最近読んだ本で、これはのめり込んで一日で一気読みしました。

生きること、人間であること、てっぺんから底辺の中での自分の立ち位置を外部から日々知らされることの虚無感。

他人と接触しないこと、全て無にしてしまうこと、究極は死ぬこと。だけれど、そうしない、そうせずに生きることの苦痛。

怠惰と苦痛は紙一重だと思います。その一重を、綱渡りのように渡って行かなければならない、人間ならば誰しもが。

 

この小説は、元気がない時読むと、引きずられます。それだけ、引力の強い小説ですし、登場人物たちの言葉がグサグサ刺さります。

価値観が曖昧だからこそ、主人公はこの女にはまり、寄生され、吸い取られてしまったのかな。

 

 

ー物語や感動は決まって悪用されます

 

 

ー労働の美しさとかプロ意識とか、そんなんウソウソ。洗脳、洗脳。仕事ができない?ええやん別に。器用不器用だけでその人の価値図られたくないって。

 

ー不正は方便、法律なんて足枷、自分たちのしていることは国家のためなんだから文句言うな、鬱になるのも過労死も労働者の自己責任。勝手に座るな勝手に休むな勝手に飯食うな、勝手に生きるな勝手に死ぬなーーってそんな具合。いい感じです。いい感じで、最低で下劣です。

 

人生経験なんて、塵でしかない。

 

 

ートラウマとかDV体験とかそんなん。一緒の杖だと思います。心のバネになったり言い訳にもできたり。アクセサリー代わりにしている女の子もいてるし。あと、現代の流行病に乗れている感もある。私にはそれがない。

 

 

 

ーだってあらゆる欲求の綺麗になくなんのが、ある意味、理想やないですか?食欲なんてはっきり言ってダサいし、キモイ。食欲はキモイです。性欲も身も蓋もない言い方すれば、みっともないし。どう言い繕うと言い飾ろうと、見られて恥ずかしいもんなんやし。だから全部涸れたらいいんですよ。

 

 

読後感は、不思議と悪くなかったです。そして、二人の心情は誰しもが持っている一部のような気がします。

このコロナ禍という閉塞気味の世の中に生きているからこそ、読んで良かったかも。

 

 

 

 

 

 

予防接種二回目終了しました。

副反応は辛かったですが(モデルナです・・)打って、少しは安心感です。