第328話）攻撃する人の心理～投影

西日本豪雨では、私が住んでいる広島でも大変な被害が出て、多くの命が失われました。
私のところにも避難指示が出ましたが、幸い、私の町内に被害はありませんでした。ただ、すぐ隣の町内では、がけ崩れで道がふさがれてしまいました。

＜隣町のがけ崩れ現場　by Akira Miyata＞

広島県南部の斜面崩落は、5,000ヶ所以上にのぼったとのことです。
スーパーの品薄も解消し、幹線道路の通行止めも順次開通しつつあります。とはいえ、まだ断水が続いている地域もあります。避難生活をされている方も多くおられます。お見舞い申しあげます。

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「第327話）なぜ私を攻撃するの？」の続きです。

「投影」（または「自己投影」）という言葉を聞いたいことのある方は多いと思います。

自分に不快な感情や考えがある時、相手（または周りの人々）がその感情を持っているように見えてしまう心理現象です。

例えば、
◆自分がその人を苦手だと感じていると、相手も自分を嫌いだと思ってしまう
◆よく人を妬む（ねたむ）人は、「世の中、妬み深い人が多い」と思ってしまう
――などです。

私自身、自分や周りを見ていて、この「投影」と思われる現象はよくあります。

職場の上司や同僚のことを「あの人は、肩書や学歴に弱い」と、よく言う人がいました。私は最初、「その人の職場には、そういう人が多いんだな」と思っていました。ところがよく話を聞いてみると、その人は、自分の学歴にコンプレックスを持っていることが分かりました。肩書や学歴を気にしていたのは、その人自身だったのです。

我が子をつい叩いてしまうという若い母親がいました。「あの子の表情が私にそっくりに見えて、まるで小さい頃の大嫌いな自分が、目の前にいるように見えた」というのです。これも、自分を我が子に投影していたといえます。

他の人を攻撃する人には、この「投影」という心理現象が起きていることが多くあります。

友だちから、「あなたって、自分が傷つくことには敏感で、人の痛みには鈍感ね！」と言われ、立ち直れないくらい落ち込んでしまった人がいました。この言葉って、かなりパンチ力のある攻撃ですよね。

私はその相談を受けたとき、すぐに、「あっ、投影だな。その友達は、自分自身のことを言ってる」と思いました。その友達は、傷つきやすく敏感であるがゆえに、深く傷ついている。そして、人の痛みに対しては「鈍感」どころか、こんなパンチ力のある攻撃で人を傷つけているのですから。

「投影」は、誰にでも起きます。認めたくない不快な感情から自分の心を守るため、無意識に生まれる現象なので、投影自体に善悪はありません。ただ、それが過度に働いたり、投影に気づかずに言動に移すと、人間関係を壊したり、トラブルのもとになります。

攻撃してくる相手の投影心理に気づくことで、相手の本当の気持ちを理解することができます。相手の言葉を真に受けて傷つくことがなくなるし、相手を怖がらなくてすむようになります。

相手の投影心理に気づいたからといって、「それって、自分のことを私に投影しているのよ」などと、決して指摘しないでください。投影しているということは、自分の中にそれを認めたくないわけです。それを指摘されると、認めるどころか、逆上することになりかねませんので。

自分の投影心理に気づくことで、自分の本当の気持を理解することができます。本当の気持に気づけば、思考パターンを変えるなど、対処法を工夫することができます。（第329話へ続く）

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