小島屋@南浦和 |
浦和へ
義父は故郷の鶴岡を離れ、長男坊である義弟が住む浦和のケアハウスで暮らしている。
実は、昨年末に発熱し、肺炎と診断され暫く入院していた。その後は快方に向かって大晦日前には退院することができた。しかしながら、割と長期の入院生活だったためか筋力、体力が衰えてしまい自立歩行できるまでには回復していないという。私も家内も正月は富山で過ごした。よって、新年にはまだ顔見せが出来ていないことからこの日に浦和のケアハウスを訪れることにしていた。
もちろん義弟も連れ立って行く予定だったが前日に熱が出たとの連絡が入った。当日朝になっても熱は下がらず、インフルエンザの嫌疑もあることから、我々と長女の三人だけで訪れることにした。最寄駅からタクシーでケアハウスへ。
ちょうど昼食時間帯でスタッフに食事を食べさせてもらっているところだった。手は動くのだが、やはり全身の筋力が衰え、箸やスプーンを持つ手が震えるためまだまだ介助を要するのだという。スタッフに代わり家内が会話しながら世話をし、ゆっくり食べていた。
朝は完食したというが、途中で満腹となり少し残した。車いすで自室に戻り、暫し会話。意識レベルは低下しているわけではないが、肺炎だったためか呼吸がまだ十全ではなくて声も小さいし、時々咳も出る。徐々に回復はしているようだが、いかんせん95歳という年齢を考えると急速な快癒は難しいのかもしれない。
食後ということもあってか眠くなってきたというので布団をかけて寝せ、我々はこれで退去することに。タクシーを呼んでもらい、ランチは昨年の義父の誕生会で使った鰻屋へ向かった。
まずはビール
こちらは、鰻料理が盛んな浦和の中でも特に老舗で名店とされる店。到着時はランチの繁忙時間帯を過ぎていたにもかかわらず満席。名簿に記名して暫し腰かけて待つことに。目の前が鰻の焼き場となっていて、良い香りの煙がもうもうと立ち上る。てきぱきと作られる鰻重が次々と座敷、離れへと運ばれていく。程なくして我々も席へと案内された。
肴一品
長女も飲むというのでキリンのラガー中瓶を2本頼んだ。
ほくほくの焼きたてで、柔らかい香気を発する卵焼きは懐かしい甘めの味付け。小皿の醤油ベースの特製つゆに浸け、大根おろしを添える。卵本来の濃密な味は勿論のこと、鰹の風味も同時に香り得も言われぬ豊かな味だ。やはりこれには日本酒が欲しい。ということで、浦和の地酒・旭正宗を1合、ぬる燗でいただく。この卵焼きは辛めの旭正宗に合う。
うな重 松
程なくしてオーダー品が到着。
上質の国産鰻を一匹丸ごとぱりぱりの蒲焼にして、硬めに炊いたご飯に載せたオーソドックスな一品。これが美味しくない筈がないのだ。甘辛く深みのある特製タレでつけ焼きにしてあり、端の方が少々焦げていてこれがまた香ばしく非常に良い焼き上がり。鰻のボリュームは十二分で、もう少しご飯が欲しいくらい。鰻が少し残ったので、ぬる燗の供とする。
付け合わせの肝吸いは、僅かにほろ苦く、本涸節の上品な風味と相俟ってこれまた抜群、薄味で歯応えのするお新香も鰻を邪魔せず良い箸休め。非常に美味しい鰻であった。最後に上等な煎茶を淹れていただいて鰻の脂を軽く漱ぎ、お開きに。タクシーを呼んでもらって南浦和駅まで。赤羽で長女は池袋方面へ、私たちは上野東京ラインで横浜方面へと分かれた。
お店データ
小島屋
埼玉県さいたま市南区太田窪2166
電話:048-882-1382
営業:月~金:11:00~15:00、17:00~19:30
土日祝:11:00~19:30
定休:月曜(月曜が祭日の場合は翌日)
今日の一曲
ブーレーズ/クリーブランド管弦楽団のマーラー#4。演奏は透徹されたブーレーズならではの解釈。個人的にはクリーブランドSOの虚飾を排した地味なサウンドが好みで、ブーレーズとのコンビは一つの頂点と思っている。4楽章の「角笛シリーズ」はユリアーネ・バンセの訥々としたソプラノが冴え渡る。録音はウルリッヒ・フェッテで、ライナー・メイラードのような立体三次元空間ではないところが少し残念なところ。SACDハイブリッド。
(MusicArena 2006/10/12)
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