攻撃したこともありますが、その一方でフス派のドイツ人というのも少なからずいて、他でもないターボル派の指導者のプロコプも元はドイツ人商人でした。
ざっくり《カトリック派・ドイツ人・富裕層》と《フス派・チェコ人・貧困層》という構図が想定できますが、当てはまらないケースも多々あります。
わかりやすく単純化するのは難しいのですが、歴史というのは、一つの事柄をいろんな角度からいろんな見方ができるのが面白いところだと思います。
大西巷一
が
しました
実際はフス派遠征軍も負けず劣らず激しい略奪を行っただろうと思いますが、今回は騎士団側の敗因をわかりやすくするためにああいう展開にしてみました。この頃からドイツ騎士団は領内の農民や都市に叛かれていくようになります。
あと居酒屋というのは重要な役割があって、村人が交流する場だったので騎士団は領地の支配と管理に積極的にこれを利用しました。居酒屋の主人を通じて村の情報を管理したり、不審者の通報をさせたり。村が反乱を起こす時には居酒屋から火がつくことも多かったので、ここに手綱をつけておくのが効果的だったのでしょう。
大西巷一
が
しました
フス戦争は宗教戦争だったのか、チェコ人の独立戦争だったのか、階級間の闘争だったのか、と長期間にわたって論争が行われました。
現在の所、フス戦争は宗教戦争だったとされています。それを示した論文があります。
「早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊 15号-2 2008年3月 15世紀のボヘミアのフス派運動」
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=2ahUKEwiJm7ixp9neAhVHfbwKHQELCScQFjAAegQICRAC&url=https%3A%2F%2Fwaseda.repo.nii.ac.jp%2Findex.php%3Faction%3Dpages_view_main%26active_action%3Drepository_action_common_download%26item_id%3D10182%26item_no%3D1%26attribute_id%3D162%26file_no%3D1%26page_id%3D13%26block_id%3D21&usg=AOvVaw19n93Z3VbUbAfT9F7JxjWK
『乙女戦争』にはドロテアという関西弁を話すフス派軍「天使隊」のキャラが登場します。彼女はドイツ人です。
フス派の中心はチェコ人の信者でしたけれど、ドイツ人もかなりいました。ポーランド人の信者がいたことも本作品の中に描かれています。
一方、カトリックの信仰を保ち続けるチェコ人も大勢いました。
フス戦争は、チェコ人がフス派とカトリック派に分かれて戦った内戦の側面がありました。
ドイツ人が皇帝である神聖ローマ帝国の支配にチェコ人が不満を持っていたことは事実です。ボヘミア（チェコ）に入植していたドイツ人との対立はありました。しかし、現在のような民族主義の意識はありませんでした。
フス戦争は、民族対立ではなく宗派の違いによって起こった戦争だったとするのが妥当です。
大西巷一
が
しました
教義の違いではなく、ドイツ人からのチェコ人の独立戦争及び革命だと思って読んでいます。
ジュシカのフスへの回想シーンがすごく好きで、農民が戦う人よりも強くなったら、、今まで騎士には敵わず諦めていたチェコ人が抵抗するようになるなと。まずローマ教会の権威はフスが結果的に否定して、騎士が代表する権力へ抵抗する力はジュシカがチェコ人に与えてると考えました。
少しの教義の違いで殺しあわなくても、と感想を書く方がいますし私も昔そう考えていましたが、作家の井沢元彦氏の本には戦国時代に仏教徒は教義の違いで殺しあっていて応仁の乱よりもひどい焼き討ちもあった、それを信長、秀吉、家康が止めたと書いています。
