ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

永遠の門 ゴッホの見た未来

2019-11-08 23:22:25 | あ行

すごい・・・・・・ウィレム・デフォーがゴッホにしか見えん!

あの自画像が動いてる!(笑)

 

「永遠の門 ゴッホの見た未来」71点★★★★

 

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1886年ごろのパリ。

画家ゴッホ(ウィレム・デフォー)は

「暗い!」「陰気だ!」とまるで評価されていなかった。

 

そんなとき、ゴッホは

画家ゴーギャン(オスカー・アイザック)に

「南へ行け!」と言われ、南仏アルルへやってくる。

 

厳冬の日々を抜け、春を迎えたその地で

ゴッホは、いまだ見たことのない

まばゆい太陽や緑の風景に触れ、

無心に創作をはじめる。

 

が、そんなゴッホは

「変わり者」として、村人たちのなかで孤立していく――。

 

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現代美術作家としても有名なジュリアン・シュナーベル監督が

あのゴッホを題材にした作品。

 

まずはゴッホ演じるウィレム・デフォーの

なりきりぶりにびっくり!

 

本当にゴッホにしか見えないーって

本人、知らないですが(笑)

あの自画像の、肌のカッサカサ感までがそっくりなんですよ。

すご!

 

しかしこの映画は別に

そっくりさんを目指してるわけではないんです。

 

ジュリアン・シュナーベル監督は本作で

自作「潜水服は蝶の夢を見る」と似たアプローチをとっている。

それは、ある意味「不自由な人」の生きる世界をどう写し取り、

それをどう共有させるか、ということ。

 

この映画では

孤独な画家の感じていた光、風、熱、空気、色――

ものすごく個性的な、五感に訴える絵作りがされている。

 

分厚いレンズ越しにみているような世界。

ゴッホの歩く様子とリンクして、動く目線。

 

グラグラするカメラワークは

三半規管弱いワシには、少々しんどくもありましたが(笑)

これがゴッホの見ていた、感じていた世界なのかも、と

確かに思わせる。

 

そう、この映画は観客が

ゴッホの見ていたであろう世界を、

まさに同じように体験するものなんです。

 

それを経て、彼の作品を見ると

また違った印象が生まれてくるってのがおもしろい。

それこそが、監督の思うところだったんだな、と感じました。

 

さらに自分がゴッホになることで、

「ゴッホ~最期の手紙」(17年)で描かれたように

村の厄介者になってゆき、孤立する彼を

社会が殺したのかもしれない――という視点も

「ありかも」とリアルに感じることができました。

 

おなじみ「AERA」(11/11号)いま観るシネマで

ウィレム・デフォーさんにインタビューさせていただいています。

怪演俳優、とも言われる彼が

どのように役に向き合うのか

ものすごく優しく、真摯に答えてくださって、感激しました。

 

話に熱中し、数センチまでに迫るような、深い瞳の色に

吸い込まれそうになった――(笑)

さすが名優!・・・・・・ちょっとした魔術でしたよ(笑)

 

「pen」さんにも映画評書かせていただいております。

 

映画と併せてお読みいただければ幸いです!

 

★11/8(金)から新宿ピカデリーほか全国順次公開。

「永遠の門 ゴッホの見た未来」公式サイト


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