5
土曜日の朝。
「今日は一日中、マコトと公園で遊ぶからね」
ユウヘイは朝ごはんを食べながら、
とうさんとかあさんにいった。
「宿題は?」
奈良漬けをポリポリ食べながら、かあさん。
「昨日、全部やった」
いいながらユウヘイは、みそ汁も全部食べ終わり、
玄関の方に走る。
「クルマに気をつけろよ」
と、とうさん。
「うん!」
元気に答え、ユウヘイはうちを飛び出した。
今日のユウヘイは、冒険アイテムが入った
ウエストポーチをぶら下げている。
おもちゃだけどちゃんと使える懐中電灯と双眼鏡、
メモ帳とボールペン、キャンプで使った
細くて丈夫なロープ、カッターナイフ、虫眼鏡、笛、
前に公園で拾った使いかけの百円ライターが入っている。
きょうは、何としても黒マントを見つけて、
ボクの覚えていない時間に、いったい何があったのか、
ちゃんと聞きたい。
だって、あのことばを信じるなら、
魔法をもらっているかも知れないんだから。
ユウヘイは、ワクワクドキドキしながら、
公園への道を急いだ。
公園の手前で、
肩からバッグを下げているマコトと合流する。
「どこから調べようか」
と、ユウヘイ。
「よし。まず、すべり台の下から、
猫の足あとをしらべよう」
とマコトが答え、二人ですべり台の方に歩き出した。
つづく