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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る1】菅直人元首相の「ヒットラーを思い起こす」ツイートは人権侵害でもないし、国際的にも何ら問題にならない。

2022年01月27日 | 橋下維新の会とハシズム

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 2022年1月21日に菅直人元首相(立憲民主党最高顧問)がツイートした以下の内容が、もう1週間も経とうというのに炎上しっぱなしで、26日にはとうとう日本維新の会の藤田幹事長が正式に立憲民主党に抗議する事態となりました。

 

 

 藤田幹事長が立民に手渡した抗議文には

「誹謗中傷を超えた侮辱と断じざるを得ない。国会議員としてはもとより、人として到底許されるものではない」

等と大げさに書いてありますが、維新がいつものごとく、どうせ有権者は菅直人氏のツイート原文を読みはしないだろうと高を括っているのは明らかです。

 だって、菅氏の以下のツイートには誹謗中傷どころか、弁舌が極めて巧みだ魅力的だとほめ殺しているだけで、橋下徹氏や維新の会の名誉を傷つけるようなことはどこにも書いていないではないですか。

「橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。

 しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。

 主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。」

 

 村野瀬玲奈さんの

維新、橋下徹と、ナチス、ヒトラー(ヒットラー)。 維新からヒトラーを想起した #菅直人元首相を支持します 。謝罪してはならない。だって的確な批評だから。

という記事に良くまとめられているのですが、ネット界で非常に有名で私も敬意を払っている弁護士たちも次々と菅直人氏のツイートを擁護するツイートを連発しています。

 

 

 けれども、私が菅直人氏に対して率直に思ったのは、ホロコーストでユダヤ人を何百万人も殺したヒトラーの名前を出したら、維新から逆ねじを喰らわされて、また立民たたきの宣伝に利用するくらいのことは、当然予想すべきだったということです。

 もちろんご存じのように、当ブログは橋下氏が大阪府知事になった当初からその重大な危険性を感じてきました。

 そして、橋下維新の会とハシズム維新の会の脅威というカテゴリーであわせて約400本の記事を書いて、微力ながらも、徹底的に橋下氏と維新の会の害悪を批判してきたつもりです。

 そういう私から見ると、今回の菅直人氏のツイートは単なる当てこすりに過ぎず、橋下維新の会の危険性はほとんど指摘できていなくて、内容は非常に中途半端。

 だいたい、維新のどこに福祉国家的な政策があるねん?!

 中身がないのに、今回のようなネガティブな取り上げ方をマスコミからされることはわかり切っていたわけで、むしろもう舌打ちしたいくらいですから、菅直人氏を弁護する意欲が沸きません。

 

 それで私はこの問題についてはここまで何も書かずに来たのですが、維新の会が菅氏個人のツイートを梃子に立憲民主党を貶めるのに使ったり、政府を追及できる貴重な予算委員会の質問時間を使って野党の立民をこの問題であげつらう事態に至っては、橋下ハシズムの批判者として何も言わないわけにもいかなくなりました。

 準常連コメンテーターの方からも早急に記事を書くように催促されましたし(笑)。

 そこでまず、維新側の批判について触れると、菅氏のツイートが人権侵害だと松井一郎代表が言っているのは完全に間違いです。

 菅氏は橋下氏らの弁舌が巧みでヒットラーを思い起こさせると言っただけなのであって、ヒットラーのような人種差別主義者だ人殺しだなどと評したわけではありませんから、橋下氏らの名誉権など人権は全く傷ついていません。

 

 また、吉村大阪府知事が

「国際法上あり得ない。どういう人権感覚をお持ちなのか」

とコメントしていますが、国際法は国家と国家、国家と市民間を律する公法ですから、そもそも本件と何らかかわりがありません。

 このコメント自体が吉村氏が弁護士でありながら法律知識に極めて乏しいことだけを示していてナンセンスなんです。

 さらに、ヒットラーを礼賛するのではなくて独裁者を批判する際になぞらえることは全く問題ありません。

 例えばフランスなどの極右政党はネオナチではないかなどと批判されますし、移民に対して排外的な政策を打ち出したトランプ前米大統領がヒトラーのようだとメキシコなどから批判されたように、国際政治でもこれまでも頻繁に行われてきていることで、国際的な問題など全くありません。

