最近、メンテナンスがらみでシンガポールに頻繁に飛行機を持って行っている。
今回はボスが香港~中国周辺で使うということで一度中国に持って帰ってきて、そしてそれが終わったところで再度メンテナンスの続きのためにシンガポールに飛行機を持っていった。
メンテナンススケジュールの都合でなるべく早く持って行ってもらいたいということで夜8時に中国を出てシンガポールに到着は翌日午前2時過ぎという夜間フライトが組まれた。
シンガポールで向かう空港はチャンギ空港ではなく、前回の記事で書いたところと同じせレター空港。
ただ、前回と異なるのは夜間での着陸となるということ。
前回は昼間だったので北から侵入しても制限なく直線進入で滑走路21へ単純に着陸できたのであるが、現在NOTAMで滑走路21手前にあるクレーンに航空障害灯が設置されてないという理由で夜間の直線進入はできないことになっている。
したがって選択肢は反対側の滑走路03に回りこむという方式しかない。
前回の記事でも書いたが、この進入方式、騒音制限のある市街地の上空を飛行するということ、すぐ隣に空港がありその空域には入ってはいけないこと、という理由から飛行可能なルートに制限が非常に多い。
滑走路とダウンウィンドの幅は1.6nmと、エアライナー級の中・大型ジェット機ではミニマムサークル(周回進入)で飛行するルートであり、また、市街地の上空は騒音対策のため1,500ftで飛行しなくてはならない。
通常、中・大型ジェット機でミニマムサークルをする時には600ft前後で入っていくのが標準なので、それに比べて高い高度であることがわかるだろう。
市街地を過ぎて旋回し始めて滑走路に向かうまでの間に1,500ftを処理しなくてはならない。その降下角度は4度になる(通常は3度で降下する)。ボーイングやエアバスのパイロットなら4度の降下角度で降りて行くということがどういうことかわかるはず。
まさに小型機のために作られたような進入方式だ。
ということであらかじめ旋回半径とか、降下角とか、進出距離とか作図して計算しておいたよ。
久しぶりだね、こういう計算するのは。
このようなことは以前連続シリーズで若いころにした訓練のことを書いたが、その時に習得したものだ。
こういう基礎知識、重要だね。
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夜間の進入を外の景色だけで行うというのは意外と難しいものだ。
街の灯りと滑走路の灯りの区別がつきにくいし、街の灯りが明るすぎて空港がわかりずらいことも多い。
だから目視だけの感覚に頼ったフライトでは事故につながり易くなる。
また今回は低高度で大きなマニューバー(飛行機の動き)を求められる進入形式なので事前のプランなしではかなり危険だ。
着陸時刻も午前2時と疲労もピークに達する時間帯。今回は久しぶりに非常に高い集中力を求められたが、事前の計算結果通りにマニューバーを行ってまさにぴったりハマってくれた時はある意味、快感であった。
ホテルに入ったのは午前3時。
強いストレスでアドレナリンが出て脳が興奮していたためか、疲れているのになかなか寝付くことができなかったのは言うまでもない。
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