マザー!  ダーレン・アロノフスキー監督作品 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 ダーレン・アロノフスキー

撮影 マシュー・リバティーク

編集 アンドリュー・ワイスブラム

音楽 ヨハン・ヨハンソン

出演 ジェニフォー・ローレンス、ハビエル・バルデム、ミシェル・ファイファー、

    エド・ハリス

2017年 アメリカ  2時間1分 

 

 

後味の悪い映画を作らせたら、ミヒャエル・ハネケ(ファニー・ゲーム」「ピアニスト」)と

双璧をなすダーレン・アロノフスキー(「レクイエム・フォー・ドリーム」「ブラック・スワン」)の

新作は、旧約聖書の創世記を基に、人間が地球に及ぼして来た悪行を寓話として

描いていますが、余りにも過激な内容に本国では物議を醸し、その余波を受けて、

日本では公開中止(ビデオ鑑賞は可能)の憂き目にあってしまいました。

キリスト教信者の多いアメリカと違って、聖書の詳細を知っている人が少ない日本には、

本作は理解されないと配給会社に判断されたのでしょうか?

アロノフスキー監督は、ノアの箱舟を題材にした「ノア 約束の舟」でも、人間が地球に

とっての悪疫な存在である事を、神の不在とともに描いていましたが、今回は見せ方が

ストレートで、絶え間なくバイオレンス描写が続くだけで、最後まで希望の光を見せる事は

ありません。

エンドロールに流れる曲「End of the world」の歌詞に、

 

Don't they know it's the end of the world? 

みんな世界が終わってしまったことを知らないのだろうか?
It ended when you said goodbye
貴方がさようならを告げた時に世界は終わってしまったというのに

 

という一節がありますが、アロノフスキー監督の、救いがたい人類に対する思いは、

この歌詞に集約されているのではないでしょうか。

 

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