【若紫147-2】☆京都大学古文の記述対策☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬、物の怪による夕顔の急死…。光源氏の恋は成就することなく、尽きせぬ恋慕を重ねていくのでした。
ただ今、第五帖「若紫の巻」です。夕顔が亡くなった翌年、光源氏18歳の3月(春)に、瘧病にかかって、その加持祈祷のために、北山に訪れ、そこである僧都の屋敷を垣間見、泣いているかわいい少女若紫を目にしました。その後すぐに僧都が光源氏を訪ね、自分の僧坊に招きました。光源氏は若紫のことを詳しく聞き出します。その夜、僧都宅で、眠れずにいた光源氏は、僧都家の女房に手引きを頼み、尼君と対面して若紫の後見を願い出ますが、あえなく断られてしまいます。
【今回の源氏物語】
とのたまふ御もてなし、声づかひさへ、目もあやなるに、
「優曇華の花待ち得たる心地して
深山桜に目こそ移らね」
と聞こえたまへば、
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☆ 国公二次対策~オリジナル問題~ ☆
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とのたまふ御もてなし、声づかひさへ、目もあやなるに、
「A 優曇華の花待ち得たる心地して
深山桜に目こそ移らね」
と聞こえたまへば、
問 Aの和歌は、だれの、どのような思いを詠んだ歌か。比喩の表すところを明確にして、わかりやすく説明せよ。
☆京大古文の和歌解釈問題☆
京大の入試問題で問われるのは、
現代語訳・内容説明などの、一般的な設問です。
しかしながら、京都大学の入試問題だけあって、
和歌解釈問題では
和歌修辞や古文常識などもきちんと踏まえて
解かなければならない場合も多くあります。
確実な古文読解力が求められるので
早い時点から、基礎知識からしっかり固め、
どんな問題でも対応できる実力を身につけてましょう。
和歌のポイントは、
⑴ 修辞(枕詞・掛詞・序詞・縁語・本歌取りなど)
⑵ 誰から誰に対して、どんな気持ちで詠んだ歌か。
⑶ 文法事項に注意し、一語一語の解釈
これらのことをふまえて
丁寧に解釈していきましょう。
⑴ 修辞
■掛詞(同じ音で意味の異なる語を用いて、二様の意を持たせる技法)
■枕詞(ある語句を引き出すために置く前置きの言葉。多くは5音)
■序詞(ある語句を引き出すために置く前置きの言葉。5音よりも長い)
■縁語(関連の深い語。併せて用いることにより表現効果を高める技法)
国公立大学の和歌解釈問題は
修辞をきちんと押さえて解釈する必要があります。
今回の和歌の場合はどうでしょう?
「A 優曇華の花待ち得たる心地して
深山桜に目こそ移らね」
「優曇華の花」と「深山桜」という植物が
縁語のような気もしますが――
問 Aの和歌は、だれの、どのような思いを詠んだ歌か。比喩の表すところを明確にして、わかりやすく説明せよ。
このように条件づけられているので
植物のつながりとしての縁語ではなく、
「優曇華」=世にもまれな光源氏の出現
の比喩として捉えるべきでしょう。
「A 優曇華の花待ち得たる心地して
深山桜に目こそ移らね」
そして後半では
光源氏の贈歌で詠まれた「山桜」を
対比させています。
⑵ 誰から誰に対して、どんな気持ちで詠んだ歌か。
僧都から光源氏への答歌です。
上のイラスト訳のイメージを大切に
一語一語、解釈していきましょう!
まずは、箇条書きでもいいので、自力で書いてみましょう。
そして、模範解答を見て
どんな書き方で説明すればよかったのか、
論理的な流れはズレていなかったか、
自分の答案と照らし合わせてチェックしていきましょう。
【答え】