2024年疾走のはじまり
一週間程前の話。
一仕事終えてコーヒーを淹れようとした所に、知人から電話が入った。
「えべっさんという事で、ちょっと験のええ相談がありますねん」と。
「Hさんの相談は、ろくな事ちゃいまっしゃろ」と僕。
「まあまあ、そう言わんと。ええ話でっせ。Win-Winちゅうやつですわ」と、調子が良い。
その言葉が出た時点でかなり怪しい。
Hさんとは古本屋時代からのお付き合い。後々知った事だが、仏像収集をなさっている。
ついでながら、蔵書は夥しい数で、充分に古本屋を開く事が出来る。
相談の内容というのは、一つの問題を解決すれば、かなり魅力的なものだった。
「ダンナ、あの品の事でしょ。あれはかなり希少な品ですぜ。本当に手放しはりますの? しかし、でかいですよね」と僕。
Hさんは、飾る場所も無くなってきたので構わないという。
「分かりました。動きましょう」と返事をし、電話を切ろうとしたら、本題はこれからだと。
Hさんは小さな雑居ビルを二つ持っている。
それぞれの一階を貸店舗にしているが、その一つに自分の店を作りたいと。
既に、現テナントとは話がついているという事だった。
「店をつくると言うたかて、何を売りはりますの?」と聞くと、前々から古本・古道具屋をしたかったと。
この先、どれほど生きるか分からん。それなら、やりたかった事をせんと後悔しますやろ、といつになく真っ当な事を仰る。
ついては手伝ってくれないかという事だった。それと、三男坊をバイトにほしいと。
最初は単なる戯言かと思っていたが、Hさん、どうも本気のようだ。
週末に訪ねてこられて、週明けには古物商の申請と不動産屋に何かしら相談に行かれたようだ。
昨日、2月初旬から準備に掛かるので頼んます、と改めて連絡があった。
立地は良いのか悪いのか判断しかねるが、まわりは店舗が連なっており、貸し物件は出ない。
取り合えず人通りはそれなりにあるのだろう。
体よく言えば、モスバーガー戦略のような立地だ。
因みに、うちの店より立地が良いのは、間違いない。
という事で、自分の店の事を棚に上げて、早速動く段取りをしなくてはいけない。
2024年、背中をいきなりパシッと叩かれたような始まりとなった。