◇あらすじ◇

スキンヘッド、顔面に憎悪を象徴するタトゥー。白人至上主義者に育てられ、差別と暴力に生きてきたブライオンは、シングルマザーのジュリーと出会い、これまでの悪行を悔いて新たな人生を築こうと決意する。だがそれを許さない執拗な脅迫、暴力は容赦無くジュリーたちにも向けられる。

 

 

◇感想◇

チラシのインパクトと公開前まで公式サイトで見ることが出来た「SKIN 短編」が大変面白かったので、監督は無名ながら観に行って来ました。

 

観終わって、これが事実に基づいた作品だという事がただ恐ろしいばかりでした。

白人至上主義者という存在を真正面から描かれている作品に触れられただけでも、興味深い体験になりました。

「SKIN 短編」と逆説的なエンディングも良かったです。

 

仲間たちや家族と互いに衝突を繰り返しながら、白人至上主義者の団体から離れるまでのプロセスが丁寧に描かれていて、

 

特に新しい家族へと軸足を置ききれない辺りのもどかしさは、自らが変わっていこうとする力が試されているようで、気に入っています。

 

 

ただし、本編を観るだけでは分かりにくい描写も幾つか見られました。

 

主人公が所属していた白人至上主義者の集団では、物語の最初の方で「バイキングの血が流れている」というシーンがあるのですが、その描写とタトゥーとスキンヘッドの関連性は最後までわからなかったです。

 

パンフレットには答えが書かれていましたが、結局バイキングのふりをしてただけで、ちょっと残念でした。

 

 

他には、白人至上主義者に対する団体を運営しているダリルの活動が分かりにくいです。

 

最初に登場したシーンでは、主人公の顔と名前をネットに晒すだけなのかと思ったら、物語の終盤では、新たな生活へと主人公を導く存在になってました。

 

ここは本編セリフを見逃していただけだったのですが、後半の展開は唐突に感じました。

 

パンフレットによると、監督の次回作はダリルの活動について描くとの事でしたが、本作の中でもう少しフォローが欲しかったです。

 

 

最後に少しネタバレしますが、

 

タトゥー除去のシーン。普通に時系列で映画の最後に存在するのですが、本編の中にも何度か差し込みされているのが、わからなかったです。

ラストシーンに次いで大切なシーンだと思うのですが、自らネタバレしに行ってる様で、観ていてもったいない気がしました。

 

 

 

文句ばかり書いてしまいましたが、これらは映画全体の魅力からすれば些細の事で、

これまでの人生を全て捨ててまでして、変わりたいという思い。

本人の立場でないと、完全に伝わるかは難しいですが、それが真実であるところが唯一の希望でした。

 

現在でも白人至上主義者による事件が起きているアメリカ向けの作品という感じはしますが、劇映画にしてくれたからこそ、日本でも見ることが出来たので、アメリカの現状にもリンクする内容とも言えますし、何よりラストシーンに驚いて欲しいです。

 

 

◇SKIN 短編◇

最後の最後に少しだけ。

 

現在公式サイトでは観られませんが、上映館によっては、本編の併映として「SKIN 短編」が観られます。

 

こちらは、白人と黒人の人種差別の問題を子どもの視点を織り交ぜながら描かれた、ちょっとショッキングな作品です。

 

長編と同じ様なシーンがあったり、母親役が長編と同じ役者さんだったりします。

 

 

 

公式サイト