Summer break(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

他の友人たちは渋谷・新宿方面なので

 

いつも帰りの電車はひなたと佑真は一緒だった。

 

「ほんと。 オーラゼロだぞ、」

 

佑真は地下鉄の黒い窓に映る冴えないひなたの顔を見て言った。

 

「え? 別に・・あたしだってねえ、常にオーラ出してるわけじゃないんだからさ、」

 

ひなたも窓に映る自分も顔を見た。

 

「夏休みだし。 彼氏とどっか行かないの、」

 

佑真としては非常にやるせなかったが、彼氏の話を振ってみた。

 

「今。 いないもん。 日本に、」

 

ひなたはボソボソと答えた。

 

「え?」

 

「ウイーンに行っちゃった、」

 

その答えだけで、彼女のその元気のない原因がわかってしまった。

 

「・・だから。 落ち込んでんのか・・」

 

「別に! 落ち込んでないし! 夏休みになったらウィーンに行くことは前から決まってたことで、」

 

勢いよく反論しようとしたが、やっぱり途中でトーンが落ちた。

 

「帰ってくんの?」

 

「夏休みの終わりころ・・。 よくわかんないんだけど向こうの音楽学校でレッスン受けられるとか、なんとか。 この前コンクールでナントカ特別賞とかもらっちゃったから、」

 

「ナントカ、ばっかだな。 おまえぜんっぜんピアノに興味ないのな、」

 

佑真は笑ってしまった。

 

「とにかく。 しょうがないんだよ。」

 

「でも。 すげえんだな。 プロになるんだろうな、」

 

「あたしは。 ホントにわかんない。 パパの会社と契約しちゃったから…。 もうプロなのかもしれないけど、」

 

「パパの会社?」

 

「ホクトエンターテイメントでクラシックの仕事してたの。 今はええっと、なんだっけ。 ナントカ取締役?」

 

佑真はひなたの理解力不足がおかしくて思わず笑ってしまった。

 

「取締役? へえ。 大企業のエラいさんなんだな。 おまえお嬢さんなんだ、」

 

「お嬢さんじゃないよ。 別に。 あたしはクラシックのことさっぱりわかんないし。 カナのことはもう全部パパに任せてるし・・」

 

「カナ?」

 

佑真は敏感に反応した。

 

「え? あ。 彼のこと。」

 

「・・ふうん、」

 

あのイケメンがだんだんとひなたの彼氏として具体化してくるのが少しおもしろくない。

 

「パパは。 カナのこと世界に出したいんだって。 日本で終わらせたくないんだって。 だから・・」

 

その意味を考える。

 

「そっか。」

 

佑真は小さなため息をついた。

 

「別れちゃえば?」

 

そしてわざと明るくそう言った。

 

「ハア? や。 悪いんだけどさ。 正直、あたしより向こうのがあたしとつきあいたくて必死だからね? あたしのこと好きでどーしようもないんだからね?」

 

ひなたは顔をしかめてそう言った。

 

そんな彼女の顔をじーっと見て、佑真は思わず笑ってしまった。

 

「なによ、」

 

「もーーーー。 おまえ。 ほんっとにバカだな、」

 

佑真は周囲のことに全く理解をしてない彼女が、とりあえず自分のポテンシャルだけはめちゃくちゃ自信満々のこのギャップがおかしくてたまらなかった。

 

寂しさを思わず佑真にグチるひなた。それでも彼女らしい天然さに佑真は思わず笑ってしまい…

 

 

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