 

 その意味で、今回名前を出された本人の橋下氏が

「ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」

等とツイートしているのは、彼のいつもの外交音痴を如実に表していて笑止千万です。

 

 

 さらに、橋下氏・吉村氏・松井氏のおまいう=お前が言うブーメラン的なものについては、末尾のリテラの記事がよくまとまっています。

 そういう部分はこの連載の2以降で書くとして、とりあえず他のリベラルブログやリテラの記事で書かれていないことを橋下批判の老舗(笑)として書いておきたいと思います。

 まず、私が橋下徹氏の思想と政治をどうして「ハシズム」と呼びつづけるかというと、それが強権的で多数派支配型民主主義的で人権軽視だからです。

 橋下氏が女子高生たちをつるし上げた場面や、桜宮高校の体罰事件で学校側以上に保護者たちを責めたこと、また体罰を肯定したこと、ご自分のお子さんにも蹴り上げるなどの体罰をしていたことを公共の電波でいまだに公言していることが思い起こされます。

桜宮高校体罰自殺事件で大阪市に賠償命令。橋下市長の「行き当たりばったり」の言動を振り返る。

 

「『子どもが笑う』 とは皆さんが笑うことではない」橋下大阪府知事が女子高生を泣かせたハシズム全開討論

 

 

 そして、大向こう受けする労働組合いじめを徹底して、大阪市職労の幹部に深々と頭を下げさせたのが冒頭の画像です。

 その後、自分も頭を下げることになったのですが、その下げ方が下げさせ方同様にまた異様でした。

橋下市長が組合思想調査アンケート訴訟で控訴審でも敗訴。明日の引退会見でマスコミは質問できるか?

 

 

 最近の新型コロナの問題についても、橋下氏が擁護する基本的人権は営業の自由のみ。

 あとは市民に何々を義務付けろだとか、罰則を与えろとか

【ハシズム全開】橋下徹氏が「政治が重症・中等症ベッドを増やすよう医療界に命令を出し、従わなければ強烈な制裁」「保険医指定の取り消しくらいの強烈なことを」。#橋下徹をテレビに出すな

に書いたように、医療関係者に強烈な制裁を加えろだの、強権的な発想ばかりです。

 こういう専制支配に親和的な部分が、政治家としてもコメンテーターとしても橋下氏の危険なところであり、その後継である吉村維新の会の恐ろしいところだと指摘しないと、菅元首相のツイート問題に対処することはできないと思います。

 

君が代斉唱口元チェックの中原校長を教育長にする大阪府 教育委員会をどう改革するか2 教育委員会公選制へ

                       ↑ ↑ ↑
 
これだから、石原慎太郎元都知事にヒットラーになぞらえて褒められるわけです。
 
逆に、私は橋下氏のことも維新の会のことも、ヒトラーやナチスに例えて批判したことは記憶の限りではありません。
 
そんなレッテル張りをしても効果ないと思いませんか。
 
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維新が立民へ抗議 菅元首相のヒトラー投稿「良識が問われる」

菅直人元首相(酒巻俊介撮影)
菅直人元首相(酒巻俊介撮影)

藤田氏は提出後、記者団に対し、菅氏について「立民の最高顧問、元首相という良識が相当問われる話だ。党としての発言ととらえられかねない事案だ」と強調。「特にヒトラーになぞらえて公党や私人を批判することは国際社会ではほとんど許容されない。その後も開き直られているかのようなツイートを続けていることに関しては政治家としての資質を疑う」とも述べた。

抗議文では「誹謗(ひぼう)中傷を超えた侮辱と断じざるを得ない。国会議員としてはもとより、人として到底許されるものではない」などとして、立民と「野党第一党の重責を担う大幹部である」菅氏に対して月内の投稿撤回と謝罪を求めた。

一方、菅氏は維新の抗議の動きに関して、「私の発言は党から指示されての発言ではない。私自身の考えを述べたもの。抗議するなら私自身に対してすべきだ」などと発信している。

 

 

