前田敦子氏は
「途上にある人」の役がハマる。そして、うまい。
「旅のおわり世界のはじまり」74点★★★★
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中央アジアのウズベキスタン。
葉子(前田敦子)は、バラエティ番組のレポ―ターとして
この地にやってきた。
葉子はテレビクルーのカメラマン(加瀬亮)、ディレクター(染谷将太)、
通訳兼コーディネーター(アディズ・ジャポフ)、
そしてアシスタント(柄本時生)の4人と撮影に挑むが
カメラマンをはじめ
クルーはビミョーに低体温で、なんだかなー、な感じ。
撮影もなかなか段取りどおり進まない。
そんななか、葉子は必死で
レポートを務めようとするのだが――?!
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黒沢清監督の新作です。
ウズベキスタンに撮影に来たリポーター(前田敦子)と
クルー(加瀬亮×染谷将太×柄本時生)たち。
異国での孤独、さまざまな「え?」のなか、
クルーたちの低体温を感じつつも
黙々と仕事をこなす前田敦子氏がおかしみを併せ持ち、
「ロスト・イン・トランスレーション」ウズベキスタン版&前田敦子編、という感じもして
なかなかおもしろす!な作品でした。
前田敦子氏の
ある意味、オーラのない希薄な存在感がうまくて
ヒロインの異国での孤独を浮き立たせている。
人生に悩むヒロインを描きつつ、
自分と違う何かに関わろうとしなければ
他者とわかり合うことはできない
そして、結局、自分をわかることもできないんだ、と
そんな人間の極意をスッと教えてる感じ。
プラス、他国の事情を自分の尺度で測ることの偽善、も考えさせる。
黒沢監督の手腕はすごいなと感じました。
撮影クルーにとにかくぞんざいに扱われ、
苦行のようなレポートを与えられながらも
黙々とそれをこなす
前田敦っちゃんの姿がけなげで、気の毒であり、おかしみがある。
彼女は満足度や幸福度の低そうな役、途上にある人、の役が
とにかくハマるし、うまいなと再確認しました。
おなじみ「AERA」の来週6/17発売号にて
黒沢清監督×前田敦子氏の対談取材をさせていただきました。
撮影後に結婚&出産をされた前田さんが
その決意を決めた「意外な」理由に迫り、
かつ、黒澤監督がタジタジ……というおもしろ内容だと思います!
映画と併せてぜひ、ご一読くださいませ~!
★6/14(金)テアトル新宿、渋谷ユーロスペースほか全国で公開。