ニューヨーク・ブルース ★★☆☆☆

 情感を込めすぎて、やや文章がくどめ? 

 ひとつの行動に対してその三倍くらいの量の情感を文章に織り交ぜてくるので、そんなに複雑な話ではないのになかなか進まなくてしんどかった。

 他の作品ではそんなに情感過多だとは思わないのに、なぜだろう、この作品は妙に鼻についたな。

 

 結局、殺された女の人が誰なのかは不明のままなのか。

 

特別配達 ★★★☆☆

 牛乳配達員が誘拐された子供を無事保護のお手柄。

 マミーがかわいい。

 

 タイトルもウィットに富んでいて良いですね。

 

となりの死人 ★★★☆☆

 こちらも牛乳つながり。

 そういえば、昭和の頃って日本でも各家の前に木製の牛乳瓶ポストみたいなのありましたよね。

 

 自宅に配達された牛乳が盗まれていることに激高した男が、罠を仕掛けて泥棒を捕まえるが暴力の果てに倒してしまう。殺してしまったと思い、アパートの隣りの空き室に隠してやりすごそうとするが・・・という話。

 

 死体の臭い問題が生々しいですね。

 

 ストーリー的にはよくある感じかなと思います。

 とばっちりで殺害されてしまった旦那さんがかわいそうすぎるだろっていう。

 

ガムは知っていた ★★★☆☆

 仕事中にガムを噛んでいるメイドが、ひょんなことから事件解決に貢献。

 

 指紋を残すためにドアノブを替えるというアイデアに感心してしまった。実際にやろうとするとなかなか難しいと思うけれど。

 

 最後のセリフがやっぱりおもしろい。

 

借り ★★★★★

 これまでの収録作品の中では一番好きかも。

 

 順風満帆な人生から一転して危機一髪なオープニングから、刑事と殺人者の緊迫感のある関係性に発展していく流れが最高です。

 

 どちらかというと主人公の刑事の心理状態よりも、殺人者のそれの方が気になりつつ読みました。

 殺人者はどうして命を危険に晒してまでもとっさに人命救助をしたのだろうとか、刑事と駆け引きをしている時も余裕そうに見えて実は内心気が気でなかったんじゃないかとか、いろいろ想像が膨らみました。

 殺人者としてはもう後がないなかで、良心というあやふやで、しかし逆に強固にもなりそうなものに縋るしかなかった状況。かなり綱渡りだったはずです。最後に駄目だったとわかった時もそんなに食い下がったり力づくで逃亡を試みたりせずに、あっさりあきらめていたのも印象的でした。

 もしかしたら、殺人者は人命救助した時の態度とか見るに、もう半ば自分の人生を諦めていて、刑事と交渉したのもまぁいちおうダメ元でやってみるか的な感じだったのかもしれませんね。

 そのあたりもいろいろと想像してみると楽しいと思います。

 

 最後は苦みの残る結末ながらも、やはりこれが最善手だと思うし、主人公も「こうしなければお前の目を見ることもできなかったよ」と自分のやったことを少なからずちゃんと肯定して終わっているところも良いです。