「泉さんは態度を明らかにすべきだ」菅直人元総理の“ヒットラー”ツイートについて日本維新の会・松井代表

配信

 日本維新の会の松井一郎代表は26日午後、菅直人衆院議員のTwitter上での発言について「立憲民主党さんはこれまで人権尊重とか、性差別については非常に厳しい態度で政治家として活動されてきたと思うが、この菅さんの発言は党として許される話なのか、そこはやっぱり公党なんだから、泉さんがはっきりと言うべきだ。態度を明らかにすべきだ」と話した。

【映像】記者団を前に憤る松井代表  

松井代表は「逆に維新の誰かが立憲さんの幹部の方を“ヒットラーを思い起こす”などと公のSNS等で発信した場合は、人権侵害甚だしいし、議員であれば厳重注意どころか処分するし、僕は党代表として一番に謝る。そこは公党である立憲さんのクオリティ、品質として、人権に対してどういう思い、価値観を持っているのか、はっきりさせてもらいたい」と指摘。  

維新、立民に謝罪要求 菅直人元首相が「ヒトラー」投稿

配信 共同通信

 日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事は24日、立憲民主党の菅直人元首相が維新に関して「(ナチス・ドイツの)ヒトラーを思い起こす」とツイッターに投稿したことに対し「とんでもない発言だ」として、立民に謝罪を要求する考えを府庁で記者団に示した。 【写真】「政党の枠超えて原発ゼロを」 小泉、菅両元首相が会見 昨年3月

 「国際法上あり得ない。どういう人権感覚をお持ちなのか」と批判し「元総理でもあり、現在も党で責任ある立場の方。発言は重い」と語った。  菅氏は21日、維新創設者の橋下徹氏に言及した上で維新に関して「弁舌の巧みさでは第1次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒトラーを思い起こす」と投稿していた。

橋下徹は盟友・石原慎太郎から「ヒトラーに該当」と称賛されていた! 高須院長に協力の吉村、優生思想の松井、維新議員に反論の資格なし

1月26日(水)7時0分 LITERA

橋下徹公式Twitterより

写真を拡大

 テレビに出まくっては維新のPRに勤しんでいる“維新の創業者”である橋下徹氏について、立憲民主党の菅直人・元首相が「弁舌の巧みさではヒトラーを思い起こす」と指摘した件で、橋下氏をはじめ、維新代表の松井一郎・大阪市長や副代表の吉村洋文・大阪府知事が猛反発、「立憲は謝罪しろ」とがなり立てている。

 しかも、本日国会でおこなわれた衆院予算員会では、質疑に立った維新の足立康史衆院議員が、政府のコロナ対策よりも先にこの問題を取り上げ、「国際社会だったらアウトだ。許せない。今日か明日にでも泉健太代表に抗議文を出す」「こうした野党のひどいレッテル貼り、印象操作、デマが国益を毀損してきた」などと騒いだのだ。

 予算委員会は政府の施策や考えをただす場だというのに、その貴重な時間を使って野党攻撃を繰り出すとは、まさしく維新は「税金泥棒」にほかならない。

 いや、それ以前に「レッテル貼り」「印象操作」「デマ」と批判されるべきは、橋下氏や松井氏、吉村氏らがまくし立てている反論のほうだ。事実、彼らの反論はことごとく筋違い・的外れであるだけでなく、「お前が言うか」というものばかり。せっかくなので、いかに橋下・松井・吉村の三者がアホ丸出し・恥知らずな反論をしているのかを順番に指摘していこう。

 まず、発端となった21日の菅氏のツイートは、以下のようなものだった。

〈橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。〉

 そして、この菅氏のツイートに対し、橋下氏は23日にこのような反論をおこなった。

〈ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度。こういうことを平気でやるのは京都大学の藤井聡氏のような非常識な学者。まあ今回は弁舌の巧みさということでお褒めの言葉と受けっておくが。それよりも強い野党を本気で作る気があるなら、大阪では自民に圧勝している維新政治を謙虚に研究すべき。〉

「ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」……!? これ自体が噴飯ものの主張なのだが(詳しくは後述する)、その前に、この橋下氏の態度は完全なダブルスタンダードなのだ。

