人は、他者との関係の中で、喜びや幸せを感じるようにできています。
たとえば、自分が人類最後の一人だと想像してみてください。自分の周りに、食べ物や遊ぶものがたくさんあったとしても、そこにはなんの喜びもないことでしょう。生きる意欲さえ持てないのではないでしょうか。
「他者との関係の中で、喜びを感じる」ということは、そこに苦しみや悩みも生まれるということです。
思春期の子どもたちも、人間関係に悩んだり、不安を感じています。
そこで、中学生や高校生向けの「心の参観日」や「キャリア講演」では、次のような話をします。
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若い人たちが就活を始めると戸惑うことがあると、よく聞きます。
学校生活では個性を抑え込むことでサバイバルしてきたのに、就活を始めると企業から「個性をアピールしてください」「多様性を認められますか?」と言われるからです。
皆さんはどうですか? 学校では、仲間はずれにされないよう、個性を抑え込んでいるのですか?
たとえば、
「友達が少ないことは恥ずかしいこと」
「すぐに返信がないと友達じゃない」などと聞きます。
もし、そういう価値観やルールに縛られているとしたら、個性を抑え込んでいることになるのかも知れませんね。
「すぐに返信がないと友達じゃない」って変ですよね。
友達とは、同じようにふるまうことではなく、お互いの幸せを願う関係のことですから。
「多様性を認める」なんて言うと、なんだか難しそうですが、とてもわかりやすい言葉があります。
「みんなちがって、みんないい」です。
違いを認め合い、お互いの幸せを願い合える――そんな本当の友達。一人でも二人でもつくってください。
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多くの子どもたちが、次のような感想をくれます。
◆一緒につるんで話したりするだけが友達ではなく、違いを認め幸せを願い合う関係が、友達だとわかりました。これから、お互いを認め合い、幸せを願うような人ができたらいいなと思います。
ただ、次のような感想を書いてくれた子(高2)もいました。
◆「違いを認め合い、お互いの幸せを願い合う関係」と言っても、客観的に見ると薄っぺらで上辺だけの関係に見える。そんな関係で満足できるのだろうかと思った。自分も、人と関わることは苦手ではないが、「友達」と自信を持って言える人はあまりいない。本当に欲しいのは、上辺だけの関係ではなく本物と呼べる関係。それに似せて作ったレプリカはいらない。そんな理想的な本物はないのかも知れないが、探し続けようと思う。
私が話した「違いを認め合い、お互いの幸せを願い合う関係」でさえ、この子にとっては、レプリカに見えたようでした。その言葉の中に、「今の友だち関係では満たしきれない寂しさ」と「若者らしい、完璧を求める姿」を感じました。
人間関係であろうとなかろうと、「完璧」を求めれば満たされることはありません。苦しみ続けることになります。
その子には、次のように返事をしました。
◆君は、物事を客観的に見ることができ、それにいろいろなことを深く考えているんだね。
「薄っぺらな上辺だけの関係で、満足できるのだろうか」――私も同感だよ。
人間は互いに「個」の存在だ。分かって欲しい、分かってあげたいという思いがあっても、他の人の気持ちを完全に分かることはできない。だから、すべての人は、「寂しさ」を抱えている。その一方で、仲間の喜びを幸せに感じる遺伝子(幸せのDNA)を持っている。人類は太古の昔から、仲間で助け合うことで生き延びてきた。幸せのDNAは、生き延びるための遺伝子だと、私は思っているよ。
君は、「本物を探し続けよう」と思っているんだね。その気持で人と接する経験を重ねれば、「より深い喜び」「より大きな満足」を感じる人間関係を増やしていくことができると思うよ。「寂しさ」を持ち続けながらもね。
「完全に満たされる関係」なんてないだろう。でも、「より満たされる関係」は、探し求め続ければいいと思うよ。
子どもたちが、悩み、迷いながらも、多くの大切な人と出会い、幸せな人生を歩むことを願いながら……。 (完)
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