国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

国鉄は高額納税者だった。第2話

2018-08-22 23:15:56 | 国鉄思いで夜話
前回は、
「なお、国鉄はこの納付金を払いながら、新幹線の建設、ローカル線の建設という離れ業を行っていく、ことになるのですが、この辺は改めて、記述させていただこうと思います」
と書かせていただきました。

さて、今回は納付金の仕組みについてもう少し具体的にお話をしたいと思います。

鉄道の利便性が上がると納付金も増える?
戦後、国鉄では輸送力増強のために車両増備や電化などを行いました。
じつは、国鉄に課せされていた納付金は、国鉄が保有する財産に課税するものでした。
当然のことながら、車両が増えれば車両分の納付金が増えます。
また、車両増備に伴い、電車区などを拡張若しくは新設すれば当然のことながら、その拡張分だけ納付金が増えます。
そして、意外なのは、電化すると納付金が上がるわけです。

画像 wikipedia
その理由は、
1)線路だけですと、線路に関する地代だけしか発生しません。
2)電化しますと、変電所や架線、電柱といった構造物が増えます。この増加した構造物も固定資産として納付金が発生する訳です。


鉄道が開通すると納付金も増える?
当然のことなのですが、線路が開通しますと、新たに土地を取得して線路が引かれるわけですから、その分納付金が増えます。
もちろん、一日何十万人も乗車する鉄道であれば、こうした納付金を支払っても十分ペイできますが、一日数人しか乗らないような赤字ローカル線の場合。仮にほとんど列車を走らせていなくとも、固定経費としての納付金が発生します。
ちょうど、自動車の車検のようなものです。
年の数回程度しか動かさないとしても、2年に1度の車検はやって来ますし。
車検を受けなければ、自動車を動かしてはいけませんが、ローカル線も似たようなもので、経費削減で走らせる本数を極端に絞っても、言っての税金は固定費として発生することになります。
当然のことですが、国鉄時代に多くのローカル線が誕生しましたが、ローカル線が開通するたびに、電化により鉄道自体の利便性が増える度に、「国鉄は負担が増えて、地元自治体は何もしなくても納付金が増える」仕組みだったのです。

結果的に、国鉄は第1次5か年計画で施設の改良などを開始しますが、施設の改良【特に電化等】で地上施設が増えるとその分国鉄の負担も増える仕組みとなっていたのです。

実際、国鉄の納付金は、近代化と車両増備で増え続けることとなりました。
国鉄が赤字を計上した、昭和39年以降は、納付金の減免を政府と交渉しますが、政府と言うよりも地方自治体が反対する結果となり、国鉄としてはローカル線を廃止したいのだが、地元住民が納得しても地方自治体が納得しないと言ったことも実際にあったようです。
その辺は、改めて今後調査してアップしたいと思います。

地方納付金以外にも国鉄は地方にお金を支払っていた?
少し古い資料を調べて見ますと、昭和26年から、「道路負担金」なるものを国鉄が地方自治体に支払っているという事実が見つかりました。

これは、戦前からの、流れをくむものだそうで、国鉄自動車が道路を使用するので道が痛む、だからその分を鉄道省が内務省に対して負担金を支払っていたものであり、戦後内務省が解体され、鉄道省も国有鉄道として分離したことから、その枠組みは変わりましたものの、地方への納付金という形で、国鉄が建設省に支払う形で残されていたものだそうです。

地方納付金の流れも、こうした負担金を国鉄が支払っていたことを根拠にして制定したものと思われますが、昭和36年にさらに、国鉄では、地方納付金とは別に自動車にも税金をかけるとして、従来の道路負担金の減免を求めて、建設省に申し入れたとされています。

国鉄線 昭和36年9月号参照
以下、上記資料の内容を全文を引用します。

道路分担金
道路分担金は、昭和二十六年に結ばれた「道路費の負担に関する建設省、日本国有鉄道協定」によって道路管理者に支出されるものであり、昭和三十五年度の決算額は大略七六六四万円となっている。その根源は、国鉄自動車創業当時、貧弱な日本の道路を利用して営業を行うため改修工事を施し、又開業後も改良費を投じて道路管理者に協力したことによるもので、昭和二十六年の協定改訂が行われるまでは昭和十一年内務省と鉄道省との間に結ばれた負担協定によっていた。分担金は改修、改良、維持修繕及び災害費に大別され、改修費は自動車運粗事業開始に伴う道路改良工事に、残り三者は実施後の道路工事に対して分担する。この協定による分担金制度は、道路の発達を促進する一助としての意味を多分に有していたもので、別業予算の許す範囲内で進んで分担してきたものである。
その意味でこの協定は片務契約であり、分担金としての性格と共に補助金としての性格を兼ねるものである。
 この四月三十日に、地方税法の一部改正が行われ、国鉄等三公社の事業用自勁車に対し自動車悦(府県税)が課せられることとなった。標準税率は、トラックー台年額一万五〇〇〇円、バスは、観光貸切用年額三万円、その他年額一万四〇〇〇円となり、この標準税率を用いて国鉄自動車の三十六年度の自勁車税を概算すると約五〇〇〇万円となる。自動車税賦課に伴う事務手続については、目下検討している。
 国鉄自勁車が自動車税を賦課されると民間と同等の立場となり、更に道路分担金を支出することは経営的に困難となる。只今、建殼省との間で、税に見台いの都道府県分の道路分担金については原則として負担を行わないことで話合いを進め、大方の意見の一致を見ている。



にほんブログ村 鉄道ブログ 国鉄へにほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 国鉄へにほんブログ村

併せて是非ご覧ください

国鉄は高額納税者だった。第1話
国鉄は高額納税者だった。第3話
国鉄は高額納税者だった。第4話

********************************************************
取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に
blackcat.kat@gmail.comにメール
またはメッセージ、コメントにて
お待ちしております。

国鉄があった時代 JNR-era
********************************************************

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国鉄は高額納税者だった。第1話 | トップ | 国鉄は高額納税者だった。第3話 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国鉄思いで夜話」カテゴリの最新記事