美しき英国運河を行く

ナローボートの旅。

 

 

最終日前日は

乗船人数が増えたこともあり

わが父母は近くのB&B

(ベッド&ブレックファースト、

寝床と朝食を提供する民宿)に

宿泊することになりました。

 

船から宿まで私と夫(英国人)で

道案内をしたのですが

宿のベルを鳴らして出てきた

女主人と一言二言挨拶を

交わすなりわが母

(イメージ武将:豊臣秀吉)は

「ねえ、この人、きっとお料理上手よ。

お父さんとお母さん、明日の朝は

やっぱりここで朝ごはんを食べるわ」

 

スタンド使いがスタンド使いと

ひかれ合うように

料理上手は

料理上手を嗅ぎつける・・・!

 

女主人も母の言葉を聞いて

「そうですよ!予約のお電話では

明日の朝ごはんは必要ないって

話でしたけど、うちに泊まるなら

ぜひ私のたまご料理を

食べていただかなくちゃ!」

 

うん、でも、そういうことになると

現在善意暴走中の

わが義父(白色シュレック)が

「そんな気を遣っていただいては

申し訳がなさすぎる!」みたいな

斜め方向の傷つき方をするから!ね!

 

そんなわけで翌朝は早いうちに

荷物持ちを兼ねてやはり私と夫が

宿まで両親のお迎えに上がり。

 

すでに荷物をまとめて

玄関前にいたわが父

(イメージ武将:石田三成)は

「この宿の朝ごはん・・・

すごく美味しそうなんだけど・・・」

 

「うんうん!でもほら、

狭い船内で朝ごはんを

食べられるのも

今日が最後だし!」

 

 

そんな感じに始まった

我々のナローボート最終日は

非常識なまでの

晴天に見舞われました・・・

 

 

まるで運河の神様が

我々と縁が切れるのを

待ちきれない、もとい、

我々の思い出を

より素晴らしいものにしようと

頑張ってくれたかのように・・・!

 

 

新しく船仲間になった

義妹とそのご夫君なんですが、

ご夫君は普段から

トレーラーや大型トラックを

運転しているだけあって

舵のコツもすぐつかんで

(わが夫曰く、あれは大型トラックを

バックさせる時のハンドルさばきに

似たものがあるらしいです)、

「ただ僕は高いところが

あんまり得意じゃなくて・・・

水路橋とか

大丈夫だといいんですけど」

 

それを聞いたわが義父は

「君が高所恐怖症なら

普段どうやって

その目線の高さ

(彼は身長約2メートル)に

対処しているんだね」

 

 

ロック(水門あるいは閘門)

人数が多ければ多いだけ

船を通すのは楽ですし、

もうこの頃になると私やわが両親は

「ああ!また前方に跳ね橋が!

面倒くさいなあ!」みたいな

気持ちになりかかっていたのに対し

義妹とそのご夫君には

まだまだそれは新鮮な体験で

「あ!次の跳ね橋の操作、

私たちがやらせてもらっていい?」

 

 

そんな感じにのどかにゆっくりと

運河に船を進めつつ

船の舳先に座り込んで

日差しを楽しんでおりましたら、

わが父が運河地図を眺めながら

静かにぽつりと言いました、

「そうか・・・この

のんびりした感じが

ナローボートの旅・・・というもの

なのかもしれないねえ・・・」

 

「・・・そうだね、ハラハラドキドキは

特に必要ないんだろうね、

正統派のナローボートの旅には」

 

「でもさ、悪いから

大きな声じゃ言えないけどさ、

今回シュレックとかあっちの

アダムス家の人たちが

一緒じゃなかったらさ、

僕たちはこの運河を

端から端まで全部船で

渡り切っていたと思わない?

だって彼らがいなかったら

我々は朝の8時から

夜の8時までずっと

船を動かせていたでしょ?」

 

「ま、まあ・・・でもそれを言ったら

アダムス家にはアダムス家の

言い分もあるでしょうしねえ・・・」

 

「うん、あっちはもっと船を

動かす時間を少なくして

運河縁でリラックス、みたいなことを

したかったんだろうね。

僕は今回思ったんだけどさ、

あの人たちとお父さんたちは

旅の楽しみ方が根底から違うよね」

 

「そこが原因でご両親様には

色々とご不便も

あったかとは思いますが・・・」

 

「ご不便もあったけど、でもいいよ。

アダムス家が一緒じゃなかったら

船をもっと進ませることは出来たけど、

アダムス家が一緒だから

経験できたこともあるしね」

 

「あ、そう?」

 

「うん!運河の周辺の村を散歩とか、

お父さんたちだけだったら

絶対にしなかったと思うし!

それにあのポークパイね!

あれ、あの人たちに勧められなかったら

僕は一生食べなかったと思う!」

 

 

なお私の記憶が確かならば

わが父は長年

高血圧の薬を呑んでいて

実はわが義父も

血圧には問題があって

そしてそういう人たちに

ああいうパイは

命取りっていうか体にド悪いというか

・・・だって簡単に言えばあれは

動物性脂肪と塩分のカタマリでしょう?

 

世の中、人の善意が一番恐ろしいように

結局真に美味なるものは

食べたら割と体に悪い、みたいな・・・?

 

いや、それとも高血圧患者は

高脂肪食とひかれ合うのか・・・?

 

まあ本当に

天気は良かった最終日でした。

 

 

でもこのままじゃ

終わらないところが

今回の旅の

呪われた真実なので

ございますよ

 

・・・またそのパターンですか

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