青ジャケット装着を嫌がる

我が家の盲導犬

候補生アーシー(仮名)。

 

原因は接触に対する

過敏症では、というのが

担当訓練士さんの

現在の見立てで、

このジャケットへの

拒否の姿勢が

今後も続くようならば

将来的にはハーネスの

着用も嫌がるように

なってしまうかもしれない、

その場合はアーシーは

盲導犬として不適性との判断を

くだされてしまうかもしれない。

 

・・・個人的に気になるのは

そうなった場合の

アーシーの身の振り方。

 

「この犬は盲導犬になれません、

と判断された場合、アーシーは

その後どうなるんでしょうか。

介助犬やセラピー犬としての

訓練を改めて受けるんでしょうか」

 

「そうですね、そういう道に

進む子もいるんですが・・・

今の時点では向こうの団体から

それほど犬の譲渡希望は

来ていなかった気が・・・」

 

「ああ、そうですよね、

盲導犬と同じでそういう犬も

訓練課程が必要で

とにかく犬を貰って

数を集めておけ、という

わけにはいきませんものね。

でもそうなりますと

アーシーは・・・」

 

「一番高い可能性として

家庭犬、ペットとして

引取りを希望する人の元に

送られることになるでしょう。

ご存知のように盲導犬協会は

常にそういう引取り希望者を

募集しておりますので」

 

「はい、知っています

知っています。引取りの際に

いくらかお金をお支払いして

犬を手元に引き取るんですよね。

あのところでこれは別に

下心があってお尋ねする

わけではないんですが、

先ほどアーシーの問題は

先天的なもの、と

おっしゃいましたよね。

パピーウォーカーとしての私に

問題があったわけではない、と。

あの・・・その場合、たとえば

私がアーシーの引取りを

希望したら、それは考慮して

いただけるんでしょうか」

 

訓練士さんは上目づかいに

私のことを見てにやりと笑うと

「引取り、ご希望ですか」

 

「ハイッ」

 

「その際はNorizoさんの

そうしたご要望をこちらも

考慮させていただきます。

過去の事例からいきますと

まあたぶんNorizoさんに

引き取って貰うことになるのでは」

 

「・・・あら、本当ですか」

 

「本当です」

 

「・・・ご安心ください、だからといって

アーシーの問題を

これからさらに悪化させるよう、

この子が盲導犬としてより

不適切になるよう、私は

努力したりなどはしませんから」

 

「大丈夫、信頼していますよ!」

 

でもそうか・・・

 

ここにきて本当に

その可能性が出てきたか・・・

 

思わず頬が緩んでしまった

私でしたが、しかし同時に

「・・・アーシーを自分のペットに

したい気持ちは山々なんですが、

何故でしょう、心のどこかで

ここから何か奇跡が起こって

この子がジャケットへの

拒否感を克服して訓練を経て

無事に盲導犬になって

欲しい気持ちもあるんです。

いや本当にアーシーを

手元に貰いたい気持ちは

大きいんですけど」

 

「わかります、わかりますよ」

 

「何でしょうねこれは。

やっぱりこの1年以上

私もアーシーも

努力しましたからね、

で、その努力の目標は常に

『アーシーが立派な

盲導犬になること』

だったんですよ。

だからやっぱり・・・

盲導犬になれなかったら

努力が無駄になるって

わけじゃないんですけど、

でもその間、たとえば

訓練士さんにもずいぶん

お世話になりましたし、

そういうことを考えると・・・」

 

「わかりますよNorizoさん。

本当によくわかりますよ」

 

 

ただ勿論アーシーがこの後

コロリとハーネスを受け入れ

無事に見事な盲導犬に

育ちあがってしまう可能性も

ゼロではないわけですので

獲らぬ狸のなんとやらの

危険性を忘れぬように

過ごしていきたいと思います。

 

なおアーシーが無事に

盲導犬になったら

私はもう1度

パピーウォーカーを

する気満々でございます。

 

アーシーと一緒に

学んだことを

次回にしっかり

生かしたい、という

変なアスリート精神が

芽生えている感じ?

 

しかしどうなるんでしょうね。

 

 

アーシーの『接触』への

過敏性について

わが夫(英国人)は

「あ、僕、それ当初から

ちょっと気になっていました」

 

「君な、そういう

後出しジャンケンは

格好悪いぞ」

 

「いえ、僕、アーシーがまだ

小さかった頃から

『この子は時々脚をガシガシ

噛みますね、皮膚が

弱いんでしょうか』って

言っていたでしょう」

 

「・・・言っていた。でも

私は子犬というのは

そういうものなのか、

と思っていたのだが」

 

「いえ、アーシーはちょっと

真剣にガシガシ

やり過ぎていましたよ」

 

・・・怖いなあ、アーシーが

私の『単なる飼い犬』だったら

私はそこら辺の問題を完全に

見落としていたってことでしょ?

 

まあ普通の家庭犬として

生活する分には

接触への過敏性は

それほど問題にならないかも

しれないんですけど

一事が万事というか、ねえ

 

しかしどうなるんでしょうアーシー

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