KIndle本の「開高健 電子全集」特別限定無料版より、短編小説集「珠玉」の「掌のなかの海」を読み了える。
 入手は、今月19日の記事、入手した3冊を紹介する(10)にアップした。


 「掌のなかの海」は、回想記風に始まる。作家デビューした作者が、焦燥のあまり寄るバーで、高田先生と呼ばれる老人と知り合う。高田老人は医師だったが、スキューバダイビングの用意をして行方不明となった一人息子を探して、日本各地のポイントを追ったが無駄で、海を墓守の心境で暮らそうと、船医になる。
 作家は誘われて下宿を訪い、飲み直す。先生は「さびしくて、さびしくて、どうもならんです」と泣き出し、大泣きとなる。
 僕は作家の筆力に感心するが、内容は感心しなかった。人生でもっと苛酷な体験をした人は多い、と思っているからである。
バー
写真ACより、「バー」のイラスト1枚。