Summer break(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

奏は時計を見て、

 

「そろそろ・・」

 

とリュックを持った。

 

ひなたは彼をジッと見た。

 

そして横に立っているさくらを黙って見やった。

 

「え? な、なに???」

 

ひなたの視線があまりにも怖くて一瞬ビビった。

 

そしてひなたと奏を交互に見やって

 

「あー…っと。 ええっと。 喉乾いちゃったかなー。 向こうに自販機とかあったかなー」

 

さくらはやや慌ててわざとらしく後ずさりをしながらその場を離れた。

 

そんなさくらの姿に奏はふっと笑った後

 

「メールとか、LINEとか。 スカイプも。 マメにするから。 ひなも部活頑張って、」

 

ひなたに言った。

 

「ん、」

 

「今日もこれから部活だろ? 時間、大丈夫?」

 

「ん、」

 

ひなたはどんどん声が小さくなってしまった。

 

そして、スッと奏の手を握った。

 

「ホントはね。 ちょっとさびしいんだよ、」

 

小さな声でそう言った。

 

奏はその手をぎゅっと握り返す。

 

「・・離れても。 そばにいるって。 言っただろ?」

 

わかってるけど。

 

ひなたは猛烈に淋しくなってきた。

 

奏はひなたの頭に優しく手をやった。

 

「帰ってきたら。 ひなの時間がある時にどこかに遊びに行こう。」

 

「ほんと?」

 

「うん。 ちゃんと時間作るから、」

 

 

 

さくらは柱の影から尾行をする刑事のように二人をそーっと見ていた。

 

なんなの

 

あのピュアな感じ。

 

まったく。

 

子供のくせに。

 

 

見ている方が恥ずかしくなってきた。

 

そして奏はひとり機上の人となった。

 

 

「今日もあっついねえ。 熱中症にならないようにね、」

 

帰りの電車の中でさくらがひなたに話しかけた。

 

ひなたは窓の外をジッと見ていた。

 

「・・泣いてんの?」

 

さくらはその様子にぎょっとした。

 

「もー。さくら先生・・デリカシーのカケラもない、」

 

ひなたはハンカチで涙を少し拭いながら口を尖らせた。

 

「一生帰ってこないわけじゃあるまいし。 たった1か月じゃん、」

 

「さくら先生みたいに。 人生こなれてないんだから!」

 

「なによ。 人生こなれてないって。 ビービー泣くな。 これから奏がますます大きくなるためなんだから。」

 

さくらはひなたの頭を軽く小突いた。

 

「先生は。 ピアニストとしてのカナが好きなのかもしれないけど! あたしはピアノ弾いてないカナも好きなんだもん。 学校で会ってた普通のカナが好きなんだもん、」

 

ベソをかきながら言うひなたが何だかかわいくて。

 

「距離が離れて。 心が離れるくらいなら。 大した恋じゃないんだから。 ひなたの気持ちが本物なのかどうか。 きっとわかるよ。 そういう時間だよ、」

 

さくらはふっと笑った。

 

奏のためとわかっていても。ひなたはやっぱり寂しくて…

 

 

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