我が家の新人犬アーシー(仮名)が

このたび声変りを果たしました。

 

声変りというか、この子は実は

あまり無駄吠えをしない子で

これまで鳴き声として出していたのは

焦れた時に出す子犬らしい「キャン!」か

悲しい時の「キューンキューン」の2種のみ。

 

それが本日の昼寝の時間、

ケージの中で横になっていたアーシーは

軽く脚を動かした後に小さく唸り出し、

あら、これは何か夢を見ているな、と

そのまま様子を窺っていたら

唸り声が強まった次の瞬間

「ガウ!(低音)」

 

自分の声に驚いて飛び起きたアーシーと、

その声のあまりの逞しさに

やはり驚いた私でありました。

 

いや何かもう、声の貫録が

昭和の時代の刑事ドラマの捜査部長みたいな。

 

 

 

 

低くて太くてとても大きい。

 

少なくとも『子犬』が出す声じゃない、という。

 

・・・私はてっきり「キャン!」のあとには

「ワン!」の時代が来ると思っていたのに

一足飛びにそんな大人の声を出しますか。

 

知らない人が声だけ聞いたら絶対に

我が家には体重55キロの獰猛な雄犬が

隠れているに違いないと信じるであろう咆哮でした。

 

 

 

 

それにしてもアーシーもアーシーで

自分の喉からそんなすごい声が

まさか出るものとは思わなかったらしくて

しばらく思案した後に居住まいを正すと

「バウ!(重低音)」

 

・・・アーシー、君、声だけで仕事を選ぶなら

盲導犬より警察犬向きよ、きっと。

 

ところで私は犬の『無駄吠え』には

厳しく対処しなくてはならない立場。

 

本来ならばここで厳しい声で

「ノー、吼えるんじゃありません」

とアーシーに対し言わねばならない。

 

言わねばならないのは

重々承知していたんですけど、でも

アーシーが明らかに自分の新しい声に

驚いて感動している様子で、

これはあれでしょ、ずっと出せなかった高音が

ある日すらっと喉から出てきた時の

コーラス部員の喜び、とかそういうものでしょ?

 

 

それは何度も何度も音を自分の耳で

確かめたいのが人情というものでしょう?

 

・・・犬は人の気持ちを『読む』生き物です、

この時のアーシーには私の心が

通じてしまったのでしょう、犬は檻の中から

私のほうをまっすぐに見詰めながら繰り返し

「ガウ!バウ!ウウ・・・ワウ!」

 

犬に吠え癖をつけてはいけません、

これは躾としては大失敗、

しかし君はいい声だなアーシー!

 

そんなわけでこの度

声だけはすっかり大人(熟年男性風)に

なってしまった我が家の子犬でございます。

 

 

子供達の超音波的高音声がお好きなあなたも

渋い大人の重低音に痺れるあなたも

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