 じつは、橋下氏をヒトラーに重ね合わせて論評したのは菅氏がはじめてではない。 “ナベツネ”こと渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役兼主筆も「文藝春秋」2012年4月号に寄稿した文章のなかで、「選挙はある種の白紙委任」という橋下氏の発言を取り上げて、〈私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである〉と指摘している。

 また、自民党総裁だった谷垣禎一氏も2012年、橋下氏率いる大阪維新の躍進を受けて「政党政治が駄目だということで昭和10年代に日本で軍部が出てきた。ヒトラー、ムソリーニが出てきた時もそういう雰囲気だったのだろう」と、維新とヒトラーの共通性を指摘している。

 このナベツネや谷垣氏の「ヒトラー」発言に対しても、橋下氏は今回と同様に反論をしていたが、じつは、同じようにヒトラーにたとえられながら、なぜか反論した形跡のない相手がいる。
 
 それは、石原慎太郎・元東京都知事だ。橋下氏と石原氏はまさに盟友で、2012年の衆院選では石原氏率いる「太陽の党」が橋下氏の「日本維新の会」に合流(その後分裂)したほどだったが、その石原慎太郎は2014年の政界引退会見において「将来の総理候補」として橋下氏の名前を挙げ、「彼は天才」「あんなに演説のうまい人は見たことない」「彼の演説のうまさ、迫力っていうのは若いときのヒトラーですよ」「ヒトラーの伝記を読んでもそうだけどね、彼に該当する政治家だね、橋下徹ってのは」と発言した。

 石原氏が橋下氏をヒトラーに重ね合わせて称賛したことは、当時、多数のメディアで取り上げられた。

 ところが、このときの橋下氏は、今回の菅氏への対応とはまったく違っており、石原氏の発言に対して表立って反論をおこなった形跡がまったくないのだ。

ようするに、橋下氏が今回、菅直人に「国際的な御法度」などと噛み付いたのは、自分への批判として「ヒトラー」に重ね合わされたからであって、「ヒトラー」を褒め言葉として使われていた場合は、それになんの文句も言っていないのだ。これぞダブルスタンダードというやつではないか。

●橋下徹は自身を批判する学者に「お前の顔の方が安もんのヒトラーだろ!」と攻撃した過去

 しかも、橋下氏は自身が過去に他者をヒトラー呼ばわりしていたこともある。今回、橋下氏は菅氏への反論で「こういうことを平気でやるのは京都大学の藤井聡氏のような非常識な学者」と書いていたが、橋下氏は2017年2月18日のツイートで、こう藤井氏を批判していたのだ。

〈僕のことをヒトラー呼ばわりしておいてお前の顔の方が安もんのヒトラーだろ!お前の家には鏡がないのか!〉
 
 橋下氏は相手が先に「ヒトラー」を持ち出してきたからだと主張するかもしれないが、「国際的な御法度」と言うなら、反論で使うのももちろん御法度だ。しかも、橋下氏の場合は政策や思想批判ではなく「お前の顔の方が安もんのヒトラー」などと容姿差別として使っている。これでよくもまあ「国際的な御法度」などと言えたものである。

 というか、そもそも、橋下氏がわめいているこの「ヒトラーにたとえるのは国際的にはご法度」というロジック自体がインチキきわまりないのだ。

 橋下氏はあたかも菅直人元首相が差別用語を使ったかのように語っているが、あらためて指摘するまでもなく、国際社会で「ご法度」となっているのは、ヒトラーや戦前のナチスドイツを肯定・正当化したり称賛・美化すること。今回のように大衆扇動や思想統制、優生思想、独裁などに警鐘を鳴らす際、ヒトラーやナチスに喩えることは国際的にしょっちゅうおこなわれていることであり、当然ながらそれは正当な批判・表現で、御法度でもなんでもない。

 むしろ「国際的にもご法度」なのは、前述した石原慎太郎のような評価・称賛すべきポイントとしてヒトラーやナチスを持ち出した場合だ。しかも、石原氏は橋下氏をヒトラーになぞらえた際、ドイツ大使館にいた外交官が「ヒトラーが若いときにやったことは間違っていなかった。素晴らしかった」と言っていたという話を語った上で、「ユダヤ人を偏見で虐殺したことは許せないけど、私はその言葉を是とする」と述べ、その上で“橋下氏はヒトラーに該当する政治家”と評価したのだ。

