島津製作所は29日、新型コロナウイルスの感染者から採取した血液と尿から重症化するかどうか予測するシステムを、6月にも医療機関など向けに販売すると発表した。熊本大との共同研究で開発した技術で、効率的な治療と医療現場の負担軽減につなげる。

 熊本大が感染者約200人の血液と尿を分析したところ、遺伝物質の分解産物「修飾ヌクレオシド」の数値が高いほど、その後の症状が重くなる傾向があると分かった。島津製作所と分析機器会社「アイスティサイエンス」(和歌山市)はこの知見を基に、最短6分で修飾ヌクレオシドを測定する分析法を確立した。

 入院させるべきかどうかの判断材料としての活用などを想定している。血液や尿には新型コロナウイルスがほぼ存在しないといい、熊本大大学院の富沢一仁教授は「検査する医療従事者らにも安全だ」と話した。

 島津製作所は、まずは質量分析計などを保有する病院に予測システムのソフトウェアを販売する。将来的には、未所有の病院にシステム機器全般を4500万円程度で販売する考えだ。