Summer break(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「この子は?」

 

マスターのフランツが奏を見た。

 

「まあ・・知り合いの子供。 今ウチの実家に居候してるんだけど。 ピアノやっててこっちに1か月間短期留学?かなんかで来ることになって、」

 

真尋はざっと説明した。

 

「へえ。」

 

ドイツ語の会話なので奏は何を言っているのかわからなかったが、自分のことを言われていることは何となくわかったので、小さく会釈をした。

 

そこに

 

「フランツ、悪い。 ちょっとここに荷物置かせてくれないか。 今出張から戻ったんだよ。 帰りに寄るから、」

 

突然一人の男性が入ってきた。

 

「パパ、」

 

マリーが思わず立ち上がった。

 

「マリー、・・あれ、マサも。」

 

「あんたの娘。 ずっとウチにいるんですけど、」

 

真尋が彼をジロっとにらんだ。

 

「えっ・・。 家に帰ってないの?」

 

「いいじゃん。 エリサもいいっていってくれてるし。 子供たちの面倒もちゃんとみてるし。 役に立ってるでしょ、」

 

マリーはふてくされて言った。

 

「悪いなあ、マサ。」

 

「や、おれもね。 あんま家にいないから。 いいんだけど。 とんでもない不良娘になっちゃったな。」

 

マリーの父、レオだった。

 

「あ。 あたしのパパ。」

 

奏ひとりが置いてけぼりになっているのに気付いたマリーがそう言った。

 

「あ・・ども、」

 

奏もどうしていいかわからず、ぼうっと会釈をした。

 

「マサの知り合いの子で。 ウイーンにピアノの短期留学で来てるんだって。 ええっと・・名前、なんだっけ?」

 

「奏、です。 高遠奏・・」

 

「そう。 頑張ってね。」

 

レオは人のいい笑顔を見せて言った。

 

すると真尋はいきなり

 

「とりあえず。 弾いてみる?」

 

ピアノを指差して奏に言った。

 

「え、」

 

いきなりのことに面食らった。

 

それに構わず真尋はピアノの蓋を開ける。

 

「どうぞ、」

 

そしてニヤっと笑った。

 

奏は戸惑いながらもピアノの前に座った。

 

少し指慣らしをしたあと

 

おもむろに弾きだしたのは

 

ショパンのバラード1番。

 

真尋は腕組みをしてピクリとも動かず聴いていた。

 

「お、」

 

頬杖をついていたマリーは思わず身体を起こした。

 

フランツもレオも

 

奏のピアノに聴き入った。

 

店の中が

 

奏のピアノでいっぱいになった。

 

溢れて止まらない洪水のように。

 

アイスクリームを出してもらって食べていた真鈴もスプーンを手にしたまま、アイスが溶けるのも気づかずに止まってしまった。

 

マリーの父、レオもやってきて奏はそこでピアノを弾くことに…

 

 

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