今日のシェイクスピアは『夏の夜の夢』


『夏の夜の夢』は世界中どこでも人気のあるシェイクスピア作品だ。まずその人気の秘密としてタイトルがあげられる。原文のMidsummer NightとはMidsummer's Eve、つまり、聖ヨハネの祝日6月24日の前夜を指し、この夏至の祭には妖精の魔力にまつわる様々なおとぎ話があり、人々は神秘的な気分の中で浮かれ騒いだという。しかし、外国人の私たちはそんなことは何一つ知らない。にもかかわらずこのタイトルに惹きつけられるのは、「夏の夜」そして「夢」ということばに解放的な魅力を察知するからだろう。
劇の内容を見てもやはり祝祭的な気分を感じる。それが劇中何度か口にのぼる「五月祭」だ。おおらかな気分の中で若者たちが森に入りこんで歌い、踊り、かなり奔放な性の営みもおこなわれた「五月祭」の気分と夏至の祭の気分がこの劇にあふれていて、観客をなにやらあやしげな気持にさせる。
劇の内容を見ても、公爵の結婚、結婚訴訟、駆落ち、森に住む妖精たちの世界、魔法のかかった恋わずらい花の汁を塗られて恋に狂う男ふたり、森の中での劇の稽古、ロバ男に変身した職人に恋する妖精の女王、など観客をこれ以上喜ばせる道具立てはないというくらい充実している。
そういったわくわくするような筋の魅力もさることながら、台詞に耳を澄ましてみると、なかなか効き目の強い媚薬が用意されていることに気づく。それがことばの音楽だ。

LYSANDER. The course of true love never did run smooth;
But either it was different in blood-
HERMIA. O cross! too high to be enthrall'd to low.
LYSANDER. Or else misgraffed in respect of years-
HERMIA. O spite! too old to be engag'd to young.
LYSANDER. Or else it stood upon the choice of friends-
HERMIA. O hell! to choose love by another's eyes.
ライサンダー:真実の恋はすんなりとは実らないものだ。例えば身分が違うとか。ハーミア:そんな!身分が高いだけで低いひとと結ばれないなんて。ライサンダー:あるいは、年が離れていて不釣り合いだとか。ハーミア:ひどい!年をとりすぎているから若いひとと婚約できないなんて。ライサンダー:あるいは、友だちの好みで相手を決めるとか。ハーミア:やめて!他人の目で恋人を選ぶなんて。)

ここに『夏の夜の夢』の特徴的な文体がある。恋人同士の会話の内容も大切なのだが、ここで注意して欲しいのは会話のリズムだ。このように一行ごとにかわるがわる台詞を言い合う朗誦法はstichomythiaと呼ばれ、ギリシア悲劇からすでに使われているものだが、たたみかけるような掛けあいは、聞いている観客はもちろん、話している当人の感情をも高揚させる不思議な力をもっている。こういう様式はもちろん不自然なものだが、その不自然さがかえって「今芝居をしている」という感覚を呼び覚ましてくれる。ライサンダーとハーミアは現実の苦境を嘆きながら、同時に、苦境を嘆く演戯をする自分たちを楽しんでいるといえる。


この作品にはシェイクスピアの作品にはめずらしく、道化役の職人たちが集団で登場し、愚かな道化のおかしみを堪能させてくれる。そこには愚かしさのもつ解放感がある。これは「長屋の花見」などの落語に登場する個性的な長屋の住人と通じるものがある。熊さん、八っつぁんの世界だ。




長くなるのでつづきは⇒シェイクスピア全作品解説
覚えておきたいシェイクスピアのことば⇒ジャンル別シェイクスピアの名台詞集



温泉地巡り(入ったのは一箇所だけ)
まづは久しぶりに小野上温泉に浸かる
やわらなかいい湯だった
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小野上温泉
次は四万温泉(途中で帰れマンデーで立ち寄ったラーメン店を見つけてお昼 TVのコメントは9割くらい値引きしないといけない)
甌穴はなかなかの名勝だった
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四万の甌穴
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甌穴上部
旅のおわりは伊香保温泉
石段365段に挑戦
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伊香保の石段
行きはよかったが、下りで調子に乗ってぴょんぴょん降りていたら腰に来た!イタタ!



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