ショートショート『奥様はセレブ 2』 | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

小市民のM氏の友人S氏は、素人ながら研究していた物質"M"の特性を発見し、
それが先端技術に生かされることにより一躍、時の人となった。
生活が一変。高級住宅街に居を構えることになり、それに一番驚いたのはS氏の奥方。
ささやかに生きていくつもりだったのに、違った生活となり、戸惑いを隠せない。
そんな生活の中で、さらにセレブとして有名な”マダムC”と知り合うことになる。
(その辺りのことは、『奥様はセレブ』

マダムCは、引っ込み思案のS夫人をランチに誘った。
そこは、かつて名高いレストランのコック長をしていたシェフがオープンした高級イタリアン・レストラン。
すでに地域に溶け込み、すっかり評判を得ていた。
マダムCにとっては初めてのお店らしく、
それとなく探るような眼差しであたりを見回していた。
ホールマネージャーが一つのテーブルに案内し、着席すると横にはカシニョールの絵がかかっていた。
二人は『シェフのおまかせコース』を選択。
これは、前菜とメイン、デザートといったシンプルなコース。
盛り付けはアーティスティックで食欲をそそった。
マダムCも満足げだった。
デザートを口にしながら「ここのお料理、どうだったかしら?」とS夫人に訊いた。
彼女は、おずおずしながら答えた。
「綺麗に盛り付けられていて、とっても良かったと思うんですけど、
一つ気になったことがあるんです」
「どんなところ?」
「あの...前菜のカルパッチョ。鮮度が良くなかったと思うんです。
実は、私、魚屋の娘で、若い頃はお店にも立っていました。
ですから、魚は一目見ただけでその鮮度がわかるんです」
「あら、そうなの?」
「あの色合い、あの弾力からすると、おそらく、2、3日冷蔵庫にあったものだと思います」
マダムCは、その言葉を聞いて、意味ありげにニヤリとした。

食事が終わるとテーブルにシェフがやってきて、
「マダムC様。本日は、お越しいただきありがとうございました。
お口に合いましたでしょうか?」と丁寧に訊いた。
マダムCは微笑みながら
「カシニョールの絵を楽しみながら頂きましたわ。
もっと早くこのお店に来れば良かったと、今、思ってますの」
「そう言って頂けて光栄です」シェフは満面の笑みで答えた。
すると、マダムCは
「もう1日2日、早く来たかったですわ。
せめて、昨日か、おととい。
そうすれば、新鮮なカルパッチョを頂くことができたのに、、、
とっても残念ですわ。オホホ」

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<了>