マッサージの仕事は、他のスタッフとあまり被らないように人の少ない日を狙って、週に3〜4日ほどシフトを入れて働いた。
出勤したからといって、報酬が貰える保証はないので、本当に小遣い程度だ。
退職後しばらくして、知り合いの整体師さんが施術所の改装に合わせて、働く人を探しているという話を姉から聞いた。
渡りに船のようなタイミングですごいと思ったけど、結局はその話は流れてしまった。
秘書の人は乗り気だったようだが、院長が私の施術を受けたら力加減が弱かったようで、こりゃダメだと思われたみたいだ。
自分の腕でリピーターさんを増やして、店舗を増やしたくらいの人なので、現実の厳しさも知っているし、見る目もあるはずだ。
私も整体というものは全然分からないし、自信もないから、これはこれで良かったのかもしれない。
甘い世界ではないし、私の中には整体に対して、そんな情熱はない気がする。
マッサージ店での仕事は、これまでも週一でずっと続けていたから、あまり不安はなかった。
だけど実際には全然違った。
力の加減とか、なんだか色々と分からなくなってしまったのだ。
お客さんの反応も良くない。
正直なところ、仕事に行くのが精神的に結構しんどかった。
結局、感覚が戻るまでに3ヶ月くらいかかった。
週一の仕事では、頭で考えてやっているレベルなのだ。
無意識に体が反応し、動くようになるには、それなりの時間がかかるようだ。
これも貴重な体験だった。
本田健さんの『好きなことをやって生きよう』などの本も、結構真剣に読んだ。
心に響いた殆ど全ての章を自分でまとめて、スマホのノートに記録した。
それくらい、殆ど全ての文章が、その時の自分の心に痛烈に響く本だった。
焦りの気持ちもあったけれど、講義の動画を見たり、スマホでゲームをやったり、マンガのアプリを入れて読んだりもした。
そんな風に自分の好きに過ごした。
皆既月食を観察したのなんてのも、子供の頃以来ではなかろうか。
自分が楽しむために、無駄に思えるようなことでも、贅沢に時間を使う。
無理をしない、頑張らない、自分の本音をみつめる、怠け者の自分を認めてゆるす。
そんな練習になっていたような気もする。
姉と話していて、父の誕生日にうちのアパートに集まることになった。
ずっと部屋の掃除や片づけも全然していなかったし、絶対無理!と思ったけれど、やると決めて掃除を始めたら、部屋の雰囲気が全く変わった。
これも何か、自分の運気を上げてくれたような気がする。
ゆる〜い生活で不安や焦りもあったけれど、お気に入りのマンガも見つかったりして、気づけば毎日を生きることが楽しいと思えるようになっていた。
やはり、多少なりともの収入と働く場所があり、当面の生活は出来るだけの蓄えをしてあることが、大きかったと思う。
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