タイトルの半端な数字だと、ピンとこない方が多いと思いますが・・・これは、今からちょうど50年前の今日・1968(昭和43)年12月10日に起きた、いわゆる
三億円事件
で犯人が奪った正確な金額なんです。
同日、日本信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)国分寺支店から東京芝浦電気(現・東芝)府中工場に、従業員ボーナス約3億円が入ったジュラルミン製トランク3個を積んだ現金輸送車が、府中市栄町の路上で偽装白バイに乗った警官を装う犯人に制止されました。
「このクルマに爆弾が仕掛けられています。」
数日前支店に爆破予告があったこともあり、行員達はこの犯人の言葉を信用してクルマを降ります。
犯人は車体下に潜り込み、発炎筒に点火。
「爆発するぞ、早く逃げろ!」
そう叫ぶと、輸送車を運転して走り去りました。
それを呆然と見ていた行員は、爆弾を遠ざけるために走り去ったと勘違い、「勇敢な人だ」と思ったといいます。
現代から見れば何とも単純な犯行(※刑法上では強盗ではなく窃盗罪)というか、ある意味見事な心理犯罪だったともいえますか・・・。
残されたニセ白バイと現場検証する警察
当時の大卒初任給が約3万円だったそうですから、現在なら20億円以上の大金・・・まさに〝史上最悪の窃盗事件〟ともいえるでしょう。
(↓)は、事故後に作成された、あまりにも有名なモンタージュ写真です。
※しかしこれは、全く別人の顔写真にヘルメットを合成したものであることが後に暴露されています。
警視庁は偽装白バイやハンチング帽、メガホンに逃走車両のカローラ等々、多数の遺留品があることで、犯人逮捕は時間の問題と高を括っていたようです。
しかし犯行当日、杉並区内の検問で犯人が運転していたと思われる、ジュラルミンケースを載せたクルマを取り逃がすなどの失態もあり、結局犯人を特定・逮捕することは出来ず、1975年に時効となりました。
この事件を契機として、給与については現金支給から急速に銀行振込が普及したのですが・・・。
おかげで、それまで毎月給料袋を持ち帰り、一家の大黒柱としての威厳を保っていた背のお父さんたちの立場は急速に低下。
その意味では、男性にとって大変迷惑な事件でもありました。
この3億円は保険会社が補填し、東芝社員にはボーナスも無事支給されました。
また保険会社も再保険により損害をカバーしており、結局誰もその損害を被らなかった形になっています。
・・・実はその元受会社、私がかつて勤務していた損保でして、営業トークではこの事件を結構使わせていただきました。
何人かの容疑者が捜査線上には浮かびましたが・・・私は個人的に、立川の不良少年グループのリーダーだった、事件当時19歳で白バイ隊員を父に持つ〝少年S〟が犯人だったのでは? と思っています。
しかし彼は事件の5日後に青酸カリを飲んで自殺しており、コトの真偽は分かりません。
おそらく警察が自らの体面を保つため・・・っと、これより先は敢えて申しません。
もし、真犯人が生きていたら現在は7~80歳位でしょうか。
存命ならば是非名乗り出て、真相を語ってもらいたいものですが・・・それにしても、奪った3億円はどこに消えたのか?