役に立たなくて何が悪い | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

「無為自然」という言葉がある。
これは、中国の戦国時代の思想家である荘周(荘子) の考え方を表す言葉。
簡単に言い表せば、
「あるがままを受け入れてごらん。そうすれば、いいことあるかも知れないね」
という言葉に収まりそうである。
彼の考え方を集めた著書『荘子(そうじ)』に「無用の用」なるものが出てくる。
そこに一つの寓話が述べられている。

ある村のはずれに、ひときわ大きな木が木陰を作っている。
その下では、動物たちが心地よさそうに涼んでいる。
道ゆく旅人も、暫しの休息をとっていく。
そばの大工もこの木の下で休息をとる。
大工の棟梁の石(せき)が木陰で休んでいる時に、弟子から訊かれた。
「立派な木ですね。人々はおろか、動物たちも休んでいる」
師匠が応えて言った。
「この木は、役に立たないからこんなにも大きくなったんだ」
「役に立たない?」
「材質も悪いので、伐ったところで材木になるわけでもなく、飾り柱にもならない」
「こんなに大きくなっているではないですか?」
「役に立つ木だったら、とっくに伐られてしまっていただろう。
なんの役にも立たないからこんなに大きくなった。
大きくなったお陰で、その下でみんなが涼んでいる」
『無用の用』とは、すなわち「役に立たないことで役に立つ」
という意味らしい。
人のお役に立ちそうな人間は、早死にをしてしまい、
役に立ちそうもないものだけが命(いのち)長らえて生きているものなのかもしれない。
だけども、世の中、悲観したものでもない。

イタリアのピサの斜塔は、建設中からすでに傾き始めていた。
それをくい止めようとしたが、ダメ。
最上階のみを、傾きとは逆の水平になるようにした。
結局は欠陥の塔となり、その後、おもだった利用はなかった。
ところが世界から観光客を集める貴重な資源になっている。

役に立たないから、意味がある。
「無為自然」か...。

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<了>