2020年度中学入試の焦点 | 中学受験国語研究ブログ

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本年度中学入試について素材文は何が使われたのか?

「歌は世につれ、世は歌につれ」と言われるが、中学入試も世の中を反映しており、現代社会の論点を示すものではないか。ということで、本年度中学入試問題を分析してみます。

 

一、去年、かなり出題された問題が今年も出た。

1,こまつあやこ「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」

大妻多摩1回浦和実業学園中第一回午前がほぼ同じ部分を出題。去年もかなり出た作品だが、今まで出てた部分と違う。去年の入試分析もぜひ参照してほしい(

https://ameblo.jp/mk9aa7m2-64/entry-12506565737.html?frm=theme

 

)「君が断つトンカツしゃぶしゃぶ生姜焼き わたしも一緒にさよならするよ」の謎解き。イスラム教という異文化の理解が問われる。

2,去年、桜蔭、武蔵で出された中脇初枝「神に守られた島」明中八王子第一回で、ほぼ同一箇所が出されている。テーマは狂った軍国主義

3、松村圭一郎「うしろめたさの人類学」

桜美林経済と非経済の区別。昨年の豊島岡女子とほぼ同一か所からの出題であった。

 

二、本年度出現した作品群と内容

1,水見瑠見「十四歳日和」

これについては本年度入試の焦点となることは、当ブログがすでに警鐘を発していた。

https://ameblo.jp/mk9aa7m2-64/entry-12561539161.html?frm=theme

 

KSFC、帝京大学中学校、学習院女子が同一部分、かつ日能研公開模試、四谷大塚合不合判定テストと同一箇所からの出題だった。強い友人にも自己主張しようという内容である。上の学校では日能研生、四谷カリキュラム生、そして本ブログ読者が有利に戦ったといえるだろう。

ちなみに高校入試で福島県でも同一部分が出題されている。なお桐蔭中等第一回では上の学校より前の部分が、暁星では後の部分が出題されている。

2,ちなみに四谷大塚合不合で出題された箇所(佐藤いつ子「キャプテンマークと銭湯と」自分と異なる他者を理解しようがテーマ)とほぼ同じ個所が、横浜共立A、桜美林でも出題されており、四谷大塚はさすがである。同作品は横浜共立より前の部分が筑波大附属でも出題されている。

3,細川英雄「対話をデザインする」

高校入試でかなり出た。中学入試でも筑波大附属日本文化と外国文化との比較)、東京農大一校対話における納得と合意)で出ているが、高校入試とのかぶりは無い。

4,佐川光晴「駒音高く」

芝一回森村第一回がほぼ同一箇所からの出題(翔太はライバルの山沢に初めて勝った。自分と違う他者を理解しよう。)。なんと、高校入試の和歌山、鹿児島、そして中難関校の都立西とほぼ同一箇所からの出題でもあった(ただし都立西はかなりの長文)。藤井二冠ブームの反映か?

5,朝比奈あすか「君たちは今が世界(すべて)」

海城一回~杏美>香奈枝から杏美<香奈枝へ

開成~「カナ」と「まやまや」、小磯をめぐって三角関係。敗れたカナは

    今度は小磯をけなし始める。

サレジオ~陽太と飯田のトラブルの真の原因は香奈枝

男子の超難関校は女子の細やかな心情の読み取りまで要求する。

6,宮下奈都「つぼみ」より

「まだまだ」が麻布、「なつかしいひと」が武蔵で出題。

麻布~活け花を通じての自分発見、成長

武蔵~亡き母が高校生として現れ、悲しみを癒してくれた?

 

三、本屋大賞受賞作品

1,宮下奈都「羊と鋼の森」

主人公の初めての調律の場面が、青山学院横浜英和Aで出題。どっとでる作品ではないが、最近、必ずどこかでは出ている。本屋大賞受賞作品は要注意。

2,本屋大賞受賞作品は恩田陸「蜜蜂と遠雷」茗渓(注目のカザマ・ジン、コンクールに遅刻)で出ている。

 

四、出題形式に大きな変化が見られる。AIにできない能力を見たいという観点から理解できる。

1,グラフや絵と文章の融合問題。つまり、文章とグラフ・図の内容の一致、不一致を問う。新井紀子氏によると「AIには未来永劫無理」ということ。AIにはできないスキルをみるということが、最近出題が激増。市川(猫の絵の問題点、もはや美術の問題というべきか。むしろこれはSTEAMの「A」つまりARTか?ちなみにAIにはARTは理解できない)、江戸川学園取手、大宮開成、芝浦工業大学柏、都市大等々力S、日本大学藤沢、麗澤第一回AE、国府台女子、淑徳与野、昭和女子大昭和、香蘭など激増している。

2,AIは当意即妙、臨機応変さが必要な会話文が苦手である。そこで、文章読解問題の後に座談会形式で意見を述べ合うことなどで、会話の内容を問う問題が激増。何らかの意味で会話を出題した学校としては、逗子開成、神奈川大付属、都市大、鎌倉学園、大宮開成、桐光、公文国際、茗渓、渋々などが挙げられる。学習院(なんと芦田愛菜ちゃんと山中伸弥教授との対談)や捜真では素材文として会話文が使われた。

 

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