Dawn & Rise(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

志藤の母は時計を見て、

 

「とりあえず。 お風呂入ったら? 疲れてるでしょう、」

 

と奏に言った。

 

「は? あ、いえ・・ぼくは。 最後でいいです。」

 

いきなりお風呂と言われて若干尻込みした。

 

「ご飯、もうちょっとでできるし、」

 

「いえ、ほんと・・」

 

なおも遠慮する奏に

 

「子供が遠慮するもんやない。 先に入りなさい。」

 

志藤の父がぽつりと静かにそう言った。

 

 

 

おまえは。 まだ中2、14のガキや。 子供は大人に甘えればいい。 大人を頼れ。

 

 

母が事故で入院した時に、志藤が北都家での下宿を手はずしてくれた。

 

その時のことが一瞬にして重なった。

 

 

志藤と違ってどう見ても物静かなその父だったが、その言い様がとても似ていた。

 

「・・はい。 ありがとう、ございます。」

 

そう思ったら素直にそれを受け入れられた。

 

 

 

「え? ひなたの同級生なの?」

 

奏が風呂に入っている間に、志藤が簡単に奏のことを両親に説明した。

 

「ま。 偶然っていうか。 ずっと母子家庭で苦労してピアノ続けてた。 そういう縁で知り合って・・今に至る、かな。」

 

志藤は一息ついてお茶を飲んだ。

 

「なかなかのええ男やん。 礼儀正しくて、物静かで。」

 

母が台所から食事の支度をしながら話しかけてくる。

 

「・・で。 ひなたの彼氏や。」

 

志藤は頬杖をつきながらつまらなさそうに言った。

 

新聞に目をやっていた父も、台所の母も振り返った。

 

「え! そうなの?」

 

菜箸を持ったまま母がやって来た。

 

「なんか。 しらんけど!」

 

志藤は憮然としたままだった。

 

「へえええ。 さすが。 ひなたやなあ。 ええ男ゲットしてくるし、しかも! ピアノの才能もあるって!」

 

母はそのまま座ってしまった。

 

「あいつらのことは。 知らん! おれは奏をとにかくピアニストとして世に出すために今一生懸命頑張ってんの!」

 

子供のように意地を張って言う志藤に

 

「やっぱりなんやかんや言うても。 血なんちゃう? ひなたはピアノに一切興味なかったみたいやけど。 あんたの子やねえ、」

 

母は嬉しそうだった。

 

父は相変わらず黙ったまま聞いていた。

 

「そういえば。 ひなた、膝はどうなの? 大丈夫なの?」

 

母が思い出したように聞いてきた。

 

「リハビリしながら・・もう一人でいろいろ出かけてる。 新学期からはひとりで電車乗って登校する言うてるし。 ほんまにもー、車で送るのも大変で・・」

 

「そう。 よかったねえ。 もう子供たちが次々入学卒業で忙しくて最近はみんなで来れないもんねえ、」

 

そう言いながら母はまた台所に戻った。

 

「ああ、涼太郎の入学祝い。 ありがと。」

 

志藤は父に言った。

 

「涼太郎も。中学生か。 早いなあ。」

 

父は小さなため息をついた。

 

志藤は両親に奏のことを説明します。 ひなたとのことになるとやはり複雑で・・

 

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