 これこそまさに「国際的にもご法度」な問題発言だが、前述したように橋下氏はこのとき、石原氏がヒトラーを肯定するという大問題発言をしでかした上で自分をヒトラーに重ね合わせられたというのに、そのことに何も反論・批判していない。そればかりか、橋下氏はこんな「国際的にもご法度」な人物と同盟を組んでいたのである。

 いや、それどころか橋下氏には、ナチス・ドイツを評価する「国際的にもご法度」な発言を擁護したことさえある。

 2013年に当時の麻生太郎副総理が「憲法はある日気づいたらワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口を学んだらどうかね」と発言。ユダヤ人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)が抗議声明を発表したほか、ドイツの有力紙・ヴェルトも「日本の副首相、ナチスの戦術を称賛」という見出しで報じるなど海外にも波紋が広がったが、なんと、このとき橋下氏は「行き過ぎたブラックジョークだったのではないか」「政治家だとこういった批判は出るが、エンターテインメントの世界ならいくらでもある」などと麻生発言を擁護してみせたのだ。

「ナチスの手口を学べ」という発言は冗談で済むようなものではなく、これこそまさにナチス・ドイツを評価する「国際的にもご法度」な発言にほかならない。にもかかわらず橋下氏は「ブラックジョーク」「エンターテインメントの世界ならいくらでもある」などと庇ったのである。当然、この擁護発言に対しても、SWC幹部であるエイブラハム・クーパー氏は「ブラックジョークとして扱ってはならない事柄がある」「私は30回以上、日本を訪問したが、原爆を投下された広島と長崎の人々の苦しみが冗談にされているのを聞いたことがない」と批判をおこなった。

●ヒトラー礼賛を繰り返す高須克弥院長を一切批判せず、ファンアピールする吉村洋文知事

 自分はヒトラー礼賛の政治家と組んだり、ヒトラー礼賛言説を擁護しておきながら、批判としてヒトラーに喩えられた途端、ありもしない「国際的にも御法度」などという言葉で反撃する──。まさに橋下氏らしい詐欺的手口といえるが、しかし、こうした棚上げインチキ反論は、松井氏や吉村氏、維新も同様だ。

 松井氏は22日に〈誹謗中傷を超えて侮辱〉と怒りのツイートを投稿し、吉村氏も24日に会見で「どういった人権感覚を持っているのか。これが許されるのであれば何でもありになる」などと噛み付いたが、よくもまあ言ったものだ。

 というのも、吉村氏はこれまで、ナチス・ドイツを礼賛する人物を咎めることもなく、むしろ懇意の間柄をさんざんアピールにしてきたからだ。

「ナチスドイツを礼賛する人物」というのは、言うまでもなく高須クリニックの高須克弥院長のこと。高須院長といえば、〈ナチスが消滅してもナチスの科学は不滅〉〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉などとナチス肯定や歴史修正のツイートを繰り返してきたが、吉村知事は高須院長から応援されるたびに「高須院長、ありがとうございます!」と応答するだけでなく、高須院長の顔がプリントされた枕を購入した際にはわざわざ動画まで付けて〈高須先生の枕をゲットした、なう〉〈大阪でも販売期待、なう〉などと発信。高須院長が入院したときにはカレーパンを差し入れしたり、誕生日には今治タオルをプレゼントしたり、その交友関係をTwitterで明かしてきた。

 さらに、後に不正が発覚した愛知県の大村秀章知事のリコール運動では、吉村知事はおおっぴらに「賛同」を表明して〈応援してます〉とエールを送り、〈口だけでなく信念に基づいて現実に動く高須先生に敬意です〉などと投稿していた。

 石原氏の発言同様、高須院長の〈ナチスが消滅してもナチスの科学は不滅〉〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉などという主張は、それこそ紛れもない「国際的にもご法度」な発言であることは論を俟たない。事実、2017年には、高須院長のナチス礼賛投稿をSWCが問題視し、アメリカの美容外科学会に高須院長を会員から追放するよう要請。イスラエル大手紙のエルサレム・ポストが報じ、世界的な市民メディアであるグローバル・ボイスも高須院長の問題ツイートを大々的に取り上げた。しかし、国際的にも問題になったこれらの投稿について謝罪も撤回もしない高須院長との間柄を、吉村氏は隠そうともせず、逆にアピールに使ってきたのだ。

