【旧稿再録】もうちょっと『マルクスのかじり方』を齧ってみた♪ | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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自虐史観を乗り越えて、「日本」のソ連化を阻止しよう!

《資本主義の枠内における目前のたたかいこそが、「運動の未来」を次第に切り開く》
 
この命題そのものは、一応正しいといってよいのですが、石川氏のような捉え方では、たたかいの主体、たたかいの内容、たたかいによって発展する未来社会の要素を正しくとらえることは全くできないでしょう。
 
革命運動は、以下のような諸運動の体系的実践であると考えられます。
 
1.労働組合運動
…賃金労働者の地位の保全・改善のための運動
  1-a.労働組合運動としての経済闘争
   …個々の資本に対する販売交渉
  1-b.労働組合運動としての政治闘争
   …賃金労働者の地位保全・改善のための政策要求

2.労働組合運動を超え出た運動
…賃金労働者としての地位の揚棄を目指す賃労働廃止運動
< face="Century">  2-a.労組運動を超えた経済闘争
   …労働者協同組合、企業協同組合、工場委員会運動など
  2-b.労組運動を超えた政治闘争
   …参政権運動、社会主義政党運動、労働者評議会運動など
 
労働力の販売条件の改善のための闘争が必然的にその使用状況の改善のためへと発展する点に2-aの運動の根拠があります。そしてこの労働組合運動から労働過程を労働する諸個人自身が制御することを目指す運動への発展が、2-b賃労働否定のための政治闘争を押し出していくのです。
 
マルクスが言う「生産過程の物質的諸条件および社会的結合」、「生産過程の資本主義的形態の諸矛盾と諸敵対」、「新しい社会の形成要素」と「古い社会の変革契機」は、石川氏が語るような、労働者の政策要求運動とその「制度的沈殿物」(by服部栄太郎)に決して還元しえないものです。
 
《生産過程の物質的諸条件および社会的結合とともに、生産過程の資本主義的形態の諸矛盾と諸敵対とを、それゆえ同時に、新しい社会の形成要素と古い社会の変革契機とを》(資本論)
 
とあるように「生産過程の物質的条件および社会的結合」が「新しい社会の形成要素」に、「生産過程の資本主義的形態の諸矛盾と諸敵対」が「古い社会の変革契機」に対応しています。結合労働の物質的定在である協同労働手段(機械)と結合労働それ自体こそが、新しい社会の形成要素であり、この結合労働自体を、それを直接になう労働する諸個人が自ら制御しうるかどうかが「古い社会の変革契機」なのです。
 
石川氏のような理解に立つ限り、「革新」政党なるものが資本主義の枠内での賃金労働者の利害を代表し代弁することがすべてに対して優先され、この代表者が、政府権力(つまり資本の国家の立法府と官僚機構)を通じて労働過程に外から介入することが、社会変革の目標に据えられてしまうことにならざるを得ません。