ブルゴーニュの畑の四季の
まあ美しいこと!
「おかえり、ブルゴーニュへ」70点★★★★
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フランス・ブルゴーニュ。
ドメーヌ(ワイン生産者)の長男ジャン(ピオ・マルマイ)が
10年ぶりに実家に戻ってくる。
ジャンは10年前、家を飛び出してから音信不通だったが
父が病気だと知り、戻ってきたのだ。
ジャンはオーストラリアで自らのワイナリーを立ち上げていた。
家業を受け継ぐ妹(アナ・ジラルド)は久々の再会に大喜び。
別のドメーヌの婿養子になった弟(フランソワ・シビル)は
喜びながらも、複雑な感情をぶつける。
そんななか、父が他界。
兄妹は遺されたブドウ畑や家の相続に頭を悩ませることになる――。
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ファミリー・ストーリーとしては軽めでまあ普通だけど、
ワイン知識欲が満たされるのが、たまりません。
ブルゴーニュの畑の四季をしっかり追っていて、
さらに収穫、除便率から糖度の計測、醸造まで、
まあソムリエ協会の教本のごとく(笑)、しっかり描かれている。
ワインに詳しくなくても
大地に根ざし、自然と対話しながら行われる
「農」という営みの豊かさを
いっぱいに吸い込めると思います。
監督は「猫が行方不明」(96年)「スパニッシュ・アパートメント」(01年)でファンの多い
セドリック・クラピッシュ。
この監督はストーリー展開も人物も
どこかもっさりしてるというか
プレス資料に書かれた映画評論家・川口敦子さんの
「野暮ったさすれすれの」という表現がピッタリで
ワシには、少々「もたっ」と「イラッ」としてしまうところがある(笑)
この映画も
畑を売るのか売らないのか、
兄貴がオーストラリアに残した彼女との仲はどうするのか、
いけどもいけども答えは出ず、堂々巡りでイラっとする。
まあそこが人間臭いと、人気でもあるのかな。
兄妹、家族って、ややこしくも、なんかいい、ってのはある。
「ブルゴーニュで会いましょう」(16年)って映画もあったけど
あちらのほうが「ドラマっぽい」エピソードが多かったので
なんか、その話と混ざってしまうのだった(笑)。
★11/17(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。