■崖っぷちに立たされた3人の女性が選んだ道の物語!´ぅ_ ;`) | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

「そして人生は再び始まった」

 

 

これも昨年末に劇場で観た、大物女優2人が主演する映画『私が死んだ日(내가 죽던 날)』(パク・チワン監督)です。大物女優というのはベテランのキム・ヘスさんと、『パラサイト』の旧家政婦役で一躍世界的なスター(?)ともなったイ・ジョンウンさんですね。ヾ(≧∇≦)〃♪

 

いちおう日本の推理小説のような、ミステリー仕立ての推理モノでもあるのですが、それ以上に身勝手な男性たちの裏切りによって人生の崖っぷちに立たされたヒロイン2人の姿が重苦しく、私はこれは2019年の『82年生まれ、キム・ジヨン』、2020年の『はちどり』に続くような、女性の疎外とその孤独を越えて生きようとひたすらもがく、「脱出」の物語であると思いました。すなわちかなり重い話ではありますが、最後にその分だけ大きな救いが待っています。

 

実はヒロインは3人登場しますが、一人はキム・ヘスさん演じる女性刑事ヒョンスです。彼女は昇進を前にして、夫の浮気が発覚し、幸せだと思っていた夫婦関係が実は破綻していたことを知るとともに、その夫はマスコミを利用して彼女を貶めるなど悪事を尽くし、ショックで左腕に麻痺が来て、車で大きな事故を起こしてしまって休職状態に入っていました。

 

彼女が復職するため、一つの仕事をこなしてほしいと頼まれるのですが、それが、ある自殺した少女の死亡処理。彼女は父親が起こした犯罪の証拠を提出した証人として、証人保護のために警察によって離れ小島に住まわせられるのですが、結果、孤独に追いやられて、海に飛び込むと書いた遺書と崖に脱ぎ揃えられた靴を残して消えてしまっていたのです。

 

ノ・ジョンウィさん演じるこの少女セジンの置かれていた状況を調べれば調べるほど、ヒョンスは自分の立たされた状況との共通点を感じ、捜査に没頭していきます。

 

セジンは親が離婚して実の母親は海外で音信不通になっていましたが、家は金持ちで継母となる予定の女性との仲もよく、自分は幸せだとばかり思っていました。ところが父親の密輸事件が発覚して父は自殺、その内縁女性も加担の疑いがかけられたため、それを晴らすために父親が隠していた裏帳簿を提出することで、むしろ父の罪は確定し、証人として警察によって島に閉じ込められ、CCTVで監視される日々を送っていました。同時に、たった一人残った身内の兄まで犯罪を犯して刑務所に入り、世話をしてくれていた刑事まで足が遠のいて、すべての人から見捨てられたような立場に立ちます。

 

セジンの遺書とCCTVに残る表情を見ながら、ヒョンスはその心情がよく分かるがゆえに、それでも彼女は何とか生きようともがいていたはずだと確信するのですが、問題はセジンについて、「あの子が自殺したなんて信じられない」といってくれる人が一人もいないのでした。

 

セジンの最期の目撃者となったのが3人目のヒロインである、イ・ジョンウンさん演じる近所のおばさんです。彼女もまた、一緒に暮らしていた姪っ子が海で溺れて植物人間となったのを一人家で看病しながら生きていましたが、自分自身が中風によって行動が不自由になり、姪っ子を施設に預けるなどの話が持ち上がる中で農薬を飲んで自殺未遂をしたために声が出せなくなっていました。今は体は回復して一人で養殖業をしながら姪っ子を看病し続けています。

 

人生の崖っぷちに立たされたこの3人のヒロインの中で、それでも最後のおばさんだけはその断崖を乗り越えた経験を持っています。セジンの最期は果たしてどのような姿だったのか、ヒョンスはこのおばさんの話から何を見出すのか、事件の裏に隠された、驚くべき真実に迫る最後の展開は、まさにこのおばさんの声なき声を中心として綴られることになります。

 

以上、とにかく主人公の顔のドアップが多かった印象ですが、その分だけ、キム・ヘスさんとイ・ジョンウンさんの演技が共に素晴らしかったです。特にイ・ジョンウンさんの節制された表情演技はさすがといわざるを得ません。まさにアカデミー賞印といってもよかったのではないでしょうか!おススメです!♪ヽ(´▽`)/

 

 

【あらすじ】 台風が吹きつけた夜、人里離れた島の絶壁で遺書一枚を残したまま少女が消える。長い間の空白を経て復職を控えた刑事ヒョンス(キム・ヘス)は、犯罪事件の証人であった少女の失踪を「自殺」として終結させるためにその島へと向かう。少女の保護を担当した前職刑事、連絡が途絶えた家族、そして少女を最後に目撃した村の住民に会い、彼女の行跡を追跡していったヒョンスは、少女が一人で耐えた苦痛に胸を痛める。捜査が進むほど自らの姿と似ている少女にますます没頭するヒョンスは、事件の裏面に隠された真実に一歩近づくのだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


映画『私が死んだ日(내가 죽던 날)』(パク・チワン監督)予告編。

 

 

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