グラスゴーの

救命現場最先端で働く

わが知人の奥様と立ち話。

 

「どうですか、グラスゴーの

コロナの波は一応

収まった感じなんですか」

 

「いや、コロナは結局

『収まらない』んじゃない?

でも一時期に比べたら

だいぶ状況は

変わったみたいだけど」

 

「あ、そうなんですか。

でも旦那様は大変でしたね。

最前線の人ですものね」

 

「ほら、外出制限が

出ていたじゃない?

あれね、人は

外に出ないとあんまり大きな

事故に遭わないみたいね。

事件も起こさないっていうか。

飲み屋での喧嘩とか、

まず飲み屋自体が

開いていなかったわけだし。

そういう呼び出しは

当時減っていたみたい」

 

「ははあ、なるほど。

でも飲食店は先月上旬から

営業を再開していますよね」

 

「そうそう、外出制限が

解除されたでしょ?段階的に。

それで劇的に増えたのが

違法薬物使用関連の

呼び出しなんですって!」

 

なんのかんので

外出制限令下のグラスゴーでは

おクスリがらみの

救急呼び出し件数は

減少していたのだそうです。

 

「それはあれですか?

薬物を手に入れようにも

売人と会うのが

コロナ的に危険だから

手に入れられない、という?」

 

「そこらへんは私も

よくわからないんだけど」

 

ともかく、しかし外出制限が

緩和された途端、それまで

用法・用量をそれなりに守って

悪いおクスリを使っていた皆さんが

過剰摂取だの異常摂取だので

バカスカ救急車の

お世話になり始めたらしいです。

 

「・・・逆に何故外出制限下で

そういう人たちはおクスリの使用を

抑えられたんでしょうね?

中毒とか依存症とかの人たちは

おクスリの乱用を『止めようにも

止められない』のが問題だと

私は理解していたのですが・・・」

 

「そこも私はわからないんだけど、

でももう本当にひどいらしいわ、

呼び出しを受けて

駆け付けた現場の惨状が。

色々な意味で

滅茶苦茶っていうの?

うちの夫はプロだから

その場その場では適切に

対処しているみたいだし、

私にそう言う話をする時も

ちゃんと言葉を選んで

くれているんだけど・・・

やっぱり辛そうなのよね」

 

それはそうでしょうね・・・

 

救急救命士が

駆け付けなくてはいけないような

薬物乱用の現場というのは

私の想像を超えた規模で

陰惨かつ救いがないような

気がしますし、そうした情景に

繰り返し直面しながらも

己の能力を駆使して

最善の結果を目指すことを

任務としている人々の

心理的な負荷を考えますと、

第三者である私でさえ

言葉が見つからない思いがする。

 

彼女はその点、

配偶者だものなあ・・・

 

 

しかし何だよ、

グラスゴーの

ジャンキーどもめ!

 

我慢できるなら

我慢しろって話だよ!

 

だって4、5、6月には

救急救命士さんの手を

煩わさないで

大丈夫だったんでしょ?

 

「でもまあ視点を変えれば

状況は改善しているのかも

しれないですよね」

 

「・・・え?」

 

「ほら、つまり薬物を過剰摂取して

救急救命士のお世話になる人が

いない、という状況のほうが

グラスゴーとしては

異常事態だったわけでしょう?

外出制限下では

そうしたことが起きず、

それは薬物乱用防止の

観点からすると

良い状況だったのかも

しれませんが、やはり

異常事態と言えば異常事態。

それがここにきて

『元の状態』、コロナ禍以前の

状況に戻り始めた。

アフターコロナの社会でも

『変わらない生活』はあり得る、

これはそうした希望の証左ですよ!」

 

・・・後からわが夫(英国人)が

ため息をついて曰く

「君がよかれと思って発言したこと、

僕にはわかりましたけど、あれ、

相手には通じましたかねえ・・・」

 

「・・・私の英語力の問題だろうか」

 

「英語力というよりも・・・

僕の臍の曲がり具合も

大概ですけど君のそれも

かなり相当ってことを

外の人と話す時は

気をつけないと

いけないですよね・・・」

 

・・・以後、

気をつけたいと思います・・・

 

 

しかし本当にグラスゴーの

薬物乱用者の皆様は

どうして外出制限下では

『いい子』にしていられたんでしょう

 

「今の時期は

禁断症状に苦しむよりも

過剰摂取で

病院に運び込まれるほうが

怖い」みたいな?

 

ところで最近の私は

薬物乱用者と喫煙者を

認識の同じ箱の中に入れていて

 

以前は喫煙者に対して

もう少し冷たい態度

取っていた気がするのですが

最近は周囲にタバコ吸いが

いないせいもあるのか

もうほとんど「喫煙者を

批判するのではなく社会全体で

助けてあげよう」な気持ちに

 

(90年代の私は

かなり攻撃的な嫌煙者でしたが

それは当時の日本社会が

喫煙に異様に寛容であったからです)

 

(今は社会の雰囲気が変わって

むしろ喫煙者が

少数派になったような・・・

私は多数派の威を

借りるのはちょっと嫌なので)

 

勿論世間には

『差し伸べられた救いの手を

拒否する権利』もあるので

健康を害するのが趣味の皆様は

今後も喫煙を

続けられたらいいと思います

 

違法薬物とは違って

喫煙は別に法に触れませんし

 

あ、でも勿論、

周囲に人のいないところでね

 

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