訴訟費用等を定める裁判所書記官の処分とは? | 債権回収と強制執行の取扱説明書

債権回収と強制執行の取扱説明書

売掛金や貸金などの回収でお悩みの方。東京 多摩 立川の弁護士が,裁判・強制執行など債権回収の方法や貸し倒れの法的予防策についてブログで詳しく説明いたします。

Q.訴訟費用等を定める裁判所書記官の処分とは?


A.訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は民事執行法第42条第4項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分のことをいう。


訴訟費用・和解の費用

民事執行法22条4号の2によれば,「訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第42条第4項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分」も債務名義 となると規定されています。


訴訟費用というと,一般的には,弁護士に依頼した場合の弁護士報酬なども訴訟費用に含まれると誤解されている方もいますが,弁護士報酬などはこの訴訟費用には含まれません。


ここでいう訴訟費用とは,例えば,訴訟をした場合の訴訟手数料(収入印紙代)や郵便切手代,証人尋問をした場合に支払われる証人に対する日当などを指します。


訴訟費用をどのように当事者に負担されるのかは,裁判によって決まります。そして,訴訟費用は,原則として敗訴者が負担することになります。ただし,一部勝訴などの事案によっては勝訴者も一部負担するという場合もあります。


訴訟費用と並んで,上記条文は和解費用というものも規定しています。これは,訴訟が,判決などの裁判ではなく,裁判上の和解によって終了した場合の費用という意味で,内容的には訴訟費用と同様です。


執行費用・返還すべき金銭

上記22条4号の2では,訴訟費用・和解の費用のほかに,執行費用というものも定めています。文字どおり,強制執行等をした場合にかかった費用のことです。


ただし,この執行費用も,弁護士報酬などは含みません。強制執行の手続のための手数料収入印紙代や郵便切手代などです。


執行費用は,執行をした場合にその執行した財産の中から支払いを受けるのが通常ですが,それが出来なかった場合には,別途,取り立てることになります。上記22条4号の2は,その別途取り立てる場合のことを規定しているものです。


また,「返還すべき金銭」とは,債務名義を得て債権者が債務者から執行費用の支払いを受けたが,後に債務名義が取り消されたために,その支払を受けた執行費用を債権者から債務者に返還する場合の返還金額のことを指します。


訴訟費用等の確定処分

上記の訴訟費用等は,裁判によって各当事者の負担の割合が示されますが,具体的な金額はいくらかまでは示されないのが通常です。和解の費用も,和解の際に具体的金額を定めないという場合もあるでしょう。


この具体的な負担金額については,別途,訴訟費用等の確定手続というものをとって確定させなければならないとされています。


確定手続を申し立てると,裁判所書記官において審査がなされ,裁判所書記官により訴訟費用等の確定処分がなされます。この確定処分が債務名義となるのです。


前記の執行費用や返還すべき金銭の額も,同様に,裁判所書記官により確定処分がなされることになり,これが債務名義となります。


関連サイト