パイロット国際通勤契約の終焉 | プライベートジェット機長が見た「超」大富豪の投資の世界

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Captain Kayが、日本では決して見ることができない世界へあなたをいざなう。

コロナ騒動が始まってもうすぐ1年になろうとしている。

フェイスブックやアメブロなんかで

「1年前(もしくはもっと前)はこんな投稿をしていました!」

なんてメッセージが自動的に出てくるのだが、それを見て「ああ、かつては世界中あちらこちらに行っていたんだなあ」なんて懐かしむことしかり、だ。

 

 

かつては国をまたぐ移動が簡単、そして安価にできた。

でも今は違う。

 

かつて簡単、安価にできた時代だからこそあった制度に「パイロットの国際通勤制度」というものがある。

Commuting contractとかRotation contractと呼ばれる契約形態だ。

パイロットの仕事スケジュールはある程度のまとまった期間を働いたらまとめて休みを取るということができるものだ。例えば月間20日働いたら10日まとめて休みをもらうというような感じだ。これは月間20日を集中してフライトをすると法定の月間制限時間に到達してしまうことが可能なくらいかつてはフライトが多かったので、残りの日は休みとしてまとめてとってもいいよ、という制度だ。

となると基地から遠方に住むパイロットとかはそのまとまった休みを利用して自宅に帰る、ということをすることができる。

このようなスケジューリングを外国人のパイロットに応用して、「まとまった休みの時には自国に帰ってもいいよ」とするのがパイロットの国際通勤制度なのだ。

 

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成長国のパイロット不足が深刻化してくるとどんなに遠方のパイロットでも雇いたいという需要が生まれ、欧米からアジアに通勤するパイロットなんかも現れだした。欧米から通勤するとなるとやはり自宅には1か月くらい居たい、というパイロットからの要求が生まれ、2か月働いて1か月休み、なんていう制度も一般化してきていた。

大韓航空なんかはかつて「自社の便がフライトしている場所なら世界中どこからでも通勤可能」という制度を打ち出していた。自社便を使って通勤可能なので通勤費はほぼ無料、世界中の主要都市に就航していたから自宅から通いたい欧米のパイロットとしては願ったりかなったりでオファーされる給料が多少低くても彼らには一定の人気があった。

 

私が現在在籍している会社にもこのような契約形態があった。というか正式には今でも存在している。

しかしこのコロナ禍で実質失効してしまっている。この契約形態のパイロットがどんどん失職し始めているからだ。

 

中国はまだ外国人に対して新たに入国することを禁止している。特別なビザを発給し始めているとは言えまだまだごくわずかで、コロナ前のように自由に人が出入りできたころに比べたら雲泥の差だ。そして無事に入国したとしてもPCR検査と14日間の隔離が待っている。

このような状況は中国に限らず、多少の違いはあるとは言えどこの国も同じような感じであろう。

移動の自由が前提で成り立っていたパイロットの国際通勤制度が崩壊するのは自然の流れだ。

私は現在中国に定住をしているが、コロナ前は「いつかは日本と中国を通勤するような形態に変えようかな」なんてことを漠然と思っていた。だが、このコロナ騒動でその考えはすっかり吹き飛んでしまった。

 

効果があるコロナワクチンが一般化してきたら航空需要はまた戻り出すとは思うが、2019年までに見られたような”あまりにも”自由な移動はもう当分来ないのではないかと思う。

「金曜日の夜にグアムへ出発して週末はリゾートで遊び月曜日には日本の仕事に戻る、なんて時代がかつてはあったんだよねー」なんて若い人たちは年寄りから聞くようになるんだと思う。

 

国外に出るにはそれなりにお金と時間がかかるようになり、(かつては誰でも気軽に行くことができた)海外旅行のステータスが上がり出すのではないだろうか?

かつてのJALPAK時代のように..........(笑)


 

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