大相撲名古屋場所千秋楽は

21日、ドルフィンズアリーナで行われ、

鶴竜が白鵬との横綱対決を制し、

14勝1敗で昨年夏場所以来

7場所ぶり6回目の優勝を果たした。

(毎日新聞)

【写真特集】琴奨菊に寄り切りで敗れた白鵬

 三賞は、

殊勲賞が

13日目に横綱初挑戦で鶴竜に勝つなど11勝した友風。

敢闘賞は

幕尻ながら終盤まで優勝争いに絡み12勝を挙げた照強。

技能賞は遠藤と炎鵬が受賞した。

 

 

 けがとの闘いを乗り越えて、

鶴竜が初めて名古屋を制した。

表彰式に向けて

支度部屋で大いちょうを直す間も肩で息をしながら、

「名古屋で優勝というのはうれしいね」。

生真面目な横綱が、この日ばかりは素直に喜びを表した。

 星一つリードして迎えた横綱決戦。

立ち合いでいきなり白鵬十分の左上手を許した鶴竜は、

「なるべく動いた」。

左を巻き替えて右を上手に変え、

左四つ右上手になると、いったん動きが止まる。

白鵬がおっつけで上手を切りに来ると、

鶴竜は右を巻き替えて双差しになり前へ。

動くことで白鵬の形を崩し、勝機を逃さなかった。

 鶴竜にとって名古屋は、いわば「鬼門」だった。

昨年まで3年連続で途中休場し、今場所前も腰を痛めた。

師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)は

「4年連続休場はあり得ない。

出場は見切り発車だった」と明かす。

鶴竜にしても、

「名古屋の人に申し訳ない。諦めたくなかった」。

今月に入ってからは、

はやる気持ちを抑えて稽古(けいこ)を自重し、

何とか初日にこぎつけた。

 けがとの格闘は、今場所に限ったことではない。

昨年夏場所で自身初の2場所連続優勝を遂げた後は、

右足のけがなどで四股さえ踏めない時期もあった。

苦境にも、

「腐らず自分と向き合い、諦めなかった」という姿勢が、

7場所ぶりの賜杯につながった。

 4大関休場にも

「周りで何が起きても集中するだけだった」という東の横綱。

役者がそろわない場所を引き締めた。【飯山太郎】

 

 

 2場所ぶり43回目の優勝を狙った白鵬は鶴竜に敗れ

「精いっぱいぶつかり合いました」とさばさばした表情だった。

1差で追う立場だっただけに、

逆転優勝には本割と優勝決定戦での連勝が必要だったが、

かなわなかった。

全勝優勝した3月の春場所で右腕を負傷。

夏場所を全休して今場所に臨んでいた。

「6月まで違和感はあった。

不安な気持ちが強かったけど、

ここまで戦ったことは自分を褒めたいと思う」。

15日間、相撲を取り切れたことに、胸をなで下ろしていた。

 

 

 友風 (4大関休場もあって

巡ってきた13日目の鶴竜戦で勝利し、殊勲賞)

決していい相撲ではなかったが、

いろんな運が重なって挑戦できた。

恵まれていた。

 照強 (幕内3場所目で初の三賞となる敢闘賞)

すごくうれしい。

今場所は当たって押していける強みが出て、自信が持てた。

 ◇優勝者の略歴

 ◇幕内(14勝1敗)

 鶴竜(かくりゅう=本名・マンガラジャラブ・アナンダ)

東横綱、モンゴル・スフバートル出身、井筒部屋。

2001年九州場所初土俵。06年九州場所新入幕。

12年夏場所で新大関。14年夏場所で新横綱。

優勝6回。殊勲賞2回、技能賞7回。

得意は突き、押し、もろ差し、寄り、投げ。

186センチ、161キロ。33歳。

 ◇三段目(7戦全勝)

 寺沢(てらさわ=本名・寺沢樹)

西51枚目、新潟県佐渡市出身、高砂部屋。

石川・金沢工高―東洋大から18年春場所初土俵。

得意は突き、押し。182センチ、124キロ。24歳。

 ◇序ノ口(7戦全勝)

 元林(もとばやし=本名・元林健治)

東28枚目、東大阪市出身、鳴戸部屋。

近大から19年夏場所初土俵。得意は突き、押し。

178センチ、172キロ。23歳。