前編131分、後編145分の長尺でありながら、
飽きることなく、見続けてしまう作品です。
多くの映画賞を席巻した映画『百円の恋』から6年。
監督の武正晴と脚本の足立紳が、またまたボクシングを
題材に負け犬たちの物語を作りました。
末永晃(森山未來)は、7年前の日本タイトルマッチの善戦を
忘れられず、場末のデリヘルの運転手をしながら、
「かませ犬」としてリングに立ち続けていました。
妻(水川あさみ)は、息子の太郎(市川陽夏)を連れて出て行き、
彼を気にかけるのは太郎だけ。
そんなある日、エキシビジョンマッチへの出場を打診されます。
対戦相手は、著名な俳優・幸三郎(風間杜夫)を父に持つ
お笑い芸人の宮木(勝地涼)。
親の七光りと馬鹿にされる二世タレントで、試合は
バラエティ番組の挑戦企画。
当然、彼は、断りますが……。
末永、宮木、そして末永に絡む若手ボクサーの龍太(北村匠海)。
三人それぞれが闇を抱え、なんとか輝こうとのたうち回るさまは、
見ていて苦しくなります。
いくらあがいても上に登れない。
だけどあきらめられない。否、あきらめたくない。
映画を見る人それぞれが「あきらめたもの」を
目の前に突きつけられるような痛みを
感じてしまうハズ。
都合のいいハッピーエンドでは、ありません。
だけど、あがいた者だけが手に入れられる何かを
彼らはつかんだのではないか、と
見ていてほっと安堵出来るラストです。
彼らのこれからの人生をもっと見ていたいと思いました。
明日ももうちょっとだけ、頑張ってみようかな。
そんな気持ちにさせてくれる作品です。
11月27日(金)よりホワイトシネクイント他にて[前・後編]同日公開
(C)2020「アンダードッグ」製作委員会
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