乙女戦争でもなぜカトリックに改宗しないのかと思うシーンがありますが、カトリック教徒も1巻で十字軍に暴行されるシーンがあり、フス派の少女たちも教義について話すことはなく、騎士にいきなり友人を殺されても何もできない話があり、改宗とは暴力団の支配を受け入れるようなものに過ぎないのかなと感じております。
フス派の内部紛争はフランス革命での革命家の殺し合いのように、フランス王とういう絶対的な存在を処刑した革命家は、自分たちの仲間を殺すことに抵抗がなくなったと確か山本七平氏が書いていたのを思い出します。
大西巷一
が
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騎士が馬から降りて横一列に並んでフス派軍を迎え撃ちました。この戦い方で、「戦う人」騎士と、「耕す人」農民の差がハッキリしました。圧倒的な戦闘能力の差を騎士は見せつけました。ところが騎士たちは調子に乗った結果・・・。
架空のドイツ騎士団とフス派軍の激突であっても、非常に興味深い場面でした。
大西巷一
が
しました
前回の第54話で描かれたようにフス派軍が侵攻したバルト海沿岸のドイツ騎士団領は、ヨーロッパ屈指の小麦の産地でした。フス派軍が占領しようとしたダンツィヒ（グダニスク）はバルト海交易の拠点でした。
豊かな土地と交易の拠点がある故に、奪回をめざすポーランド・リトアニア連合と、奪われまいとするドイツ騎士団が熾烈な戦いを繰り返しました。その度に農民（ドイツ人入植者）は巻き込まれて苦しみました。居酒屋の老人が語る「飢餓戦争」はその最たるものです。
ドイツ騎士団が守ろうとしたのは領地であって、民ではありませんでした。そのためにドイツ騎士団はフス派軍に敗れました。
「何が信仰を守るための聖戦だ。俺たちを守らないくせに！」と農民は騎士団を裏切りました。
信仰よりも生存を農民は優先しました。当然の選択です。
大西巷一
が
しました
今回はシャールカとプロコプ師「裏切り」をフス派軍は知り納得するという、なんとも不思議な展開になりました。これが政治だな、と思いました。
政治の妙を描いているのが『乙女戦争』の魅力です。
大西巷一
が
しました
はい、騎士があえて馬を降りて戦うという戦法も実はしばしば見られました。
当初ヴィルヘルムは今回で退場する予定でしたが、予定変更。
今後の展開にもどうぞご期待ください！
大西巷一
が
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ぼくは歌舞伎を生で観たことはまだ一度もないのですが、以前ブログで書いたように歌舞伎の歴史はとても興味深いと思っています。幕府による「表現規制」の結果、独特の発展を遂げて世界的にもユニークな伝統芸能が生まれたわけですし。
大西巷一
が
しました
大西巷一
が
しました
ふと、大西先生のブログを『京都』で記事検索してみたら出雲の阿国の記事が出てきましたので、今回は歌舞伎関連のことを書いてみます。
闘牛が嫌いなスペイン人も多いように、僕は日本人ですが歌舞伎ははっきり言って嫌いです。理由は、歌舞伎界があまりにも因循姑息だからです。
遊女歌舞伎や若衆歌舞伎を禁じた江戸幕府が滅びて１５０年も経っているのに、歌舞伎界は遊女歌舞伎や若衆歌舞伎を復活させようともしません。因循姑息で時代錯誤の極みです。松たか子さんが歌舞伎役者になっていたら、歌舞伎は爆発的な人気になっていたことでしょう。
もっとも、劇団前進座の歌舞伎には女性も出演していますが。
http://www.zenshinza.com/index2.htm
前進座のホームページです。
前進座は歌舞伎以外の演目も上演していますが、僕は前進座の『よだかの星』を観たことがあります。
生きているうちに一発も当たらなかった宮沢賢治は、何発も当てたばっかりに不幸になったコナン・ドイルよりずっと幸せだったはずです（ちなみに市川海老蔵さんは『名探偵コナン』に本人役で出たことがあります）。
P.S.よりによって隠し子のいる海老蔵さんと結婚した故・小林麻央ちゃんは、本当にツワモノです。
大西巷一
が
しました