prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ナック」

2022年05月25日 | 映画
1965年カンヌ映画祭パルムドール受賞作
同じ歳には小林正樹の「怪談」、フランチェスコ⋅ロージの「真実の瞬間」、シドニー⋅ルメットの「丘」などの重厚な作品がずらっと並んでる中で、一番ライト感覚のこれがパルムドールを取った格好。時代を取り込んだ選考ということになるか。

リチャード⋅レスター監督とすると「 ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア! 」「ヘルプ 四人はアイドル」の大ヒットのあと芸術的な評価を得た作品ということになるだろう。
とはいえ今の目で見ると、ビートルズみたいな不滅の存在があるわけではないわけで、当時新しい分、かえって古くなっている印象は否めない。

もとが舞台です とは思えないぐらい徹底的に解体して ロンドンの街をベッドを延々と運ばれるなどレスターのスラップスティックコメディ志向が出てはいる。
冒頭の生きている人間なんだかマヌカンなのかわからないような画一的な白いセーターを着た美女達の集団のグラフィックな演出処理が、軽さの中にひとつの批評的な見方を導入する。
その美女たちにジャクリーン⋅ビセットやシャーロット⋅ランプリングが混ざってるのは割と有名で、ビセットは確認できた。

原題のknack how-to get it 女の子のひっかけ方という意味らしいが、今見ると代理店が女の子をひっかけるみたいなセンスみたいで、実はこれが一番古びているかもしれない。

主演のリタ・トゥシンハムがいわゆる美人とも可愛いとも違う(「ドクトル・ジバゴ」で初めて見た時にはぎりぎり最後まで男か女かわからなかった)、かといってチャーミングではある不思議なパーソナリティ。
男の子たちのツッパリ方とは違う自然な反抗感(「蜜の味」の主演だものね)。






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