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『現代貨幣理論入門ー貨幣ピラミッドー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.17

 

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三橋TV第138回【“次”の消費増税への布石が打たれ始めた!?】

https://youtu.be/tUI-K7aaf70

 

 あと十日と少しで消費税率が10%に引き上げられますが、今回の増税の仕組みがどれだけ複雑怪奇か、税率(※実際に負担する大まかな税率)で整理してみました。
 食品の軽減税率(というか税率据え置き)に加え、キャッシュレス決済のポイント還元が加わり、わけの分からないことになっています。
 
税率10%:ポイント還元対象外の大手百貨店・スーパー。キャッシュレス未対応の小売店。ただし、双方ともに食品は除く。
税率8%:大手百貨店・スーパー全の食品、キャッシュレス未対応小売店の食品。食品以外の商品で、コンビニ・ガソリンスタンドなどでキャッシュレス対応済み。
税率6%:キャッシュレス対応コンビニの食品
税率5%:キャッシュレス対応小売店の食品以外
税率3%:キャッシュレス対応小売店の食品
 
 税率が何と五段階。こ、こんなもの、本当に運用できるのでしょうか。

 ちなみに、上記は店舗側の話で、消費者側がキャッシュレス決済手段を持っているか否かで、税率が変わります。

 クレジットカードや電子マネーを持たない方が、大手スーパー・百貨店や未対応小売店で食品以外を買うと、税率10%。
 クレジットカード、電子マネー保有者が、対応済み小売店で食品を買うと、税率3%。食品以外も、5%。

 しかも、キャッシュレス対応のポイント還元は、20年6月まで。その時点で「再増税」。

 そして、今回の政府の「対策」を受けてキャッシュレス対応の投資を行った小売店は、未来永劫、プラットフォーマーに手数料を「チャリン、チャリン」と吸い上げられることになるわけです。
 
 さて、今回の台風15号による千葉県を中心とした豪風被害ですが、かなりゾッとする光景を見ました。

 大雑把に書くと、
1.自治体の災害対応能力(あるいは災害状況の把握能力)が著しく低下している
2.藤井聡先生が国土強靭化を主張し始めた時(2011年)から懸念していた事態、そのままが起きている
3.緊縮路線の中央政府が責任を放棄し、東電や自治体に責任を押し付ける
4.供給能力不足(及び予算不足)の自治体が、ボランティアに依存しようとする
5.普段は非常事態について「知らないふり」を続け、緊縮財政の「意味」を理解しようとしなかった国民や政治家が、現場に不満をぶつける
 と、まさに「国家の店じまい」が進行しているのです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※12月上旬、邪馬台国視察ツアー「歴史に魅せられて、マイと辿る邪馬台国への道」開催決定!(三橋貴明、長浜浩明先生、高家望愛さんも同行します)
 
『「役所の職員が来るのが遅い」のはなぜ?~自然災害が明らかにする人員不足
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20190917-00142915/
 
『東電の対応遅れを批判 千葉の大停電で世耕前経産相
https://digital.asahi.com/articles/ASM9K5TVPM9KUTFK01J.html
 
『千葉の停電復旧などに予備費13.2億円 首相が方針
https://digital.asahi.com/articles/ASM9K3V9MM9KUTFK00H.html
 
『<急募!>災害ボランティア【被災家屋へのブルーシート養生】
https://www.city.kimitsu.lg.jp/soshiki/18/22670.html
 
『「信用できない」東電が停電地域で説明会…住民不満
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20190916-00000047-ann-soci
 
 この状況で、政府から国債の追加発行の声一つ聞こえてこない。ゾッとします。
 
 というわけで、グラフをいくつかご紹介。
 
【日本の公的資本形成(左軸)と対GDP比率(右軸)】
 
【日本の地方交付税総額(兆円)】
 
【千葉県の総職員数(人)】
 
 公共投資を減らし、地方交付税を減らし、仕方なく地方自治体は人員削減。

 千葉県の場合、2017年に政令指定都市への権限移譲の影響で少し増やせましたが、入庁二年目の職員が「戦力」になることはありません。

 中央政府の緊縮財政の影響で、土木・建設の供給能力を削り、自治体職員を削り、災害への対処能力を大きく損ね、実際に災害が起きたときは、
「○○のせいだ」
 と、国民はもちろん、政府までもが責任を押し付ける。

 ここまで腐れた「自己責任国家」に落ちぶれたのですよ、我が国は。災害への備えであろうとも、災害復旧であろうともカネを使わないというならば、それこそ政府は要らないでしょう?

 今回の千葉県の災害も、国民や政治家の多くは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というわけで、一か月もすれば忘れ去り、
「国の借金で破綻する!」
「災害で苦しむ被災者や被災地は自己責任」
 といった空気が醸成され、国家の店じまいを進めることになるのでしょう。

 この狂った国家を正常化しなければなりません。誤った財政破綻論に基づく緊縮財政が、我が国に何をもたらしつつあるのか。

 千葉県の現状をしっかりと見つめ、正しい政策に転換しなければならないのです。「自己責任国家」からの脱却を、国民一人一人が目指さない限り、状況は改善しません。
 
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