私の職場に、電気ポットなどという文明の利器はない。
「お湯、沸かしてあるよ」
「わーい、ありがとうございます」
毎朝、数学科の再任用の先生が、やかんで沸かしたお湯を魔法瓶に入れてくれる。彼が休みのときは、私がやっている。
だが、私の席はガスコンロから離れているので、お湯のことをすっかり忘れてしまうときもある。30分ほど経ってから思い出し、シュンシュンと怒り続けているやかんに肝を冷やした日も少なくない。
気の利く先生が「あとは私がやってあげよう」と魔法瓶に入れてくれたこともあるが、火事になったら大変だ。何とか、忘れない工夫をせねばならない。
「電気ポットだったら楽勝なのにねぇ」
前の職場では電気ポットを使っていた。水を入れれば自動的に沸騰させ、98度にキープしたまま待っていてくれる。便利な反面、水を補充し忘れてカラカラになったり、最後の職員が電源を切らずに帰ってしまったりで、ヒヤリとしたときもあった。
何を使うにせよ、火の用心を怠ってはならない。
「どうして忘れちゃうんだろう。パソコンに夢中になるからかな?」
そこで、ノートパソコンの画面の上に、「お湯」と書いた付箋紙を貼ってみた。
「うん、これなら忘れないかも」
たしかに、ある程度の効果はあったが、神経が文字に集中するとダメだ。
「あ、そういえば、さっき……」
あわててコンロに飛んでいき、激しく湯気を立てているやかんに怒られる。何で、こんなポンコツに成り下がってしまったのかと落ち込んだ。
やっと、最近になっていい方法を思いついた。お湯が沸くまで、ちょうど9分とわかったからだ。
「えーと、今、7時50分でしょ。59分になったらまた来よう」
不思議なことに、「○時に××」というおぼえ方なら、私は忘れないらしい。腕時計をちらりと確認し、ナイスなタイミングでガスコンロに向かう。やかんもゴゴゴゴとテンションを上げており、「よし、来たな」と褒めてくれる。
ピロリ菌退治の抗生剤もこの手で乗り切った。夕食後は、なんやかんやで飲み忘れの危険がある。だから、食べ終わったときに時間を確認し、「今8時だから、薬は8時半に飲もう」と自分に理解させる。何とか7日間、忘れずに飲み切ったことがうれしい。
何で数字ならおぼえていられるのだろう。
計算が苦手だから、適度な緊張感が保てるのかな……?
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「お湯、沸かしてあるよ」
「わーい、ありがとうございます」
毎朝、数学科の再任用の先生が、やかんで沸かしたお湯を魔法瓶に入れてくれる。彼が休みのときは、私がやっている。
だが、私の席はガスコンロから離れているので、お湯のことをすっかり忘れてしまうときもある。30分ほど経ってから思い出し、シュンシュンと怒り続けているやかんに肝を冷やした日も少なくない。
気の利く先生が「あとは私がやってあげよう」と魔法瓶に入れてくれたこともあるが、火事になったら大変だ。何とか、忘れない工夫をせねばならない。
「電気ポットだったら楽勝なのにねぇ」
前の職場では電気ポットを使っていた。水を入れれば自動的に沸騰させ、98度にキープしたまま待っていてくれる。便利な反面、水を補充し忘れてカラカラになったり、最後の職員が電源を切らずに帰ってしまったりで、ヒヤリとしたときもあった。
何を使うにせよ、火の用心を怠ってはならない。
「どうして忘れちゃうんだろう。パソコンに夢中になるからかな?」
そこで、ノートパソコンの画面の上に、「お湯」と書いた付箋紙を貼ってみた。
「うん、これなら忘れないかも」
たしかに、ある程度の効果はあったが、神経が文字に集中するとダメだ。
「あ、そういえば、さっき……」
あわててコンロに飛んでいき、激しく湯気を立てているやかんに怒られる。何で、こんなポンコツに成り下がってしまったのかと落ち込んだ。
やっと、最近になっていい方法を思いついた。お湯が沸くまで、ちょうど9分とわかったからだ。
「えーと、今、7時50分でしょ。59分になったらまた来よう」
不思議なことに、「○時に××」というおぼえ方なら、私は忘れないらしい。腕時計をちらりと確認し、ナイスなタイミングでガスコンロに向かう。やかんもゴゴゴゴとテンションを上げており、「よし、来たな」と褒めてくれる。
ピロリ菌退治の抗生剤もこの手で乗り切った。夕食後は、なんやかんやで飲み忘れの危険がある。だから、食べ終わったときに時間を確認し、「今8時だから、薬は8時半に飲もう」と自分に理解させる。何とか7日間、忘れずに飲み切ったことがうれしい。
何で数字ならおぼえていられるのだろう。
計算が苦手だから、適度な緊張感が保てるのかな……?
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
特に昨年からポットのない部屋に移って、カップを持ってお湯だけもらいにいくようになってから、あら、沸かしましょうか…と始めたのに忘れてた❗がほとんど。
何分か分かったら変わるのかしら。
もはや、己を信用するより、お願いする方に傾いていたりします。
若い頃は“老い”なんて全く気にも止めなかったのに~
まぁしょうがないですね~
覚えているのはお湯だけに3分までが限度かな(笑)
でも時刻をインプットして覚えるほうがよっぽど難しいかも…
百均でタイマーを買ったほうが早そうですね(*^^*)ポッ
水道あるあるですね。
私はビニールプールでやりました。
郵便配達員からピンポンされ、「プールの水があふれていますよ」と教えてもらいました。
恥ずかしい……。
ドリンクとカップ麺はシャレになりませんね。
食べ物の恨みは恐ろしいんです(笑)
タイマー、私も使おうかしら。
時間を目安にしたら劇的に変わりました。
何事も数値化することが大事なのかも。
ぼんやりと先のことを予想しても忘れますよ。
自分の能力に見合った行動が大事です(笑)
最近はお湯を沸かしていません。
周りがやってくれるから、無理して頑張らなくていいかも……。
仕方ないですよ。
誰でも加齢とともに老化します。
人の名前が出てこなくても火事にはなりませんが、火の消し忘れは危険です。
気をつけねばと必死~(笑)
時間を測り、タイマーも活用して忘れないように心がけます。
9分という数字は、大きなやかんと強力なガスコンロの組み合わせで弾き出されました。
他のコンロだったら6分くらいかも?
水の量にもよりますね。
タイマーはいくつも持っています。
もっと活用しようと決めました(笑)
明日は今までサボっていたお湯当番をしなくては。
でも水の減り方が分からないのでうっかりしてしまうことも度々あります。
我が家でも昔は電気ポットを使っていました。
水質のせいか、底にカルシウムがたまり、ザラザラになるのがイヤでした。
東日本大震災のあと、節電のために片づけました。
なくても不自由はありません。
電気代節約、バンザ~イ(笑)
水をつぎ足す時に、カルシウムのザラザラを流そうとして何度か火傷しました……。