 水道橋博士は昨日24日、吉村氏と松井氏を批判する投稿を引用リツイートし、〈まずこの人と共闘していた高須医院長がどれほどのヒトラー礼賛を繰り返したのか、誰か教えてあげて欲しいし、橋本徹が石原慎太郎に「ヒトラーの再来」のように称賛されても抗議しなかったことを教えてあげて欲しい〉(原文ママ)とツイートしたが、まさにそのとおりとしか言いようがないだろう。

●維新はグロテスクな優生思想でもナチスと共通 「人工透析患者を殺せ」発言の長谷川豊を擁立したことも

 いや、それだけにとどまらず、松井氏や馬場伸幸幹事長など維新の面々は、これまで度々ナチスに通じるグロテスクな優生思想を全開にしてきた、「人権意識」の欠片もない連中だ。

 実際、維新の松井代表は、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」という暴論を振りかざした元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を2017年の衆院選で擁立し、2019年の参院選でも公認(のちに部落差別発言で公認辞退)。また、京都でALS患者の女性が元厚労省医系技官ら2名の医師によって殺害された事件が発覚した際は、松井氏は〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう〉などと呼びかけ、馬場幹事長も、ALS患者であるれいわ新選組の舩後靖彦・参院議員がこの事件を受け〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です〉といった声明を出したことに触れ、「議論の旗振り役になるべき方が議論を封じるようなコメントを出している。非常に残念だ」などと非難。松井代表と馬場幹事長は「尊厳死」の名を借りて「命の選別」をしようという本音をダダ漏れにさせたのだ。

 その上、松井氏にいたっては、2016年に沖縄県の高江で進められていた米軍ヘリパッド建設工事で大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し「触るな、土人が」と差別に基づいた暴言を吐いたことが問題となった際、〈表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様〉などと投稿。「土人」というあからさまな差別語を投げつけたことが問題になっていたにもかかわらず、知事だった松井氏はわざわざ機動隊員を労うという差別の肯定と受け止められる言動に出た。

 こうした「人権意識」が徹底して欠如し、差別を差別とも思わず、ナチスを肯定する歴史修正主義者と手を結び、沖縄の市民を「侮辱」してきた維新の政治家たちが、「誹謗中傷を超えて侮辱」だの「どういった人権感覚を持っているのか」だのと反論するとは……。「どういった人権感覚を持っているのか」「誹謗中傷を超えて侮辱」と批判されるべきは、あきらかに自分たちのほうではないか。

 しかも、今回、菅直人は橋下氏の「弁舌の巧みさ」をヒトラーに喩えたが、橋下氏や維新のナチス・ヒトラーとの共通性はそれだけではない。橋下氏が政治家として実行してきた「思想統制」はヒトラーとそっくりであり、そのことは随時指摘されてきた。

 たとえば、橋下氏は大阪市長時代の2012年、市職員に対する政治・組合活動にかんする“思想調査”アンケートを市長の業務命令として実施。これは労働組合への参加の有無や、組合や演説会に誘ったのは誰かなどの回答を求めるという人権無視・内心の自由を奪おうとする明白な憲法違反のシロモノだったが、なんと橋下氏はこのアンケートに回答しない場合は処分の対象になり得ると強制までした。無論、この思想調査に対しては抗議・反対の声があがったが、民主法律協会、連合大阪法曹団、自由法曹団大阪支部などの法律家8団体がおこなった集会では、浦部法穂・神戸大学名誉教授が橋下氏や大阪維新とナチス・ヒトラーの酷似点を指摘していた。

 また、橋下氏は市職員に入れ墨を入れているか否かを申告させるというプライバシー侵害も甚だしい調査もおこない、回答を拒否した職員を戒告処分にするなどという暴挙に出たこともある。さらには、公立校の行事で教職員に「君が代」の起立斉唱を義務付ける条例を大阪府・大阪市で施行した結果、口元チェックまでおこなわれる状況になった。

