皆さんこんにちは。

10月9日から15日にかけて開催された東京ストラディバリウス フェスティバル 2018 〜 300年目のキセキ展、無事に閉幕致しました。

前回のブログ記事やTwitterでも喜び騒いでおりましたが…光栄なことにスイスからやってきたチェロのストラディバリウスSuggiaをキセキ展の初日と千穐楽、演奏する機会に恵まれました!!

現存するチェロのストラディバリウスは世界にたったの63挺。そのうちの1挺Suggiaは、スイスのハピスロイティンガー財団さんが所有しており、オーナーのCurdin Corayさん(写真上)ご夫妻と共に今回来日、スイス在住のチェリストの私は、スイス繋がりでこうしてご縁をいただけたのでした。



期間限定の恋人は
華奢で居ながら頼もしい身体で私を守り、
凛と輝く眼差しで人々を魅了し、
真珠のような可憐な声で、世紀を越えた歌を届け、
心が震える経験をさせてくれました。


初日はまだ固かった表情も、6日後の再会では柔らかい表情を見せてくれて、この短い時間の中でもほんの少しでも心の扉を開いてくれて信頼関係を築けたことは、私の財産となりました。

(中澤創太さん、わたし、Curdin Corayさん)

今回、アジア初の21挺のストラディバリウスが揃うフェスティバルを実現させた中澤創太さんと奥様の結美子さんには普段から大変お世話になり同世代で仲良くさせていただいておりますが、この偉業を成し遂げられるまでには長い道のりを歩んで来られました。
世界中のストラディバリウス所有者に協力を求めても門前払い、スポンサーにも100件以上断られ続け、中澤さんは5年以上かけ世界中を飛び回り様々な信頼を得て、実現されました。


◯◯◯億のストラディバリウスが森ビルに大集合してすごい!!と、キャッチーに聞こえるかもしれませんが、クラシック音楽の魅力が浸透しきらない日本の文化をどうにか底上げするために楽器を主役にして盛り上げるイベントをしよう、という中澤さんの情熱と愛情のもとに、このキセキは叶ったのです。

…なんと言いますか、ランチ定食に人生をかける知る人ぞ知る定食屋さんの大将と、中澤さんは同じように澄んだ瞳をしているんです。

ですからいらして下さった皆様はお気付きでしょうが、キセキ展は世紀を越えた文化と伝統を生で見られて、今生きる私たちだからこそ感じられる何かがある、音楽に宿る魂を持ち帰っていただけたものだったと思います。


私は今回、ストラディバリウスを演奏出来るという光栄にもちろん大興奮しておりましたが、とにかく中澤さんの想いが伝わってほしい、ストラディバリウスと音楽の魅力が伝わってほしいという一心で関わらせていただき、同時にプレッシャーも感じておりました。

迎えた千穐楽。
6日ぶりに再会したSuggiaと一曲目を演奏し始める瞬間
そんな力みは要らないよ」
とSuggiaがスーッと寄り添ってくれたことを感じ、一曲目の演奏終えて司会の朝岡さんから感想を求めて頂いたとき、ついたまらなくなって涙がこぼれてしまいました…。他人の涙は時に自身を冷静にさせてしまうこともよく知っているので、「泣いたらアカン!ほんと白けるからやめてワタシ!!」と心の中で叫びましたが…
悲しきかな、声をつまらせた赤い鼻のトナカイになってしまいました…。

キセキ展のイベント総合司会の朝岡聡さん(写真右)、素晴らしい進行はもちろんのこと、私のその溢れ出てしまった感情をきちんとお客さまと共有してくださいました。本当にありがとうございました!!
白けずに一緒に涙して下さいました皆さま、微動打に出来ないくらいぎゅうぎゅうの立ち見でも息を潜めて音に神経を研ぎ澄ませてくださいました皆さま、本当にありがとうございました。


ピアニストの梅村百合さん(写真左)も、普段のコンサートとは違う環境にも関わらず、素晴らしい音色でサポートくださいました。
百合ちゃん、Danke!!

また、キセキ展のスポンサーのスイスの時計ブランド センチュリーさんには、雑誌の家庭画報さんとのコラボイベントでもやはりスイス繋がりでお世話になりました。来年100周年を迎えられ、ストラディバリウスのように世紀を跨ぐセンチュリーさん。その温かく潔いサポートに感謝致します。




特別ディナーショーでは、中澤さんと私はセンチュリーさんの超高級時計をつけてのトークセッションでした!!

ご応募・ご参加下さいました皆様、ありがとうございました。

左から、故高円宮さまと絢子さまのチェロの先生でいらっしゃる寺田義彦さん、Corayさん、私、百合ちゃん、Corayさん奥様。

全てのイベントが終わり、夜中の便でSuggiaと共にスイスへ戻るCorayさんご夫妻に御礼を伝えたら「この子(Suggia)は瞳との時間に成長させられたよ、ありがとう」と言ってくださいました。

私はまだまだ、楽器からも人からも学ぶことが多く、有り難き幸せを様々な場面でいただいていますが、私との時間が楽器や人の成長に少しでも繋がることをいつも願っているし、アンサンブルも恋愛も自分の存在が相手を輝かせたり魅力をひきだせたりすることが醍醐味なのかなって思うので、本当に嬉しい言葉でした。



…とまぁ大興奮で熱く長く想ひ出ブログを書きました、今回このような大役を与えてくださいました中澤さま、支えられたご家族の皆さま、スタッフの皆さま、サポートいただいた楽器オーナーの皆さま、スポンサーの皆さま、そして会場に駆けつけてキセキを共有してくださいました皆さま、本当にありがとうございました!

そして日頃、貸与いただいている名器グランチーノさまに改めて日頃の感謝を感じています。グランチーノに出逢えていなかったら、ストラディバリウス Suggiaさまとの会話は成り立たなかったと思います。
宗次コレクション、宗次徳二さまに改めて御礼申し上げます。


さぁ、水面下で始まっている様々なことも動き出していますし、20日に控えたHakujuホールでの世界的作曲家藤倉大さん個展もいよいよ迫って参りました!!皆さま是非藤倉さんの世界に浸りにいらしてくださいね。

Hakujuホールで藤倉さんの曲を弾くことは、4年前から夢だったんだよなぁ。
とても楽しみです。



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