ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

キーパー ある兵士の奇跡

2020-10-24 15:29:43 | か行

ロッテントマト満足度95%が久々に効いた!

たしかに、いい映画です。

 

「キーパー ある兵士の奇跡」75点★★★★

 

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1945年、終戦後のイギリス。

ナチス兵としてイギリスの収容所で

捕虜になっていたバート・トラウトマン(デヴィッド・クロス)は

偶然、収容所を訪れた地元サッカーチームのコーチに

ゴールキーパーの才能を見出され、試合に参加することになる。

 

メンバーたちは「ナチスとプレーできるか!」と怒るが

生来の誠実さや温かみを持った彼は

次第に周囲に溶け込み、

やがて、コーチの娘と恋に落ちる。

 

さらにその活躍を聞いた

名門サッカークラブ「マンチェスター・シティ」からスカウトされる。

 

だが、ユダヤ人を中心としたシティのファンは大激怒。

果たしてトラウトマンは、

名門クラブでプレイすることができるのか――?

 

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元ナチス兵が、サッカーの才能を見出され

イギリス名門チームで活躍し、

やがてイギリスの国民的英雄になっていく――って

ウソみたいな実話の映画化です。

 

当時、

いくら天才的キーパーだとしても

彼をチームに認めることに、イギリス人たちが拒否反応を示したことは

たやすく想像できてしまう。

 

自分の家族や恋人を殺した敵への憎悪やヘイトは

どうしたって理解できる。

 

そんななかで、

トラウトマンは、どうやって受け入れられていったのか?

人は憎悪を超えて、相手を理解し、赦すことはできるのか? 

 

この映画が描くテーマは、

まさにいま、このヘイトと分断の時代に、非常に鋭利に突き刺さるんです。

 

それに

デヴィッド・クロス演じるトラウトマンが、

とても自然体で感じがいい。

映画のムードも

「ナチスもの」とか「感動実話!」というイメージではなく

自然に入り込みやすい。

 

そんななかで

トラウトマンに関わる人々の、考えや行動も丁寧に描かれ

「人は憎悪を超えて、人を赦すことはできるのか?」――という難しい問いに

ある指針を提示してくれていると感じました。

 

ひとつの小さな理解が、大きな変革につながっていく。

我々一人一人が、常に目を見開いて生きねばならぬのだ、と

つくづく思わされた。

 

あと、語学ができる大事さも痛感。

トラウトマンは、英語が理解できたからこそ、

サッカーで身を立てるチャンスをつかめたんだもんね・・・・・・

 

そして本作、

主演ディヴィッド・クロスがいいんですわー。

「愛を読むひと」(08年)でケイト・ウィンスレットに思慕した

あの若者です。

あのころは18歳だったんだ・・・・・・。

 

ということで

あさって発売のAERA「いま観るシネマ」で

デヴィッド・クロス氏にインタビューしております!

 

いや~イケメン!ナイスガイ!な青年に

けっこうズキュンとなった番長でありました(笑)

 

★10/23(金)から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「キーパー ある兵士の奇跡」公式サイト


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