 このように、権力で押さえつけ、数の力でやりたい放題という橋下氏の政治は、まさしくヒトラーによるファシズムに通じるものであり、実際、入れ墨処分問題については、米ワシントン・ポストが2012年5月23日付記事で、前出の渡邉恒雄の言葉を引用するかたちで「アドルフ・ヒトラーを想起させる」と指摘している。

そして、吉村知事、松井氏、維新という政党に所属している議員たちもこの橋下的な恐怖支配と大衆扇動の政治を完全にトレースし、優生思想を平気で振りかざすような言動まで繰り返してきた。

 ようするに、橋下氏の政治家時代の政治手法、その後の維新の体質を見れば、「弁舌の巧みさはヒトラーを思い起こす」どころか、「ヒトラーそっくりの独裁手法」「維新の優生思想や排外主義はナチス・ドイツばり」と指摘してもいいレベルなのだ。

 ところが、橋下氏や松井氏、吉村氏をはじめとする維新の連中は、この正当な批判・批評に対して「国際的にもご法度」などというあきらかなデマを垂れ流し、完全にブーメランな「どういった人権感覚を持っているのか」「誹謗中傷を超えて侮辱」「ひどいレッテル貼り、印象操作、デマ」などと喚き立てている。

 まん延防止等重点措置の適用要請で後手に回り、爆発的な感染拡大を招いた政治責任をごまかすためなのかは知らないが、詐欺的手口にほどがある。これ以上、維新の連中に騙されないためにも、「維新はヒトラーに喩えられても仕方がない人権侵害集団だ」と言い返していく必要があるだろう。
(編集部)

 

 

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3 コメント

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Unknown (茶碗)
2022-01-27 11:46:26
菅氏を応援する声も多いし、また維新のいつものやつか、ぐらいに思っていましたが、記事を読んで、深いところまで気づかせていただき、また、橋下の邪悪さに改めて気分が悪くなってきました。伊藤詩織さんの記事で少し気持ちが明るくなれたところだというのに。

橋下が残した爪痕のおかげで教育分野も悲惨です。住民無視の非情極まる異常な学校統廃合が進む生野区の女性区長は民間公募校長からの転身。何のために区長として生野区にやってきて、もと「教育者」のくせに公立学校を潰したがるのか? 男女平等、女性といえど、同じ女性でも伊藤詩織さんとは大違いです。
Unknown (狸子)
2022-01-28 13:15:22
宮武先生本記事ありがとうございます!
LITERAの記事も参照しました。維新の二枚舌、卑劣さは重々承知しておりますが、それにしてもここまで論理破綻して平気だとは、本当に気分が悪くなります。
 それにしても、立憲の現・幹部も、もっときっぱりと菅氏を擁護して維新の妄言をはねつけるべきだと思うのですが。現メンバーだとこうなっちゃうのかなあ。
ヒトラーのような有能で“邪悪な”政治家こそ警戒すべき (ロハスな人)
2022-01-29 13:28:28
 欧米諸国では『 ヒトラー賞賛はもちろん、適切な評価すらタブー 』なのは事実ですが、それは『 きわめて政治的な背景 』があり、そのことを(わかっていて)題材に批判する橋下氏はいろんな意味で悪質だと思います。

 残念なことに欧米では『炎上リスクのある』のツイートをする菅直人氏の『センスのなさ』も大きな問題ではありますが…。(維新にはおっしゃるようにさっそくそこをつかれて四苦八苦することになりましたね。)

 ヒトラーは経済的にボロボロだった世界大恐慌時のドイツを数年で立ち直らせた極めて有能な政治家です。

 そして、その超有能な政治家が『世界征服まで夢想する?』きわめて邪悪な人物だったことが一番の問題なのです。
 その邪悪な人物が『ワイマール憲法を機能不全』にして、様々な専制政治を行っていった結果が第2次大戦の悲劇であり、結果としてドイツをもう1度瓦解させてしまいました。

 日本では有能な政治家を求める姿勢が下手すると欧米より強いように思えますが、ヒトラー、スターリン、毛沢東などの“ろくでもない野心を持った”『非常に有能な政治家』が権力を握った時の方が危ないことを我々はもっと認識した方がいいでしょう。

※憲法が『権力の暴走を阻止する盾』なのはまさにこのためです。

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